「ワークウェアスーツ」

 

スーツのようなデザインの作業着「WORK WEAR SUIT(ワークウェアスーツ)」が3月末に発売され、注目を集めました。

 

清掃・設備・建設業界のイメージを向上させて人手不足を解消したいという思いから生まれたこの製品について、開発元に聞きました。

 

 

 

ワークウェアスーツを開発したのは、水道工事やメンテナンスを行うオアシスソリューションのグループ会社「オアシススタイルウェア」。

同製品はスーツのような見た目と、現場作業に必要な機能性を備えている点が特徴となっています。

 

 

◆社長の実家は水道工事店

オアシスグループの関谷有三社長は、実家が水道工事店。

父親のことは尊敬していたものの、汚れた作業着を着た職人さんがあまりかっこよく見えず、スーツで働くビジネスマンにあこがれていたとのこと。

実家の経営危機をきっかけに水道関連の事業に携わり、業界のイメージを変えたいと思ってきたとしています。

「ガテン系でかっこいいと思われる方もいれば、一方で私みたいな感覚を持っている方もおそらくいるだろうなと思います」と関谷社長。

 

創立10周年を記念して自社の水道工事ユニフォームをリニューアルするに当たって、「職人さんのかっこよさや作業着の機能性を生かしつつ、業界のイメージを変えられるような身だしなみ」を実現したいと、ワークウェアスーツ開発を開始しました。

 

同製品の開発は、清掃・設備・建設業界の人手不足も背景となっています。

同社が総務・人事や転職・就職活動中の人を対象に、これら業界のイメージと作業着について調査を行ったところ、約7割が作業着には3K(きつい・危険・汚い)などをネガティブなイメージを連想させると回答し、転職・就職活動中の人の多くが働きたい服装を「オフィスカジュアル(66%)」「スーツ(46.2%)」と答えたといいます。業界のイメージアップや着用者の意識向上、人手不足解消につなげるという狙いが込められています。

 

 

◆女性社員の一言がきっかけで「スーツ型」に

水道工事ユニフォームのリニューアルに着手したものの、1年かけてもかっこいいものができなかったといいます。

つなぎやストリートファッションなど男性目線でかっこいいものを突き詰めていたものの、中途半端なデザインになり行き詰まることに。

 

そんな中で、ミーティングで人事担当の女性が発した「若者ウケするスーツみたいなスタイルで作業ってできないんですかね?」という一言をきっかけに、「仕事終わりにそのままデートに行けるような服装」としてスーツ型のデザインが決定。

 

試作では、無理やりポケットを付けるとスマートさが失われ、スマートさを押し出すと機能性が失われるといったように試行錯誤を重ね、サンプルを1年作り続けたとのこと。

柔らかく軽量で、水をはじき汚れにくく、自宅で洗っても乾きやすい形状記憶素材「ストレッチアイ」が見つかったことが突破口になったとしています。

 

サンプルは実際に着用する技術スタッフがフィッティングし、実際に作業に支障がないかどうか半年の試験運用を経て商品化。

作業しやすいよう、大容量のジッパー付きポケットや小物をいれるポケット、外での作業時に冷たい空気が入らないようにするためのリブなどを作り、伸縮性の高い素材やカットを入れることで腕まくりしやすくしたり、かがんでも引っかからないように工夫を施したとしています。

 

 

◆最初は反発もあったが……

完成したワークウェアスーツを社内で導入したところ、当初は「毎日洗わなくてはならない」「髪形に気を遣わなければいけない」と8割の社員から前の制服に戻してほしいという意見が出たそうです。

 

しかし1~2カ月後には動きやすさを評価する声が上がり、着替えずに帰れるようになった、洗濯が楽になったなどのポジティブな意見が多く出てきたといいます。

また社員の髪形も変わって身だしなみを気にするようになり、作業車の中がきれいになり、利用客のアンケート評価も上がったとのこと。

 

 

◆賛否さまざまな反響

ネットではワークウェアスーツに対しさまざまな反応があり、デスクワークをしている人の「スーツの代わりに着たい」という声も多く見られました。

今後「スーツの代替」となる商品を展開する可能性について聞いたところ、「現状のラインアップも、スーツの代わりとして使用したいというニーズを想定しています」との回答。

実際にオアシススタイルウェアの営業スタッフも、スーツ代わりに着用している人が多いとのこと。

また、既にさまざまな要望が寄せられており、裾にしぼりのないストレートパンツや他の色の製品も検討中としています。

 

同製品に対しては「いいアイデア」「欲しい」など肯定的な声がある一方で、「人手不足を解消するには労働環境を改善するべきでは」といった厳しい意見もみられ、反応は賛否両論。

こういった反響についてどう受け止めているのかも聞きました。

 

「さまざま活発なご意見をいただきありがたい限りです。確かに、そもそもの労働環境改善が重要だというご意見はもっともです。その上でさらなるイメージアップやサービス意識の向上を図りたい場面で、ご活用いただけるのではないかと考えています」(オアシススタイルウェア)

 

また同社は、工事現場や高所での作業などでは、従来の作業着の方が機能的で価格も安いので適しているという意見もあり、ワークウェアスーツが向く現場とそうでない現場があることも認めています。

ワークウェアスーツが有効活用できる場面として、軽微な作業、あまり大幅に汚れない現場、接客・サービスや営業要素のある現場、従来スーツを着て作業を兼務しているケースを挙げています。

 

「正直賛否もありますが徐々にひとつずつの小さな事例を積み重ねて、少し現場作業員の意識が変わった、お客様の評判が良くなった、そして採用したいと思える人材からの応募が増えた、といった事実を積み上げて業界を全体を少しずつ変えていきたいと考えてます」(同社)

 

 

 

ねとらぼより

 

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この記事を書いた人

株式会社トリムはガラスをリサイクルする特許技術でガラスから人工軽石スーパーソルを製造しています。
世の中のリサイクルやエコに関する最新情報をお届けして参ります。

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