横浜市資源リサイクル事業協同組合(同市神奈川区)が市内の事業者と連携し、再利用の「リユース瓶」を普及するプロジェクトを進めている。
オリジナル瓶に地産地消がテーマの飲料を入れ、市内の飲食店で提供。
消費後の瓶は回収・洗浄し、再び中身を充填(じゅうてん)する。
地域経済の活性化や、循環型社会の実現を目指す“横浜発”の挑戦だ。
きっかけは、同組合が市内の小学生を対象に募集している「環境絵日記」だった。
2014年の作品で、5年生の男児が自宅で飲んでいる牛乳の容器は「R(リターナブル)びん」と呼ばれ、水洗いして50回以上繰り返し使っていると紹介。
「みんなもRびんを使うようになればごみが減って、地球に優しいと思います」と記した。
再利用の瓶は使い捨て容器と比べ、省エネや二酸化炭素排出量の削減につながるとされている。
しかし、回収する酒屋の減少などを背景に利用率は減少傾向にある。
経済産業省「資源循環ハンドブック2017」によると、国内の使用量は2000年が275万トンだったが、2015年は89万トンと3分の1以下に落ち込んだ。
こうした中、同組合は2016年夏、リユース瓶の普及に向けた取り組みを開始。
環境省の補助金を活用し、オリジナルのロゴマークが入った瓶を開発した。
中身は県内産の摘果ミカンを使用、市内在住の「はまふぅどコンシェルジュ」奥井奈都美さんがブランド展開する「アマンダリーナ」の飲料「あおみかんのしずく」「みかんのしずく」と、「横濱ワイナリー」(中区)の「ハマワイン」とした。
回収しやすさを考慮し、当面の提供先は飲食店に限定。
「愛嬌(あいきょう)酒場えにし吉田町店」(同区)など趣旨に賛同する市内22店で利用中だ。
瓶は、同組合の加盟事業者が回収。
県内で唯一、洗瓶を専門に行う「丸隆六甲容器」(鶴見区)へと運ぶ。
洗浄された瓶に再び「あおみかんのしずく」などを入れ、各飲食店で消費者に提供している。
「多くの方との出会いやつながりの中で誕生した。地産地消や、リユース瓶の流通拡大への一助になれば」と同組合の栗原清剛副理事長。
「大きな可能性を秘めた試み。今後も事業者とのコラボを進め、横浜ならではの商品を開発、発信していきたい」と意気込み、プロジェクトをきっかけに消費者の間で再生品や環境への関心が高まることも期待している。
神奈川新聞より