第21回環境経営度調査では製造業の6割が環境適応製品・サービスを提供していると答えた。
世界各地で異常気象や地震が発生するなかで、災害に対応する技術にも注目が集まっている。
地震や台風、集中豪雨などの発生時にインフラが停止するのを防いだり、断水時にも使える簡易トイレなどの製品・サービスを提供したりする動きが広がっている。
環境経営度調査では製造業395社のうち、55.9%(221社)が環境適応策に関連した製品・サービスを提供していると回答した。
とくに化学(50社)や電気機器(45社)、機械(23社)などで提供している企業が目立った。
災害時に発電所や上下水道などのインフラが故障したり、機能停止したりするのをICT(情報通信技術)を用いて防ぐサービスが登場している。
NECは発電所や水道施設、トンネルなど都市基盤の重要施設が機能停止に陥らないようICTで常時監視している。
あらゆるモノがネットにつながる「IoT」機器やセンサーを各施設に取り付けて、時系列ごとのデータを集めて分析する。
データごとの相関関係を分析して、普段とは異なる動きを割り出すことで、発電所や水道施設の異常の予兆検地を行う。
熟練者のノウハウに頼り、長時間かかっていた保守点検や劣化監視を効率化して、災害対策にもつなげる。
富士通も2016年から集中豪雨時に下水道が氾濫するのを防ぐサービスを提供している。
マンホールにセンサーを設置して、下水道の水位を5分ごとにクラウド上で収集する。
急激な水位の上昇を早期に発見することで、氾濫被害の軽減に向けた迅速な対応につなげる。
震災の発生時に備えて上下水道を守る取り組みを進めるのはクボタだ。
国内の水道鉄管で6割のシェアをもつクボタは、管同士をつなぐ継ぎ手部分にゴムを採用する上下水道用の鉄管「ジェネックス」を販売している。
伸縮性があり振動を吸収するため、地震発生時にも上下水道が機能停止に陥るのを防ぐ。
災害時のインフラ停止を予防するほかにも、実際にインフラが停止した時の対応を製品で進める企業もある。
積水化学は災害時に仮設トイレになる「マンホールトイレ」を販売している。
上下水道が断水した時にも、プールなどの水があれば使用できる。
800リットルの水があれば、約500人が1日トイレに困らずに生活できるという。
汚物をためる貯留槽と塩化ビニール管で構成されており、学校などの避難所にあらかじめ設置しておくことで災害時に利用できる。
日経産業新聞より