日本工営は藻類で斜面などの土砂流出の防止に効果のある技術を開発した。
地表にまくだけで藻類で覆われて表面の浸食防止効果が発揮され、早期に緑化しやすくなる。
共同開発した微細藻類技術のある日健総本社(岐阜県羽島市)が防災用土木資材として本格販売をこのほど開始。
日本工営も営業活動を支援していく。
新技術は土壌表面をまず藻類やコケなどで覆い、その崩壊後に草、最後に木が生えてくるという植生の遷移の初期に見られる自然現象を活用する。
日本工営は約20年前から沖縄県で赤土砂対策の研究を開始し、降雨時にパイナップル畑から流れ出す赤土の対策を研究する過程で、微細藻類が地表面に繁茂している区域では土砂の流出がないことを発見した。
日本工営は国立研究開発法人土木研究所(茨城県つくば市)と共同で2009年に、通常は数年かかる初期の植生の遷移を2週間から1カ月という短期間で形成させる技術を開発。
5年ほど前から日健総本社も加え、土木資材としての製品化に向け開発を始めていた。
資材に活用するのは糸状の藻類。
培養して増やしたうえで乾燥させて粒状の製品にする。
斜面に水に混ぜて散布する。
大雨で土砂崩れが起きた斜面に藻類を付着させることで早期に植生が回復して地盤を強化し、岩石の落下など2次災害を防ぐ効果なども期待できる。
実験によると、資材を散布すると、散布しなかった場合に比べて流出する土砂量を90~95%抑えられた。
種子を斜面などに吹き付ける従来の自然侵入促進工法と比べて1平方メートルあたりの工事費は4割程度抑えられる見込みだ。
地域の生態系に配慮した施工ができる。
技術を活用した資材は国土交通省の新技術活用システム(NETIS)にこのほど登録した。
同資材を活用すると入札時に評価されるため、土木工事業者にアピールしていく。
資材の販売は日健総本社が担当するが、総合技術コンサルタントの日本工営も取引先に資材を紹介するなど営業を支援していく。
【岩野孝祐】
日経産業新聞より