岐阜県の公設研究所の岐阜県セラミックス研究所(同県多治見市)は、建物の外装用タイルで赤外線の反射率を高める技術を開発した。
赤外線が建物に吸収されて熱に変わると、周辺の気温上昇の一因になる。
同研究所ではカルシウム系酸化物でできた白い釉薬を使い、一般的な白いタイルより20ポイント高い90%前後の反射率を得ることに成功した。
カルシウムやアルミニウムなどで構成する酸化物「カルシウムアルミネート」で、白系のタイルに使う釉薬を開発した。
ただ、この釉薬をそのままタイル下地に塗ると、焼き上がった際にタイルが反る。
これを抑えるため、ガラスを粉末にした素材を釉薬に加えると反りを抑えられることも、これまでの研究で分かった。
顔料を使って茶色や黄色などに着色することもできる。
この際、顔料に酸化チタンを顔料に使うと、白いタイルと比べても赤外線の反射率が大きく低下しないことを確認した。
酸化チタンを使った顔料はすでに、タイルの着色用に出回っているという。
同研究所は外壁材となるタイルの製造企業が集積する多治見市に立地。
国産タイルはイタリアやスペインの輸入タイルとの競合にさらされており、付加価値を高めることが求められている。
赤外線の反射率を高める技術は、すでに地元のタイル製造業から導入の希望が寄せられているという。
今後は安定した品質が得られる最適な配合比率をまとめ、製造現場に導入できるようにする。
多治見市は夏場の気温が全国上位にランクされることで知られる。
同研究所では「夏の深刻な暑さを身に染みて感じており、赤外線の反射率が高いタイルを実用化して世に送り出したい」としている。
日経産業新聞より