514商議所連携

 

日本商工会議所は、全国514の商工会議所ネットワークを活用した観光振興に本格的に乗り出す。

 

地域の外からの需要を取り込み、交流人口を拡大させることで、「地域経済の好循環」を生み出す。

 

政府は東京五輪の開催を視野に、2020年までに訪日外国人観光客を2,000万人にする目標を掲げている。

 

 

 

全国商工会議所の取り組みは、国内観光の活性化はもとより、「インバウンド」と呼ばれる海外からの観光客誘致にも力を入れる方針で、地域再生の起爆剤に生かす狙いだ。

 

日商の三村明夫会頭は「514商工会議所が連携し、観光振興の取り組みを推進していく」と力を込め、観光ネットワークの実現に強い意欲を示す。

すでに、「商工会議所観光ネットワーク」(CCI観光NET)を構築し、観光振興の取り組みのフォローアップや情報の共有・発信のための推進体制の整備を目指している。

 

各商工会議所も、インフラ整備や人材配置に着手している。

具体的には、小都市を含め、各地の商工会議所に観光委員会や観光部会などを設け、観光推進の中核とする。

また、商工会議所事務局には観光担当者を置く。

都道府県単位で各商工会議所間の定期的な情報交換・意見交換を行うとともに、連携による広域観光 振興を推進する。

さらに、日商と各地の商工会議所観光委員会、担当者らとのネットワークをつくり、情報交換・発信を進める。

 

日商流通・地域振興部の谷脇茂樹課長は「商工会議所会頭や商店街組合の会長などのリーダーが中心となって、観光振興への取り組みを成功させたケースも出ている」と成功例を明かす。

 

地域が一丸となって取り組むための体制整備を構築したケースとしては、延岡商工会議所(宮崎県)が、行政や観光協会、非営利団体(NPO)、住民などを巻き込んだ観光イベントを開催。

一般の家庭に宿泊する「民泊事業」を始める住民も登場し、人気となっている。

 

また、地域の特色を生かした観光資源の開発では、大分県の豊後高田商工会議所が5年かけて、商店街が元気だった昭和30年代をテーマにした街づくりに取り組んだ。

全国300件の事例を研究し、昭和の建築、歴史、商品、商人の4つの再生をテーマに掲げ、総延長500メートル、100軒の商店街を段階的に再生させることに成功した。

 

広域連携で広範囲からの誘客に成功したケースもある。

臨海地に工場を有する室蘭(北海道)、川崎(神奈川県)、四日市(三重県)、徳山(山口県)、新南陽(山口県)、北九州(福岡県)の6商工会議所は、各地持ち回りで「全国工場夜景サミット」を開催。

事例発表やフォトコンテスト、開催地の工場夜景ツアーの実施などを通して、旅行業者などに工場夜景の魅力を広く発信している。

 

日商と全国商工会議所は、3カ年計画で観光振興を図る方針だ。

第1段階として、今年度までにネットワーク構築などの体制づくりを完成させるほか、2015年度までに、地域の観光資源の磨き上げと魅力ある商品化、ブランド化などを図る。

さらに、リピーターを増やすための取り組みを強化し、国内需要を固める。

2016年度までに長期滞在型の観光と、インバウンドの促進に取り組む方針だ。

 

地域連携により、より広範囲からの誘客を実現し、地域間の周回性を高めるほか、外国人旅行者の受け入れ態勢の整備や誘致活動を強化する。

【小島清利】

 

 

SankeiBizより

 

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