防災緑地

 

東日本大震災の津波被災地域に設ける防災緑地について、福島県は県事業の全10地区を平成29年度までに完成させる。

 

6日までに整備見通しをまとめた。

これまでは土地確保のめどが立たないため、完成時期を示せなかった。

 

津波の減災効果が期待でき、安全な生活環境を求める津波被災者らの帰還や生活再建などを後押ししそうだ。

 

実現のためには復興需要などに伴う資材不足や作業員不足などへの対応が必要となる。

 

 

 

10地区の総延長は13.8キロ、総面積は91.4ヘクタールに及ぶ。

いわき市の7地区と広野町の1地区が平成27年度末から平成28年度、新地町と相馬市の各1地区が平成29年度に完成する予定だ。

現在、10地区のうち沼ノ内地区(いわき市)だけが工事に未着手で、他は用地買収が終わった土地から順次、工事に入っている。

 

これまでに10地区の用地の約9割を確保した。

残りは所有者不明や交渉が難航した土地だったが、県は平成27年度から土地収用制度の導入を検討しており、所有者の同意がなくても用地取得が可能になる予定。

これを受け、県は今後の工程を精査した。

 

各市町は防災緑地による安全確保を前提に、津波被災地域のまちづくりなどを進めている。

防災緑地の完成見通しが示されたのを受け、区画整理事業などの計画が具現化される。

 

広野町はJR広野駅東側の開発地域で多くの企業が活動を開始する平成28年度ごろに防災緑地が完成する。

町復興企画課は「事業者の安全・安心につながる。地域のイメージも向上する」と効果を期待する。

いわき市は住宅地域の再生などにも取り組む。

市都市復興推進課は「津波に対する住民の不安が解消され、生活再建が進むのではないか」とみる。

 

県内の公共事業は資材や作業員が不足し、入札不調が相次いでいる。

今後も東京五輪関連工事の増加などが予想される。

県は「周囲の防潮堤(海岸堤防)やまちづくりの工事と連携し、計画的に土などの資材確保に努めたい」と説明している。

 

 

 

防災緑地

防潮堤の陸側に約50メートル幅で設ける。

防潮堤の高さほどに土盛りし、防潮堤の強度を補完するほか、木々が津波の勢いを減衰させ、内陸部への到達を遅らす減災機能などを持つ。

景観の再生、住民の憩いの場としても活用できる。

県は市町の復興計画などに基づき、整備している。

財源は国の復興交付金。

今のところ、避難区域で防災緑地を盛り込んだ復興計画を策定した町はない。

新地町は町事業として釣師地区の整備を進めている。

 

 

 

福島民報より

 

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