東京大先端科学技術研究センターが福井県越前町小樟の海岸沿いに建設していた、世界初の人工ブローホール(潮吹き穴)を使った波力発電設備が完成し2日、施設前で実験開始式が行われた。
来年3月まで毎日24時間稼働させ、発電量や効率などのデータを取る。
最大30キロワットの出力が可能という。
ブローホール波力発電は海岸沿いの岩盤に穴を掘り、穴の中に出入りする波の上下動で起きる風でタービンを回転させて発電する。
これまで国内で実験された複数のタイプの波力発電よりも人工物が少ないため、建設費や維持管理費を抑えることができ、環境にも優しいという。
式には関係者ら約30人が出席。
同センターの西村幸夫所長は「再生可能エネルギーの研究はセンターの柱。成果に期待している」とあいさつ。
同町の内藤俊三町長は「町として誇りに思う。全国に広がっていくことを楽しみにしている」と述べた。
同センターの飯田誠特任准教授は、風を効率よくとらえるタービンの開発や、出力を上げるための新しい方法などを取り入れた施設の概要を説明。
西村所長ら6人がタービン始動のボタンを押した。
飯田氏は「支えてくれた地元の方々への感謝の思いでいっぱい。他の再生可能エネルギーと肩を並べられるようになりたい」と話していた。
環境省の地球温暖化対策技術開発・実証研究事業に飯田准教授らの計画が採択され、2012年度から3年間の事業として進めている。
日本海の強い波や、施設に適した地形のある同町を研究地に選び、昨年12月からブローホールの掘削工事を始めた。
直径1.4メートル、長さ約50メートルの穴を海面に向かって斜めに3本貫通させ、タービンや計測室なども設置した。
福井新聞より