国土交通省中部地方整備局は、破砕瓦の港湾構造物への利活用検討を進めており、このたび利活用技術資料を作成し、ホームページ上で公開した。
軽量で排水性が高いという、破砕瓦特有の材料特性を生かした路盤材・透水材・舗装材といった陸上工事での用途がある一方で、港湾工事での利用が進んでいない現状から、同局は利活用用途の拡大を図るため資料の取りまとめを行った。
海上施工で想定される適用用途は、▽裏込材▽裏埋材▽埋立材。
破砕瓦の材料特性を整理した結果、一般的な材料よりも軽量で、内部摩擦角が大きいため土圧低減材料として有効とした。
一方で、水中投入時のゆるく堆積した状態を想定した場合、材料の分離や濁り、体積収縮による沈下が生じる。
こうした課題の対応策として、水洗いや粒度調整による細粒分の除去、サンドコンパクションパイル工法等で締め固める必要があるとした。
安全性については、有害物質の溶出や環境汚染は起きないとしている。
もっとも適用性が高かったのは、矢板式岸壁の改良工事で、土留矢板背後の気中部の裏埋材として適用した結果、作用土圧の低減効果を得られた。
従来施工と比べ、全体に必要な鋼材量を数%低減できる見込み。
また、気中部での適用の場合、濁りや分級対策を行う必要がないため、標準材料より安価で集められるメリットがある。
同資料は、愛知県で生産される三州瓦の規格外品を破砕したものを対象としているが、他産地の破砕瓦を使用する場合にも適用できる。
また、破砕後の粒径は0~20ミリメートルに限定される。
中部地方整備局は、「海上工事を想定した用途については、いくつかの留意事項をクリアすれば適用できる。陸上施工については、水中投入時の懸念事項がなく、海上施工より適用性が高いといえる」とした。
循環経済新聞より