政府は、長時間労働の見直しに向け朝型勤務を普及させようと「労働時間等設定改善法」の指針を改定する方針だ。
残業時間削減の手法として有効な朝型勤務の趣旨や取り組み事例を盛り込むことを検討する。
また導入企業に助成金の取得を促したり、働き方の相談窓口となる専門コンサルタントを全国で増員したりして、朝型勤務の本格普及に乗り出す。
厚生労働省は、「労働時間等の設定の改善に関する特別措置法」に基づく指針で「労働時間等見直しガイドライン(通称)」を改定。
一定時刻以降の残業は禁止し、終わらなかった仕事を早朝にまわす朝型勤務を推奨することを検討している。
時間の限られた朝の勤務で、効率的な働き方を促す狙い。
一方で、夜の残業時間を減らして「早く帰りやすい雰囲気」をつくり、男性が育児に参加しやすくする。
育児や介護などの事情があってもフルタイム勤務を可能にする効果も期待する。
さらに既存の「働き方・休み方改善コンサルタント」を来年度は全国で10%以上増員するよう2015年度予算の概算要求に盛り込んだ。
残業時間削減や年次有給休暇の取得率引き上げなどに加え、朝型勤務導入の相談にも応じる。
ワークライフバランスの推進に取り組む中小企業を支援する「職場意識改善助成金」で、朝型勤務の導入に向けたコンサルティング費用なども助成対象として周知する。
朝型勤務は大手商社の伊藤忠商事が午後8時以降の残業を原則禁止、早朝(午前5~8時)業務の割増金を引き上げる制度を5月に正式導入。
残業時間が短縮され、会社が支払う残業代や電気使用量も減ったという。
政府は「仕事と生活の調和した社会」を目指し、2020年までに週労働時間60時間以上の雇用者割合を5%(2013年で8.8%)に下げ、年次有給休暇取得率を70%(2012年で47.1%)に上げる目標を掲げている。
SankeiBizより