京都府福知山市夜久野町畑地区の住民グループが谷水を利用した小水力発電の電気で動くトラクターの開発に、大阪の企業と取り組んでいる。
12日には同町畑の水田で試作品の耕運試験を初実施した。
住民は「電力を地産地消し、トラクターの燃料費を無料化したい」と夢を膨らませている。
過疎高齢化が進む地域の活性化を目指す「畑七つの里づくり協議会」。
2014年度から水流を利用して金属製水車を回す小水力発電機2基を畑地区に設置している。
電気は街灯などに活用予定だったが、災害時に停電が長期化する懸念から、農業への有効利用につなげることになった。
トラクターの開発は、京都府や大阪府の自動車整備会社が集まって電気自動車の生産販売を手がける「EVジャパン」(大阪府豊中市)と行っている。
試作品は夜久野町にあった中古トラクターの軽油エンジンを外し、モーターや蓄電池を載せ、約2カ月かけて完成させた。
同社によると、電動のトラクターはまだなく、小水力発電の電力を使う前に機械の性能を試す試験を行った。
試験で電動トラクターは静かに動き、刃を回転させて田を耕した。
試乗した住民は「普通のトラクターと変わらない」と驚いた。
約8時間は走行可能といい、来年3月までに小水力発電で充電した試験も実施する予定。
同協議会の中島俊則副会長(73)は「消費電力も少なく、パワーも十分。電動トラクターを地元に広げたい。排ガスもなく、自然エネルギーを利用した農作物は、付加価値がつく」と語った。
京都新聞より