建設副産物リサイクル広報推進会議(北橋建治会長)は、10月5日、6日に「2016建設リサイクル技術発表会・技術展示会」を行い、北橋会長は、「2020年、東京オリンピック、パラリンピックを機に、世界のトップランナーである日本の建設リサイクル技術について、世界に発信することを目指して、キックオフとしていきたい」と話した。
東京大学大学院教授、野口貴文氏は、「建設材料の資源循環に関する現状・指針・低減―建設リサイクルの是非と理想」とのテーマで特別講演を行った。
野口氏はコンクリートや木材、石膏ボード、塩化ビニル樹脂製品、板ガラスなどさまざまな分野の処理・リサイクルの流れを解説した上で、「資源循環型社会を我々は目指している。一度取り出した資源は使い尽くす前提に立つ必要がある。資源採取量を減らすためにはリサイクルできない製品は排除していくことも必要になる。そのためには設計時にリサイクルできるような仕組みを導入すべき。これからはリサイクル製品であろうと高品質が求められる」と述べた。
また建設リサイクルへの取り組み工事の事例紹介も行われ、さまざまな工事での3R活動の実施の成果が報告された。
ここでは構造物の一部をプレキャスト化することで木製型枠の使用量や、新工法で鋼材の使用量を大幅に削減できたことの他、廃棄物を事前に把握し、計画を立てることで処理困難物も含め100%リサイクルを実現したことなどが報告された。
またこういった取り組みに加え、カーボンクレジット化によるオフセットにより、CO2排出をゼロ化した取り組みなども報告された。
9月に行われた大学生建設リサイクルワークショップからの報告も行われ、とくに建設汚泥については「汚泥という名称にも問題があるのでは。それを変えるだけでもイメージはよくなる可能性がある」などの意見が出た。
その後、大林組の内山里映氏、京都大学大学院教授の勝見武氏、宣伝会議取締役の田中里沙氏、野口貴文氏によるパネルディスカッションが行われた。
勝見氏は学生の意見についても触れ、「汚泥という言葉によるイメージの問題は大きい。業界の中ではそれが当たり前となってしまっている現状に改めて気付かされた。リサイクルをする上では、さまざまな分野の人が関わるため、イメージも重要になる」と述べた。
田中氏も「どのような人向けなのかきちんと対象をフォーカスした上で、ネーミングなどを考える必要がある」と述べた。
循環経済新聞より