長崎県は、五島市福江島の崎山沖で、浮体式洋上風力発電の風車の海中部分に集まる魚を、近くに設置する人工魚礁まで誘導し、水揚げにつなげる実験を計画している。
海洋再生可能エネルギーの導入促進と漁業との協調を図る。
この秋から1年かけて魚の集まり具合を調べ、本格導入を目指す。
風車は最大出力2メガワットの1基で、全長172メートルのうち海中部分の浮体は長さ76メートル、直径は最大7.8メートル。
環境省が2015年度まで実証事業で使用し、現在は戸田建設(東京)の子会社が、所有者の五島市から借りて運転・売電している。
海中調査をしている渋谷潜水工業(神奈川県)によると、当初設置されていた同市椛島沖で、2013年10月の設置から半年後に多くの海藻類が付着。
イワシやカンパチ、タカベの群れ、伊勢エビも集まるようになった。
魚は身を隠す場所や餌場、産卵場として構造物に集まる習性があり、風車の“魚礁効果“が確認された。
風車は今年1月に崎山漁港の東約5キロの海上へ移設した。
五島市は、安全上の理由から半径40メートル以内での漁の自粛を地元漁協に求める一方、同規模の風車を福江島の東方海域に10基程度設置する構想も持っている。
実現すれば、集まる魚も増える可能性がある。
このため、県は半径40メートルより外の複数地点に浮き魚礁を設け、風車から魚を誘導する実験を計画した。
水産部は「魚礁の設置場所は漁協との調整や魚の移動経路の調査を経て決めたい。水揚げ方法も実際にどんな魚種が集まるか確認した上で検討する」としている。
長崎新聞より