理化学研究所の戎崎俊一主任研究員らは17日、宇宙空間をただよう人工衛星などのごみに非常に強いレーザー光を当てて除去する技術の実現を、横浜市で開く光関連技術の国際会議OPICで提案する。
フランス、イタリア、米国との共同研究成果。
同種の会議を毎年開催して国際的な共同研究体制を確立し、10年以内の実用化を目指す。
この技術は宇宙線検出用の望遠鏡で半径100キロメートル圏内の宇宙ごみの位置と速度を計算する。
宇宙ごみに出力500キロワットのレーザー光を当て、表面に発生するプラズマ(電離ガス)の噴出力で減速させる。
宇宙ごみは大気圏に再突入する際に崩壊する。
レーザー光源は望遠鏡に組み込むか近くの空間に配備する。
地上330~36,000キロメートルの宇宙空間には、使命を終えた人工衛星や不要なロケット本体、部品が衝突や分解を繰り返して100万個、総重量で3,000トンのごみが浮遊しているとみられる。
活動中の国際宇宙ステーションや人工衛星の事故を防ぐため、特に地上700~900キロメートルに多い数センチメートル大の宇宙ごみの除去が必要になっている。
ただ宇宙ごみの所有者に無断で除去できない、兵器への利用を防ぐ、落下させる宇宙ごみが活動中の衛星に衝突しないようにするなど様々な問題がある。
会議では技術の概要を紹介するとともに、世界各国から集まる研究者と意見交換し、問題点を抽出する。
日経産業新聞より