動植物油回収やBDF製造・販売事業等を手掛ける大幸産業(沖縄市・大城實社長)は、FITを活用した廃食用油(動植物油)による発電事業を5月に開始する。
発電出力は1日当たり最大7,680キロワット(一般家庭約800世帯分)。
地産地消のエネルギー創出に向け、地元の期待は大きい。
新事業の開始に向けては、廃食用油リサイクルシステムの構築で実績を持つ染谷商店グループの「BDF」(東京・墨田)がサポートにあたった。
設備には発電機160キロワット×2台の他、「BDF」製の廃食用油ろ過精製装置と燃料供給装置を導入。
昨年11月、受電を低圧200ボルトから高圧6,600ボルトへ変更する工事を行い、準備を整えてきた。
燃料とする廃食用油は、既存事業で構築してきた回収ルートに加え、今後は県内の一般家庭からも集める体制を整える方針だ。
同社は現在、県内の食品工場や飲食店等から1カ月当たり約200トンの廃食用油を集めているが、家庭からは同1,000リットルにとどまる。
「家庭からの回収は、本事業の一番の目的。地産地消にこだわりたい」とする。
精製工程では、
まず前処理として廃食用油の脱酸を行い、これを水洗浄して不純物を取り除く。
次に、真空状態で遠心分離機にかけて水分を飛ばし、3マイクロメートルのフィルターに通して精製する。
これを燃料とし、供給装置を通して、発電機に送る仕組みだ。
同工程では多くの温水が発生するが、プラント内の洗浄や、精製の際の保温に活用して省エネも実現した。
当面は1カ月当たり60トンの廃食用油から、23万キロワットを発電する計画。
2021年までに設備を拡充して、発電量を約5倍に増やしたいとする。
大城社長は、「島という地域性から、地産地消のエネルギーシステムを構築することは、コストや安定面からも非常に意義が大きい。同事業をさらに拡大することで県内経済に貢献していきたい」と話している。
循環経済新聞より