島根県の地場産品「石州瓦」の廃材を活用したコンクリートを使った橋梁(きょうりょう)の建設を、国土交通省浜田河川国道事務所が同県浜田市で進めている。
安全性が求められる橋梁の建設材料に瓦材を使用するのは、日本初の試み。
瓦をコンクリート材料に混ぜると強度が増すなどのメリットがある上、廃材のリサイクルにもつながるとして、「一石二鳥」の効果が期待される。
この橋梁は、山陰道「浜田・三隅道路」の敷設に伴い、分断される私有地をつなぐため山陰道上をまたぐ跨道橋(こどうきょう)(長さ40.8メートル)。
広島大の佐藤良一名誉教授(コンクリート工学)と平成23年度から共同研究を進め、研究成果を基に今回初めて橋梁の主桁部分に、瓦材を含むコンクリートを使用している。
コンクリートは、セメントと砕石、砂、水などを混ぜて作られる。
共同研究では、このうち砂の一部を、砂状に粉砕した廃瓦に置き換えた。瓦材は砂より吸水性が高いため、コンクリートの強度が増すとともに、コンクリートのひび割れを抑える効果が確認された。
同事務所は、この跨道橋建設に際し、使用する砂のうち12%を瓦材に置き換えて施工。
今年度末の完成を予定しており、「瓦材を混ぜることで強度が1割程度増す」と見込む。
松本治男所長は「地場産業への貢献、構造物の寿命延長が期待できる取り組み。この橋で効果を検証したい」と話している。
石州瓦工業組合によると、石州瓦は高温で焼成するため、他産地より規格外品の出る比率が高く、産地全体で年間約1万トンにのぼる。
粉砕した廃瓦は、園芸資材や路盤材料などに活用されており、「橋梁への利用が進めば、選択肢がさらに広がる」と期待する。
産経新聞より