廃校になった鋸南町立保田(ほた)小学校を再活用した千葉県内26番目の道の駅「道の駅 保田小学校」(同町保田)の竣工(しゅんこう)式が9日、行われた。
11日に開校する。
学校だったことを生かした工夫が施設内の随所に施されており、今年1月には廃校利用という先駆的なモデルとして、国土交通省が定める「重点道の駅」の候補に選定された。
地域の新たな拠点として期待が集まっている。
町企画財政室によると、保田小は統合により、昨年3月に126年の歴史に幕を下ろした。
「学校という親しみやすい施設の特性を生かし、人が集まれる場所として生まれ変わらせよう」と、これに先立つ平成23年から、跡地を再利用した新施設の整備計画づくりが始まった。
施設の敷地面積は約1万4,200平方メートル。
校舎棟には、町の情報ラウンジや教室を改造した宿泊スペースがある宿泊施設が入っている。
温浴施設もあり、利用客が「学校に泊まる」という学生時代の夢を近い形でかなえられるようになっている。
災害時には避難者を収容することを想定。
東日本大震災で、避難者が寒い体育館などで寝泊まりしている様子に問題意識を持ち、有事でも安全かつ快適に過ごせるよう設備を充実させたという。
体育館は、町の農産物などを販売する直売所として生まれ変わった。
大きな特徴は、学校時代の面影が随所に見られる遊び心だ。
黒板や部活のトロフィーといった学校ならではの品が飾られていたり、飲食店舗に授業用の椅子が使われていたりと、廃校利用ならではの設備や工夫がふんだんに施され、隠れた“学校あるある”を探すのも楽しみの1つになっているという。
同課では、利用客が町に興味を持って移住することや、東京五輪・パラリンピックでインバウンド(訪日外国人観光客)の宿泊施設として活用することなどを通じ、町の活性化につなげたいとしている。
直売所や飲食店舗は地元住民の雇用の創出にもつながるといい、担当者は「まちづくりの新たなモデルケースにしたい」と期待を込める。
産経新聞より