政府は25日、家庭や企業の省エネ対策を強化する方針を固めた。
エネルギー消費が実質ゼロの省エネ住宅「ゼロエネルギー住宅」を2020年に住宅大手などが作る新築戸建て住宅の過半数とすることなど、住宅の省エネを促進する行動計画を来夏までに策定。
これまで製造業などに設けてきた業種ごとの省エネ指標を3年以内に流通・サービス業にも新たに適用するほか、中小企業の省エネ対策支援も行う。
エネルギー消費量や二酸化炭素(CO<sub>2</sub>)排出量の削減を進めると同時に、省エネ分野での投資拡大を促して経済底上げにもつなげたい考えだ。
26日に開く官民対話で安倍晋三首相がこれらの方針を指示する。
来夏に改定する政府の成長戦略への反映を目指し、今後経済産業省が目標達成に向けた具体策の議論を進める。
ゼロエネルギー住宅は、高性能の断熱材や空調、燃料電池を使った給湯システムなどで省エネを進めることで、屋根に設置した太陽光発電で得られる電力・熱量と家庭内の消費量を一致させた住宅。
新築戸建て住宅に占める割合は現在15%程度だが、政府は2020年までに50%超とこれを3倍以上に引き上げるほか、省エネを目指すリフォーム戸数を現在(年32万戸程度)から倍増させる。
住宅メーカーには白熱灯でなく高効率のLED照明の活用も促す方針で、これら住宅全体の省エネを促進する具体的計画を来夏までに策定する。
企業の省エネ対策では、鉄鋼や化学などで業種ごとに定めている省エネ指標制度を製造業以外にも導入する。
今年度中にコンビニを対象とするほか、今後3年でスーパーや百貨店、ホテルなどその他の流通・サービス業にも範囲を広げることで、全産業のエネルギー使用量の7割をカバーすることを目指す。
コンビニでは、売上高あたりの電気使用量が少ない高効率企業の水準を指標とし、効率の悪い企業に改善を求める。
中小企業の省エネ投資を支援するため、自治体や商工会議所、地方銀行などによる相談機関を全都道府県に設置することを目指す。
このほか、企業や家庭が節電した分を発電したと見なし、電力会社が買い上げる「ネガワット取引」について、節電量の算定方法などのルールを2016年度中に作り、2017年末までに市場取引の実現を目指す。
【小倉祥徳】
毎日新聞より