「コルク栓」の再生

 

ワインやシャンパンを楽しむ人の増加に伴い、大量のコルク栓が廃棄されている。

 

軽くて弾力性のある天然素材であるコルク栓を集め、再利用資源として活用しようという取り組みが、ワインを扱う飲食店を中心に広がっている。

 

 

 

「カフェバーで働いていたときに廃棄物の多さに驚いた。何かできることはないかと調べていたら、海外ではコルク栓がリサイクル対象品だと知った」。

こう話すのは、平成23年に「東京コルクプロジェクト」を立ち上げた北村真吾さん(32)だ。

 

同プロジェクトは、ワインやシャンパンを扱う飲食店に協力を求め、コルク栓を回収。

都内の障害者施設に依頼して再生できるものとできないものに分別、洗浄・乾燥した後にコルク製造業者に売る。

再生されたコルク資材は同プロジェクトの運営会社が買い取り、テーブルやいす、コースターなどに加工・販売している。

コルクの温かみを生かしたナチュラルでシンプルなデザインが特徴だ。

 

現在、飲食店や酒販店など718団体が同プロジェクトに参加。

1個4グラムのワイン栓と同10グラムのシャンパン栓が毎月350~400キロ集まる。

これまでに計約13.5トン、224万個のコルクを回収した。

 

プロジェクトに参加する自然派イタリアンレストラン「N-1155」(東京都目黒区)は、店頭で販売する産地直送野菜の近くに回収ボックスを設置。

近隣住民が気軽に立ち寄り、コルク栓を入れていく。

 

「回収の半数は店外からのもの。ワイン栓を捨てるのはもったいない、と思っている人は多いんですね」と店長の志水優子さんは笑顔を見せる。

 

「プロジェクトの取り組みをより多くの人に知ってもらいたい」と北村さん。

商品開発などを通じ、素材としての再利用を促進していくという。

 

 

 

名古屋市を中心に静岡市など中部地方でコルク栓回収の活動を展開するのは「リコルクプロジェクト」だ。

平成24年に活動を開始し、現在、飲食店や酒販店など140店舗が参加する。

発起人の松浦仁志さん(45)は名古屋市内で仏料理店を営むオーナーシェフ。

「自分たちにできるエコ活動として始めた」と振り返る。

 

集めたコルクは製造業者に持ち込んでいる。

当初は無償で引き取ってもらっていたが、松浦さんの取り組みが評価され、昨年から買い取りに。

これまで365キロ分を販売し、全額をNPO法人「国境なき医師団」に寄付した。

 

松浦さんの姿勢に共感した広告会社が無償でリーフレットを作成、参加店が来店者向けに配布するなど取り組みが広がりつつある。

「身近なことですが、ワインのコルクリサイクルから地球環境を考えるきっかけになれば」。

松浦さんはこう話している。

 

 

 

 

【用語解説】コルク

コルク樫(がし)の樹皮を加工した天然素材で、ポルトガルやスペインが主な産地。

樹皮を再生させる性質があり、木を伐採せずに何度も採取できる。

樹皮を採取した後のコルク樫は成長のため3~5倍の二酸化炭素を吸収、地球環境に優しい。

欧米のワイン消費量の多い国ではワイン栓の再利用が進んでおり、サンダルのソール(底)やガーデニング用品、住宅床材などに使われている。

【日野稚子】

 

 

 

産経新聞より

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株式会社トリムはガラスをリサイクルする特許技術でガラスから人工軽石スーパーソルを製造しています。
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