栃木県那須町で電気を使わず、自然エネルギーを活用した暮らしを提案する「非電化工房」代表で日大客員教授の藤村靖之さん(70)が、工房敷地内に「非電化カフェ」(同町寺子丙)をオープンさせた。
麦わらを圧縮したブロックを壁に使用するなど究極のエコロジーハウスとされる「ストローベイルハウス」で、弟子たちと3年かけて完成させた。
藤村さんは元大手企業のエンジニアで、電気を使わない「非電化冷蔵庫」や太陽光を利用した「非電化グリーンハウス」などで知られる発明家。
平成19年に那須町に移住、1万坪(約3万3千平方メートル)の敷地に「エネルギーとお金を使わないで得られる豊かさ」を提案する拠点として非電化工房を建設した。
「非電化カフェ」はその中核施設で、アフリカ・ジンバブエの家をモデルにした。
藤村さんが地元の若者から「カフェをやりたいがお金がない」と聞き、「それなら50万円でつくろう」と始めたプロジェクトだ。
建物は八角形。
壁は麦わらを固めたブロックを重ね、土やしっくいを塗って厚さ60センチに。
屋根は杉皮を重ねた。
天井や床の断熱材にはもみ殻を使い、屋根の中央に風力の換気扇を取り付け、窓には廃ガラス。
2棟を建て、室内は約60平方メートル。
約40席が設けられ、中央には調理場の建物も整備した。
電気は使わず照明はろうそくやランプを使用する。
平成24年3月に着工、福島第1原発事故の影響で完成が遅れたが、今年4月に完成した。
総工費は約80万円。
藤村さんは「当初計画の50万円は超えたが、それでも格安。厚い壁と杉の皮で熱が遮断され、換気口も設けているので空気がよどまず、夏に冷房がなくても涼しい。静かさも違う。のんびりとした時間を過ごしてほしい」と話す。
非電化カフェの営業は土日の午前10時~午後5時。
オーガニックコーヒー、はと麦茶が各500円。
産経新聞より