石炭灰を使用し雨水の透水層と保水層の二重構造で舗装する工法を開発した環境緑化保全コンサルタント(福岡県宗像市)は、送電線や携帯電話基地局などの 建設を手がける共和テクノ(横浜市西区)と、同工法の工事代理店(特許実施権)契約を結んだ。
首都圏への進出を図りたい環境緑化と、新規事業開発を急ぐ共和の思惑が一致した。
共和は来年1月から、コスト競争力を検証しながら代理店機能を果たしていく考え。
環境緑化が開発した「くりんかロード工法舗装」は、石炭火力発電所で発生する石炭灰を原料に、今までなかった透水層と保水層を一体化し舗装する。
表面層は雨水を透水し、保水層に誘導。
ここで雨水をためながら余剰水は地中に浸透させる。保水能力は体積の約50%という。
同工法による舗装は、保水効果による表面温度の低下を招き夏季のヒートアイランド現象を抑制する。
また優れた保水能力は短時間集中豪雨による中小河川の洪水を防ぐことができる。
透水するため舗装面に水たまりができないほか、雑草の生育を防ぐため、周辺の美観が損なわれず、住民からの苦情がなくなるという。
同社はこれまで、市街地にある送電線の鉄塔敷地内など150カ所、累計で5万平方メートル超を舗装してきた。
しかし、すべてが九州で、しかも九州電力とその関連企業が取引先のほとんどを占める。
このため新たな顧客開拓に取り組んでおり、民間企業への売り込みも積極化。
水たまりができないため、水はねがなく歩行に安心ということでハウステンボス(長崎県佐世保市)の遊歩道にも採用された。
さらに「九州以外への挑戦」(楳木真一取締役営業部長)を決め、首都圏進出を計画。
この一環として今年7月、明治安田生命保険が開催した東京での異業種 交流会に初めて参加した。
事前配布される参加者名簿から仕事を任せられる企業をピックアップ。
その中から、鉄塔などを建設してきた共和に絞り込んだ楳木氏が共和の藤田裕取締役事業開発本部長に会場で名刺交換し資料を渡した。
共和は東京電力福島第1原発事故以降、東電からの土木工事などの発注が減少。
これに代わる事業づくりに力を入れていたため、環境緑化からの申し入れは「渡りに船」。
それからとんとん拍子で話が進み、11月に契約を結んだ。
環境緑化にとって共和が首都圏における最初の代理店となった。
藤田氏は「透水性と保水性を一体化する技術はほかにない。(産業廃棄物の)石炭灰を活用するので資源リサイクルに貢献し環境性能に優れる。ポテンシャルが高い」と評価する。
来年早々に中間処理済みの石炭灰を九州から仕入れて、神奈川県海老名市にある事業開発本部の拠点にショールームを設置。
新規事業の有力商品として、実績 のある電力会社向けだけでなく、遊歩道をもつ観光地や新しい街づくりに取り組む不動産業者などに提案していく予定だ。
同工法による舗装も含め、近い将来には新規事業で、売り上げの50%獲得を目指す。
SankeiBizより