福島県いわき市の福島高専などは6日、県内の可燃ごみを燃やした際に舞い上がる焼却飛灰から放射性セシウムを90~95%除去する技術を開発したと発表した。
東京電力福島第一原発事故発生後、焼却飛灰の処分は放射性物質に対する住民の不安などを理由に進んでいない。
同校は、セシウム除去により焼却飛灰の埋め立て処分が加速すると期待している。同日、広野町で実証試験装置の見学会が開かれた。
福島高専、長岡技術科学大(新潟県長岡市)などでつくる共同研究グループが、科学技術振興機構(埼玉県川口市)の支援を受けて技術開発に取り組んだ。
焼却飛灰を水蒸気で高温・高圧処理し、放射性セシウムを分離する仕組みだ。
放射性セシウム濃度が1キロ当たり5,100ベクレルの飛灰を処理し、同309ベクレルまで減少させたという。
研究グループによると、約1万トンの焼却飛灰を処理した場合、放射性セシウムが付着した約百トンの吸着剤とセシウムを九割以上除去した処理飛灰などに分離される。
吸着剤は放射性セシウムを吸収するゼオライトが練り込まれた合成繊維で、放射性物質を含む廃棄物の容量が大きく減るとしている。
研究グループは長期的な放射線量管理も容易になるとみている。
研究グループは平成27年度にも一日数トン規模の処理能力を持つ実験プラントを稼働させる考えだ。
実験プラントでの検証をはじめ、県内外の市町村の要望、事業を進める企業の運営計画などを総合的に検討し、事業化を目指すとしている。
福島民報より