愛知県陶器瓦工業組合(愛知県高浜市、野口安廣理事長)は3月16日、三州瓦の製造工程で発生する規格外瓦の破砕物(シャモット)を使用した、L型擁壁施工実験の結果報告会を開催した。
組合敷地内に設置した擁壁の基礎材・裏込材にシャモット(粒径0~20ミリメートル)を用い、山砂を使った標準施工との比較・検証を行った。
施工後、約1年半の経過を観察した結果、従来より同等以上の性能を確認。
瓦は軽量で摩擦性が高く、擁壁の長期安定性に効果的な材料であることを実証した。
瓦は土粒子が軽く、摩擦性や自立性が高い特性を持つことから、擁壁に掛かる圧力を従来より20%軽減し、安定性を向上。
透水係数が高いため水はけが良く、降雨時の負担も少ない。
また、転圧後の圧縮性が低いため、施工時の転圧回数や材料の使用量が少なくて済むなど、コスト削減効果も期待できるとした。
実証試験は昨年8月から開始。
同年9月に発生した台風で、山砂を使った擁壁の法面には大きな影響が見られ、自重や強度の低下・乾燥などにより表面部にクラックが確認された。
瓦施工は原型を長期的に維持できる。
また、防草効果を得られ、メンテナンスが容易な点も強み。
中央分離帯や法面など雑草の伐採作業が困難な場所にも施工可能となっている。
名古屋工業大学との共同研究で、シャモットが液状化対策に有効であることを突き止めたことを皮切りに、舗装材や路盤材(駐車場・歩道・公園など)、埋め戻し材とさまざまな実証実験を重ね用途を拡大してきた。
埋設管の埋め戻し材料としては、毎日経過観察し、3年以上のデータを蓄積。
石灰改良土では、埋設管のひずみが施工時と比べ倍以上に広がったが、シャモットでは管が膨張する夏期以外、一定の数値を保つ結果を得た。
同組合の担当者は、「毎年約6万トンの規格外瓦を受け、うち8割は瓦原料に戻し、2割をリサイクル資材として加工・販売している。土壌汚染対策法に基づく溶出基準などの環境基準をすべてクリアしており、今後も破砕瓦が土木資材として有効なことを実証していきたい」と話した。
循環経済新聞より