辞書を中心に展開している三省堂(東京都千代田区)は「今年の新語2016」で、一般から募った言葉の中から大賞に「ほぼほぼ」を選んだ。
選評によると、「ほぼほぼ」(副詞)は、「ほぼ」の強調。
選考委員の間でも「今年よく耳にした」という意見が多く、高い評価を得た。
「ほぼほぼ」は、「国会会議録」によると、1949年にはすでに使用例がみられるという。
それほど多くは使われていなかったが、1990年ごろから増え、2010年代には顕著に。
今では日常会話で使われる言葉として定着した。
こうした経緯に加え、受賞のタイミングは今年しかないと判断した。
「今年の新語」は昨年から始まった。
その1年を代表する日本語で、今後、辞書に掲載されてもおかしくないものが対象。
候補となるのは
「『今年特に広まった』と感じられる言葉」
「自分自身や周りの人が、ふだんの会話などでよく使うようになった言葉」
「流行語や時事用語、新しい文物」という。
今年はウェブサイトやツイッターで投稿を募り、応募総数は延べ2,834語(重複をのぞくと1,182語)。
三省堂で辞書を編纂(へんさん)している編集委員3人が選考委員となって審査し、3日に発表した。
1日に発表された「ユーキャン新語・流行語大賞」で年間大賞に選ばれた「神ってる」や、「チャレンジ」、「IoT」は選外だった。
特に「神ってる」は投稿数が一番多く、ランクインが検討されたが、選評によると「広島カープの緒方孝市監督が鈴木誠也選手の好調を評して語ったのが流行語となった。
しかし、現時点での『神ってる』の使われ方は、緒方監督の発言を念頭に置いた流行語という性格が強く、一時的に脚光を浴びている言葉は、わたしたちの『今年の新語』のカラーには合わない」と判断したという。
大賞以外のベスト10入りは下記の通り。(※語釈は、三省堂のホームページより)
2位「エモい」
※『新明解国語辞典』風
(形)〔emotionを形容詞化したものか〕(音楽などで)接する人の心に、強く訴えかける働きを備えている様子だ。
「彼女の新曲は何度聴いても━ね」
3位「ゲスい」
※『三省堂国語辞典』風
(形)〔俗〕ゲスな感じだ。下品だ。やりかたが きたない。えげつない。
「-下(シモ)ネタ・-質問」〔江戸時代からあり、二十一世紀にはいって特に多く使われることば〕
4位「レガシー」
※『三省堂現代新国語辞典』風
(名)〔legacy〕あるイベントのためにつくった施設が、のちのちまで再利用できること。また、その施設。
「五輪後の-になれるかを議論する」〔英語本来の意味は、「遺産」「遺物」〕
5位「ヘイト」
※『三省堂国語辞典』風
〔hate=にくしみ〕(1)にくしみから来る、差別的・犯罪的な行為(コウイ)。「-団体・-クライム〔=差別にもとづく犯罪〕」(2)?ヘイト スピーチ〔にくしみから来る、差別的な発言・表現。憎悪(ゾウオ)表現〕
6位「スカーチョ」
※『新明解国語辞典』風
〔スカート+ガウチョパンツ〕 裾が広がりゆったりとして履きやすく行動しやすい、女性用の衣服。?ガウチョパンツ
7位「VR」
※『新明解国語辞典』風
〔←virtual reality〕想像することはできるが現実には存在しない事柄を、コンピューターを操作することによって、あたかも実在するかのような、視覚的・聴覚的に捉えられる映像によって表わすこと。また、そのための技術。「-によって再現された南米の古代都市」
8位「食レポ」
※『三省堂国語辞典』風
(名・他サ)料理を食べてみた感想のレポート〔=報告〕。食リポ。〔テレビから出て、2010年代に広まったことば〕
9位「エゴサ」
※『三省堂現代新国語辞典』風
〔←エゴサーチ〕インターネット上で、自分の名前や運営しているサイト名などを検索して、その評判や評価を確認すること。「-したら、むちゃくちゃ書かれててまじへこんだわ」〔「自己」を意味するラテン語egoと、「調査する」を意味するsearchから。近年は、自分以外のものを検索する場合も言う場合があるが、これは「マイカー」が他人の車についても言うようになったことと類似している〕
10位「パリピ」(名・自動サ変)
※『三省堂現代新国語辞典』風
〔←パーリー(パーティー)・ピーポー(ピープル)〕パーティーのような、はなやかで盛り上がることのできる場を好むひとびと。また、そのような場に集う陽気で社交的なひとびと。「自宅系-・こんど-しない?〔=こんど、パーティーで大盛り上がりなひとにならない?〕」〔英語partyの発音が「パーリー」と聞こえるところから〕
産経新聞より