トヨタ自動車、日産自動車、ホンダなど自動車メーカーやインポーター(輸入業者)が共同で、2017年度にも自動車リサイクルの高度化につながる公的事業を目的とした基金を設置する。
各社はリサイクル料金の収支均衡を目指しているが、資金管理法人からの払い渡しよりも再資源化費用が少なく、余剰金が発生する場合がある。
余剰金で基金を設置し、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)など新素材への対応などリサイクルシステム全体を高度化する。
公平、中立性の観点から、自動車メーカーが出資する自動車再資源化協力機構に基金を設立し、各社の判断の下で、資金を拠出する方向。
有識者による第三者委員会を設け、基金の管理、執行を監視するほか、国も事業体制をチェックする。
具体的使途は未定だが、新素材対応や再生プラスチックの利用を促進する技術開発などが想定される。
公募により解体業者など受託事業者を募り、助成金を支給する見通しだ。
日本自動車工業会によると乗用車の平均使用年数は12.38年(15年3月末)。
自動車メーカーは廃車時を想定してリサイクル料金を設定するため、収支均衡を目指すが、予測が難しい。
その間、メーカー各社の努力で処理費用が低下。
資金管理法人「自動車リサイクル促進センター」の利息も積み上がり、メーカーへの払い渡しと再資源化費用に差が生じ、収支が黒字傾向にあった。
15年度は各社合計で約40億円の黒字で、リサイクル法施行時からの累計黒字は約168億円。
各社はその年に発生した余剰金の中から、基金への拠出額を個別に設定する。
不法投棄対策を目的としてきた自動車リサイクル法は、施行から10年超を経て一定の成果を上げた。
全国の不法投棄・不適正保管車両は足元で5,500台規模と激減している。
今後、リサイクルの高度化が焦点になる。
ニュースイッチより