栃木県は農産物直売所を拠点に農村の高齢者を支援する仕組みを構築する。
収穫した農作物をトラックを巡回させて集荷。
店頭で売れ残った農作物は調理して農村に宅配する。
今秋にも1カ所の直売所で実験を始め2017年度以降ほかの直売所に広げる。
体力が衰えても農業を続けられるようにして健康を増進するとともに安否確認にもつなげる。
県は2016年度予算に「都市農村交流施設機能強化支援事業」として1,700万円を計上した。
モデルとなる直売所を1カ所選び、トラックの運行や調理施設の整備にかかる経費を補助するほか、アドバイザーを派遣する。
同時にインフラとして直売所と農家の間で農作物の売れ行きや食事の宅配注文などの情報をインターネットでやり取りするシステムを構築する。
スマートフォンだけでなく、旧来型の携帯電話にも対応。
デジタル機器に不慣れな高齢者が簡単に操作できるようにする。
農家は直売所からの情報を参考にしながら、収穫した農作物を午前中に近所の公民館などに持ち込む。
直売所はトラックでそれらを集めて店頭に並べる。
集荷は原則有料とする。
直売所は午後の空いたトラックを活用し、買い物代行や食事の宅配サービスを手掛ける。
農家だけでなく、農村にすむ無職の高齢者も対象とする。
直売所にはレストランや加工場を併設しているケースが多く、売れ残った農作物を調理できる。
農村の高齢化が急速に進むなか、栃木県は農産物直売所を拠点に活性化を狙う。
農家にとっては、自分の作った農作物が少額でもお金にかわれば生きがいにつながる。
農産物直売所も品ぞろえ拡大によって魅力が高まり、都市部の消費者の利用増が見込める。
農林水産省がまとめた2015年の農林業センサスによれば、栃木県内の農業就業者は6万2千人で、60歳以上は4分の3の4万7千人だった。
日経流通新聞より