放置竹林に挑む

 

放置竹林が広がる静岡県浜松市西区大久保町で27日、竹を活用して作った野菜や料理を提供するレストラン「CoCoChi(ここち)」がオープンする。

 

景観悪化や生態系への悪影響を招く放置竹林対策は県内でも進む一方、伐採した竹の処分については有効な手だてが見つかっていない。

 

そんな課題の解決にも挑む新たなビジネスが一歩を踏み出す。

 

 

 

レストランを運営するのは、県内外で飲食店を展開する「G.D.S」(同町)。

谷野剛一社長(65)が昨年、地元住民らとNPO「OHKUVO(おおくぼ)」を設立し、破砕した竹チップを野菜の肥料、豚や鳥の飼料に使用するなど農業や畜産業への活用方法を探ってきた。

竹のパウダーを練り込んだパスタやヨーグルトなどのメニューも開発し、竹を有効活用する農園レストランの開店にこぎ着けた。

 

同社によると、乳酸菌や繊維質を豊富に含む竹は栄養価が高く、滅菌作用によって農地の土壌を改良する効果も期待できるという。

NPO会員で地元の農業谷野守彦さん(48)は5年前から、破砕した竹チップを畑にまいてアスパラガスを栽培する。

「まだ試行錯誤の段階だが、竹チップで土の保水性が高まる。微生物によってカビの繁殖も抑えられる」とメリットを実感している。

 

レストランでは地元の野菜を使ったサラダバーを設け、将来的に竹を使って育てた農作物を「大久保ブランド」として売り出したいという。

近くの竹林は同市の光産業ベンチャー企業「パイフォトニクス」と連携してライトアップし、見た目にも竹を楽しんでもらう工夫を凝らす。

タケノコ掘りなどの体験コーナーの設置も計画している。

 

レストランの店長を務める同社の菅沼武志さん(39)は「見ても食べても楽しめる竹の魅力を提供し、地元の活性化につなげたい」と意欲的に語る。

 

 

 

県西部農林事務所によると、県が進める「森の力再生事業」の第1期(2006~15年度)で整備した県内の放置竹林は約380ヘクタール。

2016年度からスタートした第2期でも今後10年間に約200ヘクタールで竹林を伐採する計画だが、担当者は「刈り取った竹をどう処理するか。有効な活用法は見つかっていない」と課題を挙げる。

 

人手不足などで手入れが行き届かなくなった県内の放置竹林は、県中西部を中心に点在している。

景観を損なう上、日照を遮るために他の下層植物の成長を妨げるなど生態系へ悪影響も及ぼす。

土砂崩れを防ぐ森林の防災機能を低下させる可能性もあるという。

 

同事業などにより各地で放置竹林への対策が講じられる一方で、伐採した竹の多くはその場に積み上げられているのが現状。

浜松市では料理の食材や畜産の飼料など有効活用に向けた研究開発も行われているが、商用化は思うように進まない。

同事務所の担当者は「竹の再利用がビジネスに結びつけば、放置竹林対策にも弾みがつく」と民間のさらなる取り組みに期待する。

 

 

 

静岡新聞より

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