雨水による地表面の浸食を防止する工法を開発した環境緑化保全コンサルタント(福岡県宗像市)は、九州電力から、山間部の斜面に立つ送電鉄塔下の敷地内を舗装し保全する工事を受注した。
受注総額は2億8,000万円。
市街地での敷地保全では2009年からの6年間で約190件、累計で5万4,000平方メートルを舗装してきたが、山間部で本格展開するのは今回が初めて。
これを機に事業領域を広げ全国展開を目指す。
受注したのは、九電が建設を始めた日向幹線(電圧50万ボルト)の送電線工事で建てられる鉄塔291基の敷地内保全工事。
降雨時の鉄塔部材からの雨滴による地表面の浸食を防ぐ。
雨滴対策としてこれまで、張芝工事などを実施しているが、激しい雨が降ると表土が流れ出し張芝が自生できず、鉄塔内敷地が裸地になる表層崩壊が起きてしまう。
日向幹線の建設地は非常に険しい場所が多く、集中豪雨により土砂災害が発生する危険性も高いため、九電は新たな敷地保全対策を迫られていた。
こうした中、九電が注目したのが、環境緑化が開発した「くりんかロード工法舗装」。
石炭火力発電所から発生する石炭灰を原料にセメントと配合し、雨水を透水する層と保水する層の二重構造を一体的に舗装する。
表面層は雨水を透過し、保水槽に誘導。
ここで雨水をためながら余剰水は地中に浸透させる。
保水能力は体積の50%という。
同社が手がけてきた市街地での舗装工事は全て九州で、しかも九電とその関連企業との取引がほとんどを占める。
こうした実績に加え、新技術開発財団から助成を受けて実施した九電管内の山間部にある一ツ瀬幹線(宮崎県日向市)での実証試験から、くりんかロード工法舗装が傾斜面の敷地保全に経済性・耐食性・保全性において有効と判断。
この技術をもつ企業が他にないため、九電は日向幹線の鉄塔敷地内の雨滴浸食防止工事を環境緑化に特命発注した。
工事は8月下旬から開始し、実質的な工期は2017年までの3年間。
初年度となる2015年9月期から環境緑化の売上高に寄与、同期の売上高は主力の市街地での敷地保全も含めて2億5,000万円と前期(1億1,000万円)比で倍増を見込む。
同社の楳木忠秋社長は「くりんかロード工法舗装が山間部の集中豪雨による土砂災害防止に寄与すると評価された。
これを機に全国展開を目指す」と胸を張る。
日向幹線は全長124キロで、東九州変電所(大分県臼杵市)から、ひむか変電所(宮崎県木城町)までを工事区間とする。
九州南部と北部を結ぶ50万ボルト送電線をループ状にすることで、九州南部の電力の安定供給を図るのが目的。
2019年6月の運用開始を目指している。
SankeiBizより