環境省は16日、仙台市で開催中の国連防災世界会議で、大災害で生じる災害廃棄物への備えの重要性とノウハウを発展途上国などに伝授するシンポジウムを開いた。
被災地にあふれる廃棄物は救助活動の妨げになるほか、処理に手間取れば感染症や火災などの2次災害を招く。
同省は「地震大国」からの教訓として廃棄物対策の重要性を訴えた。
日本で大規模災害が発生すると、人命救助のため、がれきなどの廃棄物は仮置き場に指定したグラウンドなどに移す。
そこですぐに分別作業に着手し、木材は土砂を取り除いて仮設施設などの建材に、コンクリートや土砂は道路や建物の基礎材として再利用する。
環境省によると、東日本大震災では、こうした手法で廃棄物の8割を再利用した。
5割程度だった阪神大震災(1995年)より大幅にアップした。
シンポジウムで同省担当者は、災害ごとに被害を想定し、仮置き場の場所や関係者の役割分担を決めたり、機材の手配などの計画を立てておいたりする取り組みを説明。
東日本大震災での廃棄物の処理状況や巨大地震などを想定した地域ブロックごとの計画策定状況を紹介した。
海外ではこうした備えは進んでいない。
2008年の中国・四川大地震では1年を経ても災害廃棄物に埋まった行方不明者が多数残り、復興の足かせとなった。
17日午後には東北大で、「巨大災害発生時における災害廃棄物対策」と題し、総合フォーラムが開かれる。
【渡辺諒】
毎日新聞より