2011年03月15日
ぬちぬすーじ
タイトルの【ぬちぬすーじ】とは沖縄の
方言で、標準語に直すと『命のお祝い』
と言う事です。
ここんところ東日本大震災の話題をお届
けして来ましたが、私の住む沖縄では過
去の戦争により、現在の被害とは比較は
出来ないとは思いますが、数十万人の方
が命を落としています。
そんな戦後まだ何日も経ってない最悪の
状況の沖縄を笑いで盛り上げた人がいま
す。
その人は小那覇舞天(おなはぶーてん)
本名 小那覇全孝(おなはぜんこう)
さんです。
現在の日本歯科医師大学を卒業した歯科
医で、仕事で白衣を着ている時等は、そ
れこそまじめで口数の少ない人だったそ
うです。しかし、一歩外に出ると風変わ
りな男に変貌し、弟子の照屋林助(てる
やりんすけ)と毎晩のように、まだ起きて
いる家を見つけては、かんだかい声で
『ヌチヌスージサビラ』(命のお祝いを
しましょう)」といって入っていきます。
【♪ジャカジャカジャン♪】と三味線が鳴
り響き、歌をうたうのです。
突然やって来た変な男が、琉球民謡の節
に乗せ即興で作った歌と独特の踊り(琉
球舞踊)アレンジした変な踊りを踊るの
で皆はあ然としたそうです。
そのうちに舞天のユーモラスな姿に乗せ
られ、みんなも一緒に踊り出したそうで
す。
【ある日のエピソード】
舞天がある屋敷を訪問したとき、家の中
では位牌をまつり、家主は涙を流し悲し
んでいたそうです。
家主は舞天にいいました。
『どうしてこんな悲しい時に歌うことが
出来るの?』『多くの人が戦争で家族を
失ったのに!』戦争が終わってからまだ
何日も経っていないのに、位牌の前でど
うしてお祝いをしようというのですか?』
と・・・・。
すると舞天は答えました。
『あなたはまだ不幸な顔をして、死んだ
人たちの年を数えて泣き明かしているの
か?』生き残った者が生き残った命のお
祝いをして元気を取り戻さないと、亡く
なった人たちも浮かばれないし、沖縄も
復興出来ないのではないか!さあ遊ぼう
じゃないか!』と…。
最初は中々受け入れてもらえなかった舞
天は『集まりに必ず顔を出し、場を盛り
上げる男』として『ブーテン』の愛称で
親しまれ、周りの人たちは少しずつ元気
を取り戻し、地域の輪が広がったそうで
す。
悲惨な状況下の中で、不謹慎という考え
方もありますが、生存させて頂いた事に
感謝し、暗い顔をしているよりも明るく
前を向く事も必要だと思います。
それは無念にも亡くなられた多くの方の
願いでもあると思います。
亡くなられた多くの方も『生き残ったん
だから、悲しむのではなく何とかこの困
難を乗り越えて幸せになって欲しい!』
と天からエールを送っているはずです。
一緒に頑張りましょう!!!!!