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2006年06月14日
廃ガラス主原料に建材(積水ハウス)
積水ハウスは住宅の解体時に出る廃ガラスを主原料にして壁材や床材を作る技術を住宅メーカーで初めて開発した。
割れやすく重いガラスは建材として再利用しにくかったが、発泡材を混ぜて焼き軽量化を実現。タイルなど他の健在並みに強度も高めた。
「再生ガラス利用材」製造技術は、同社が2000年から5年間参加した経済産業省が進める資源循環型住宅技術開発プロジェクトで生まれた技術の一つ。
住宅業界ではコンクリートやセラミック系パネル、タイルなどを壁材や玄関用床材に使うのが一般的だ。
住宅解体で出るガラスや樹脂などの廃材は用途が少なく埋め立て処理してきたが、建材での資源循環を実現しようと研究してきた。
再生ガラス利用材は95%が廃ガラスで残りの数%が発泡材と着色料。集めた廃ガラスを細かく砕いて粉状にし、発泡剤などを混ぜて焼き上げる。
苦心したのは「軽さと強度の両立」だった。
ガラスはタイル建材より比重が重く、素材として使い勝手が悪い。
接着しても自分の重みではがれやすく、壁材に利用しづらい。
重量の問題は発泡材を混ぜて軽くすることで解決したが、密度が逆に低くなり、ガラスの弱点である「もろさ」が浮き彫りになった。
そこで、発泡材との調合比率やガラスの粒の粗さ、焼き方などを繰り返し徹底的に検証。
「軽さはもちろん、強度もタイル建材並みか、それ以上に達した」
ガラスの弱点を克服する一方、耐光性の強さなどガラス本来の強みも生かした。
紫外線に何十年当たっても劣化しないため、住宅の外壁用途を想定した建材作りを急いだ。
水やアルカリ、酸にも強く、不燃認定の申請も検討している。
耐久性が高く、玄関用の床材にも適している。
2005年には積水ハウスの総合住宅研究所の敷地内に再生ガラス利用材を使った試作棟を建設。
外壁に全面採用したほか、ガラスの持つ風合いを生かし、玄関の床材にも光沢感を出した試作品を使った。
完全自社生産での製品化に向け、性能確認のための最終的な実証実験を進めている。
ただ、原料になる廃ガラスを同社の解体工場から集める仕組みの構築はこれから。
当面は外部のガラス加工工場から無駄になった廃ガラスを購入する予定だ。
廃材を使うことで製造原価も通常の壁材や床材より安価にできる見通しという。
積水ハウスは温暖化防止や自然環境保全を目標に掲げ、環境配慮型の住宅づくりを進めている。
再生ガラス利用材のほかにも木粉を樹脂と混ぜたウッドデッキ材、地下水を利用した冷暖房エアコンシステムなどの実用化も急ぐ。
日経産業新聞より
投稿者 トリム : 2006年06月14日 11:20