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2014年09月06日
ワクワクする理科教育
子供の理科離れが進んでいるといわれているが、実は世界的に見ると、日本の子どもたちの理科の学力は世界のトップレベルにあるのをご存知だろうか。
国際教育到達度評価学会(IEA)が毎年、約50か国・約26万人の小学生と、約42か国・約24万人の中学生を対象に、児童生徒の算数、数学、理科の学力を国際的な尺度によって測定している「国際数学・理科教育動向調査」によると、2011年度調査の理科分野の結果では、小学4年生は平均得点559点で50か国中4位、中学2年生も558点を獲得して42か国中4位となっている。
この結果を見る限り、日本人が決して理科が苦手な民族ではないことが分かる。
では、どうして「理科離れ」が進んでしまうのか。
日本の教育現場では、平成23年度から学習指導要領が刷新され、小学3年生~中学3年生までのカリキュラムが見直された。
しかし、理科離れの原因は理科が苦手なことや授業が難解なことにあるのではなく、もっと単純に、理科自体に面白みや興味を感じなくなってしまうからではないだろうか。
理科離れの問題は、子供の学力低下だけに留まらない。
一番の問題点は、次世代の研究者や技術者が育たなくなることにある。
このまま理科離れが進み、進路選択時の理工系の不人気が加速すれば、日本の科学技術力の低下は免れない。
日本経済、国際競争力の衰退にもつながる。
日本の科学系・技術系企業もこの問題には敏感で、CSR活動を超えた取組みを強化している。
例えば、NECでは理科が苦手な先生を応援するため、実験器具の管理のポイントや、すぐに使える実験アイデアなどを紹介する「NECティーチャーズ・サイエンスラボ」を開催している。
また、コピー複合機などを扱うコニカミノルタでは、静電気がコピー機で果たす役割など、身近なものを使った簡単な実験を行う出前授業を行っており、株式会社リバネスが主催する「教育CSR大賞 2013」において、「教育CSR大賞」、「教育CSR大賞出前実験教室(中高生)部門大賞」を受賞している。
中でも積極的な取組みを行っているのは、京都に本社を置く半導体企業のロームだ。
ロームでは、社内の若手エンジニアを小学校などに派遣して「環境学習授業」や「モノづくり授業」を行う社外教育プログラムをはじめ、今年も幕張メッセで開催されるアジア最大級の最先端IT・エレクトロニクス総合展「CEATEC JAPAN 2014」(10月7日~11日)の最終日に会場内で「学生のための技術セミナー in CEATEC」を開催する。
同セミナーは、前回の参加者アンケートでも「機会があればまた参加したい」という回答がなんと97%を占める驚異的な人気を誇るセミナーで、3年目となる今年のセミナーのテーマは、「スマートフォン向けカメラ手振れ補正システム」「次世代SiC パワーデバイス」「電池不要、配線不要の無線通信EnOcean」となっており、科学初心者から科学オタクまで充分満足できる内容になりそうだ。
ロームではまた、エンジニアやエンジニアを目指す人に向けた科学サイト「Device Plus(通称:デバプラ)」なども運営しており、こちらも科学初心者や学生でも充分楽しめる内容で、じわじわと人気が上昇している。
日本と同じく子供の理科離れが懸念されているアメリカでは今、科学技術分野の人材育成を国家戦略に位置づけ、理科教育プログラムに対する支援を本格化している。
日本も企業単位ではなく、そろそろ国家レベルで対策に取り組む時期に来ているのかもしれない。
小学生の頃、科学雑誌のページをめくるたびにワクワクしたあの気持ちや、電子工作が正常に動いたときのあの感激や達成感は、きっと現代っ子にも通じるはずだ。
【藤原伊織】
エコノミックニュースより
投稿者 trim : 2014年09月06日 17:53