2014年09月08日
温暖化対策の切り札
工場や発電所から出る二酸化炭素(CO2)を地中深くに閉じ込める「二酸化炭素回収・貯留(CCS)」という技術の実用化に向けて、政府が本腰を入れている。
地球温暖化の原因とされるCO2の排出量を削減する狙いで、北海道で初の大規模実証事業を進めているほか、今秋から日本近海で適地調査に乗り出す方針。
環境省と共同でCCS事業を進める経済産業省の幹部は「地球温暖化対策の切り札となる革新的技術」と強調、2020年ごろの実用化を目指している。
CCSは、工場などの排ガスを溶剤に通すなどしてCO2を分離・回収し、地中深くに閉じ込める仕組み。
海外ではノルウェーなどで事業化されている。
日本では、4月に閣議決定したエネルギー基本計画で、2020年ごろの実用化を目指して研究開発を進めるという方針が打ち出された。
CCSの実用化に向けて、政府は「実証事業」「適地調査」「技術開発」の3本柱で取り組みを進める考え。
中でも中核事業と位置付けるのが北海道で行っている大規模実証事業。
出光興産の北海道製油所(苫小牧市)の敷地内に専用設備を設け、実際に分離・回収したCO2を地中に貯留する計画を2012年度から進めている。
電力会社やガス、石油、エンジニアリングなど35社が出資する日本CCS調査(東京都千代田区)に委託し、今年7月には関連設備の建設に着手した。
2016年度からCO2を地下に送り込む作業を始める予定だ。
実証事業と並行してCCSの適地調査も進める。
日本CCS調査に委託し、今秋にも日本近海の海底下の構造を把握する調査に着手。
既存の地質データの分析のほか、船から振動を発して海底下の構造を把握する「弾性波探査」などで、2017年度ごろまでに日本近海の10カ所程度で地質構造を把握。
その後、3カ所程度に有望地を絞り込み、実際に海底下の地層を詳しく調べる掘削調査を行う計画だ。
また、CCS技術の高度化に向けた技術開発も同時並行で進める。
現在、CCSを実施するには多額の費用が掛かることなどが課題となっており、技術開発を進めることで課題を克服して実用化にめどをつけたい考えだ。
地球温暖化対策が課題となる中で、温室効果ガスを大幅に削減する手段の一つとして、CCSへの注目が世界的に高まっている。
日本国内では約1,460億トンのCO2を貯留できる余地があるという試算も存在するという。
経産省幹部は「高コストといった実用化に向けた課題もあるが、日本の低炭素社会実現のための選択肢の一つとしてCCSを育てたい」との考えを示している。
SankeiBizより
2014年09月06日
ワクワクする理科教育
子供の理科離れが進んでいるといわれているが、実は世界的に見ると、日本の子どもたちの理科の学力は世界のトップレベルにあるのをご存知だろうか。
国際教育到達度評価学会(IEA)が毎年、約50か国・約26万人の小学生と、約42か国・約24万人の中学生を対象に、児童生徒の算数、数学、理科の学力を国際的な尺度によって測定している「国際数学・理科教育動向調査」によると、2011年度調査の理科分野の結果では、小学4年生は平均得点559点で50か国中4位、中学2年生も558点を獲得して42か国中4位となっている。
この結果を見る限り、日本人が決して理科が苦手な民族ではないことが分かる。
では、どうして「理科離れ」が進んでしまうのか。
日本の教育現場では、平成23年度から学習指導要領が刷新され、小学3年生~中学3年生までのカリキュラムが見直された。
しかし、理科離れの原因は理科が苦手なことや授業が難解なことにあるのではなく、もっと単純に、理科自体に面白みや興味を感じなくなってしまうからではないだろうか。
理科離れの問題は、子供の学力低下だけに留まらない。
一番の問題点は、次世代の研究者や技術者が育たなくなることにある。
このまま理科離れが進み、進路選択時の理工系の不人気が加速すれば、日本の科学技術力の低下は免れない。
日本経済、国際競争力の衰退にもつながる。
日本の科学系・技術系企業もこの問題には敏感で、CSR活動を超えた取組みを強化している。
例えば、NECでは理科が苦手な先生を応援するため、実験器具の管理のポイントや、すぐに使える実験アイデアなどを紹介する「NECティーチャーズ・サイエンスラボ」を開催している。
また、コピー複合機などを扱うコニカミノルタでは、静電気がコピー機で果たす役割など、身近なものを使った簡単な実験を行う出前授業を行っており、株式会社リバネスが主催する「教育CSR大賞 2013」において、「教育CSR大賞」、「教育CSR大賞出前実験教室(中高生)部門大賞」を受賞している。
中でも積極的な取組みを行っているのは、京都に本社を置く半導体企業のロームだ。
ロームでは、社内の若手エンジニアを小学校などに派遣して「環境学習授業」や「モノづくり授業」を行う社外教育プログラムをはじめ、今年も幕張メッセで開催されるアジア最大級の最先端IT・エレクトロニクス総合展「CEATEC JAPAN 2014」(10月7日~11日)の最終日に会場内で「学生のための技術セミナー in CEATEC」を開催する。
同セミナーは、前回の参加者アンケートでも「機会があればまた参加したい」という回答がなんと97%を占める驚異的な人気を誇るセミナーで、3年目となる今年のセミナーのテーマは、「スマートフォン向けカメラ手振れ補正システム」「次世代SiC パワーデバイス」「電池不要、配線不要の無線通信EnOcean」となっており、科学初心者から科学オタクまで充分満足できる内容になりそうだ。
ロームではまた、エンジニアやエンジニアを目指す人に向けた科学サイト「Device Plus(通称:デバプラ)」なども運営しており、こちらも科学初心者や学生でも充分楽しめる内容で、じわじわと人気が上昇している。
日本と同じく子供の理科離れが懸念されているアメリカでは今、科学技術分野の人材育成を国家戦略に位置づけ、理科教育プログラムに対する支援を本格化している。
日本も企業単位ではなく、そろそろ国家レベルで対策に取り組む時期に来ているのかもしれない。
小学生の頃、科学雑誌のページをめくるたびにワクワクしたあの気持ちや、電子工作が正常に動いたときのあの感激や達成感は、きっと現代っ子にも通じるはずだ。
【藤原伊織】
エコノミックニュースより
2014年09月05日
『太陽光発電 比較展示場』
静岡県沼津市の植松グループ(植松建興株式会社、本社:静岡県沼津市)は、2013年2月にオープンした『植松グループ 太陽光発電 比較展示場』に、新たにメーカー8社65.7kWシステムの太陽光パネルを設置した『第2展示場』を増設。
既設展示場と合わせ、合計15メーカー、約100kWシステムの比較展示場として2014年9月9日(火)にリニューアルオープンする。
展示場には、金属屋根材を製造している自社工場の屋根の上に、太陽光パネルを設置。
屋根にのぼって間近で発電している太陽光パネルを見ることができ、リアルタイムで実発電量を比較することができる展示室も完備している。
第1展示場では、異なる種類の太陽光パネルを同容量・同条件下で設置し、太陽光パネルの「種類」の比較による発電量の違いを検証。(単結晶、多結晶、薄膜、化合物、ハイブリッドなど、太陽光パネルで使われる素材や構造の違いに着目)
また、このたび増設する第2展示場は、「設置環境」の比較を目的とした展示場となっており、傾斜ありとなしの屋根面の両方に太陽光パネルを設置し、『同容量・同パネルで「傾斜あり・なし」を比較』、『同容量・同パネルで「換気機能付金具のあり・なし」を比較』の2種類の検証を行う。
SUUMOジャーナルより
2014年09月04日
LED照明でスマホの盗撮を防止する技術
立命館大学は9月3日、理工学部電子情報工学科の熊木武志・講師の研究グループが、LED照明とスマートフォンのカメラの連携による盗撮防止システムのプロトタイプを開発したと発表した。
盗撮行為を制限するための手法としては、
「撮影時にシャッター音を鳴らす」
「端末の角度を検知して撮影を不可能にする」
「撮影禁止区域では撮影防止シールをレンズに貼る」
などがあるが、いずれも携帯端末単体での制御となり、直接的な対策には至っていない。
こうした背景の下、プライバシーを保護したい空間内で送信機(LED照明)と受信機(スマートフォン)の信号のやり取りを行い、カメラ撮影を制御する同システムが開発された。
具体的には、LED照明から発する光の照度の強弱を人に感知できない程度に変化させ、信号(照度)パターンを生成・送信する。
スマートフォンのカメラが可視光を受信した際に信号(照度)パターンを、スマートフォン内のアプリを用いて画素値を基に自動処理することで瞬時にパターンを識別してカメラ機能を停止させる。
同システムのLED照明を駅などの公共空間に導入し、専用アプリをスマートフォンなどの携帯端末に内蔵することにより、一定の空間内に人が入ると、携帯端末のカメラ機能を使えないようにすることが可能となる。
同技術を応用することでカメラ撮影に加え、その他の電源や音といったさまざま処理を制限も行えるという。
9月19日に、科学技術振興機構(JST)が主催する新技術説明会で、同システムの研究発表が行われる予定。
マイナビニュースより
2014年09月03日
ビール3社そろって“健康志向”
キリンビールとアサヒビール、サントリー酒類のビール大手3社が2日、消費者の“健康志向”に対応した発泡酒の新製品をそろって発売した。
いずれも糖質や痛風の原因とされるプリン体を含まないのが特徴で、これまで独擅場を演じてきたサッポロビールの「極ZERO(ゼロ)」を追撃する。
発泡酒の販売量は、安価な第3のビールに押され右肩下がりだが、同様の特徴を持つ各社製品が並ぶ異例の事態を迎え、シェア争いの重要な焦点となりそうだ。
新製品は、キリンの「淡麗プラチナダブル」(アルコール度数5.5%)と、アサヒの「スーパーゼロ」(5.5%)、サントリーの「おいしいZERO(ゼロ)」(5%)の3品。
各社とも独自に商品化を検討していたが、第3のビールだった「極ゼロ」が7月、製法上の制約が小さい発泡酒へ切り替えたのを受け、発売に踏み切った。
小売り各社の商品入れ替えのタイミングに合わせ、発売日が横並びとなった。
キリンの新製品は発泡酒からプリン体だけを吸着除去する新技術を利用、アサヒは新素材の「コメ乳酸発酵液」を使い、サントリーはホップの苦み成分を抽出した苦味料で味を整えた。
後発商品だけに、それぞれ風味面での差別化を狙う。
ただ小売店の陳列スペースは限られるため、「生き残るのは2~3商品」(大手首脳)との見方がもっぱらで、各社とも消費者へのアピールに懸命だ。
年内販売目標が120万ケース(1ケースは大瓶20本換算)と3社中最多のキリンは、発売日に東京都内の総合スーパーで商品を無料配布。
布施孝之・キリンビールマーケティング社長は「最初の1カ月でリピーター獲得の勝負が付くだろう」と気を引き締めた。
今回、発泡酒市場に再参入したサントリーも全国で50万本を配り、浸透を目指す。
発泡酒の出荷量は9年連続で減少し、昨年は5,869万ケースとビール類全体の14%弱まで低下。
今回、“ゼロゼロ発泡酒”が脚光を浴びたことで、「料飲店の引き合いも増えてきた」といい、各社の次の一手が注目される。
SankeiBizより
2014年09月02日
「オキカ」
ゆいレールと県内のバス事業者4社(琉球バス交通、沖縄バス、那覇バス、東陽バス)の路線バスで利用できる沖縄初の県内共通ICカード「OKICA(オキカ)」が10月20日からゆいレールで先行導入される。
同日からカードをかざして電子マネーで運賃を決済するICカードと、券面のバーコードをかざして読み取る新型乗車券QRコード専用の券売機と改札機が導入され、同30日に全機入れ替わる。
回数券を含め従来の磁気乗車券・紙券は廃止する。
1日、県庁で新カードの運営会社「沖縄ICカード」の仲吉良次社長(沖縄都市モノレール社長)が会見し、沖縄観光コンベンションビューローの沖縄観光親善使節「花笠マハエ」にICカード推進大使の認証状を交付、システム移行のスケジュールについて発表した。
バス4社は来年4月に導入する。
利用は初年度で3万4千枚、10年後の2023年には35万6千枚を見込む。
カード導入と合わせて、磁気乗車券をQR乗車券に切り替える。
QR乗車券は航空機搭乗時の利用が進んでいるが、鉄道系交通機関での導入は全国初。
リサイクルごみとして処分できるほか、改札機のメンテナンス費用の削減につながり、運営コストを抑えられるという。
回数券制度に代わってポイント制度を導入し、月額利用金額の範囲に応じて10~15%をカード内の残高に還元する。
約4千枚の定期券利用者には、本格導入の30日までにIC定期への切り替えを呼びかける。
ICカードは500円の預かり金を含め千円で販売。
申し込み不要な無記名式と、紛失時に再発行可能な記名式(通勤・通学定期券など)、小児用、障がい者用がある。
ゆいレール各駅の券売機、窓口で販売する。
来年4月からは全国で初めてマハエのフィギュアのキーホルダー型ICカード導入も検討しており、観光客向けの土産品としての需要も取り込む狙い。
カード利用が定着する2年後をめどに、船舶やタクシー、小売店などへのサービス拡大を検討する。
仲吉社長は「ワンタッチの駅通過へのスムーズな移行を実現したい」と話した。
沖縄タイムスより
2014年09月01日
紙製容器の非常用マグネシウム空気電池
古河電池と凸版印刷は、世界初となる紙製容器でできた非常用マグネシウム空気電池「マグボックス」を共同開発した。
12月中旬に古河電池から発売開始する。
災害時の最も重要な問題の一つに、携帯機器の電池切れによる情報の遮断がある。
東日本大震災の被災地である福島県いわき市に立地する古河電池は、震災の経験を活かし、避難所などに設置して、簡単に多数の携帯機器へ電力を供給できる電源を凸版印刷と開発してきた。
非常用マグネシウム空気電池の「マグボックス」は、マグネシウムを負極物質、空気中の酸素を正極物質とし、水や海水を投入して発電させる電池。
大容量で長期間保存可能で、非常時に水を入れるだけで、多くの携帯機器に電力を供給することができる。
負極に用いるマグネシウムは塩水に溶けやすく、原子が放出する電子の量も多いため発電効率が向上する。
正極で酸素の反応を活性化させる触媒として従来はプラチナやレアメタルを使用していたが、古河電池の独自技術により、レアメタルを使用しない酸素還元触媒を使用することでコストを削減した。
また、マグネシウム空気電池は、外部の空気を取り入れるため、水密構造を維持して大型化するのが困難だった。
古河電池と凸版印刷は、両社の既存技術を融合、電解液が漏れにくく、実用的な容量を確保する構造を実現した。
さらに、使い捨て電池として使用後の廃棄が容易となるよう環境に配慮した紙製容器を使用している。
古河電池は「マグボックス」の開発・製造・販売を担当し、凸版印刷が「マグボックス」の紙製容器である、セル外装材と外箱の開発・製造を担当する。
レスポンスより