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2014年08月31日
後付け施工エコガラス
オフィスビルなどの窓が、内側からガラスを貼り付けるだけで遮熱・断熱性の高い「エコガラス」に変身―。
旭硝子の後付け施工のエコガラス「ATTOCH(アトッチ)」が、既存ビルの省エネ対策として脚光を浴びている。
平成24年10月の発売からじわじわと普及し、試験施工などの依頼は常時約300件に上る。
平成25年度には、一般財団法人省エネルギーセンター主催の省エネ大賞(製品・ビジネスモデル部門)を受賞した。
省エネの潜在需要を掘り起こす挑戦が実を結びつつある。
「ビルの開閉できない固定された窓ガラスをエコガラスに換えるには、外に足場が必要でコストがかかるし、工事中は室内が使えない。だったら、内側からガラスを貼り付けて複層にすればコストや工期の課題を解消できると考えた」
旭硝子グループで国内の建築加工ガラスを担うAGCグラスプロダクツの岡賢太郎・アトッチ事業推進本部営業部長は、考案の理由をこう振り返る。
岡氏は21年1月、営業マンとして顧客のビル管理会社から窓の改修を依頼された。
だが、最初からエコガラスを組み込める新築と違い、既に固定されて開けられないビルの窓を簡単に改修できる製品は当時なかった。
その際に浮かんだのがアトッチの原型となるアイデアだった。
商品企画や技術、施工など部門横断の「ビル省エネ改修市場開拓チーム」を12人で立ち上げ、市場調査を開始。
ビル会社への聞き取りのほか、首都圏のオフィスビルやホテルなど150物件の外観も観察すると圧倒的に固定の開けられない窓が多く、「ビル改修には大きな需要が眠っていると確信した」(岡氏)。
だが、技術的には大きな壁が立ちはだかっていた。
アトッチはビルの窓ガラスの内側に、熱の放射を防ぐ金属膜を塗布したガラスを貼り付ける構造。
2枚のガラスは約1センチの空気の層をつくって密閉し、外気温を室内に伝わりにくくすることで夏は涼しく冬は暖かい環境をつくる。
ただ、密閉が十分でないと空気層に余分な水分が入り込み、内部に結露が発生する恐れがある。
工場で機械的に密閉できる新築用エコガラスと違い、アトッチはビル内で作業員の手で施工するため、正確に密閉を確保できるかどうかが大きな課題だった。
施工の均一性をどう実現するか、試行錯誤の日々が続いた。
当初は「アトッチを貼り付ける“押す力”をいかに管理するかばかり考えていた」(岡氏)が、2枚間の空気を減圧してガラス同士が近づく力を利用するという「技術陣のひらめき」が一気に製品化を引き寄せる。
アトッチを窓ガラスに貼り付け後、機械で空気を減圧して一定の数値に保てているかを測り、空気が抜けていないかどうかを確認する。
このオリジナル手法の採用により、アトッチは内部結露に5年保証を付けて製品化。
施工後は、1枚ガラスよりも断熱性が3.7倍に、日射による熱をさえぎる遮熱性も1.8倍にそれぞれ高まる。
省エネ対策には、窓ガラスにフィルムを貼る手法があり、遮熱性を確保できるものの、断熱性ではアトッチが大幅に上回る。
実際、縦横各15メートルの6階建てビルで年間のエネルギー使用量を比較すると、フィルムは1枚ガラスから2.7%の削減にとどまる一方、アトッチは32.4%減と大きく差がついた。
アトッチの好調について、岡氏は「快適性を犠牲にしないで省エネできるところが広く受け入れられた要因」と分析する。(会田聡)
アトッチ 旭硝子グループのAGCグラスプロダクツが販売する後付け施工のエコガラス。
既存の窓ガラスの内側に熱の放射を防ぐガラス「Low-E」を貼り付け、断熱性や遮熱性を大幅に向上して冬場は暖かく、夏は涼しい環境をつくる。
5月には路面店舗の外部から貼り付ける方式の「ワイルドアトッチ」もラインアップに加わった。
産経新聞より
2014年08月29日
那覇空港ハブ活用
沖縄県物産公社(小嶺淳社長)は那覇空港を中継拠点(ハブ)とする国際航空貨物事業を活用し、県産品だけでなく、全国の特産品の海外販路開拓や卸売り事業に本格的に乗り出す。
同社は既に静岡県と提携し、試験的に同県のトマトやイチゴの香港輸出に携わっている。
今後は全国各地の物産を掘り起こしてアジア展開につなげ、収益増と沖縄国際物流ハブの活性化を目指す。
物産公社は県産品の販路拡大を目的に設立されており、事業拡大に向け、株主に諮って早い時期に定款を変更する方針だ。
特産品は、沖縄総合事務局や各地の経済産業局に協力を求め、情報やコネクションを基に開拓していく考え。
沖縄と全国各地を結ぶ全日本空輸(ANA)の国内便で沖縄に集約して取りまとめる。
物産公社が持つ販路を生かし、県産品の市場拡大が進む香港や、経済成長が著しいシンガポール、地理的に近い台湾を中心に輸出事業を展開していく方針だ。
同社海外事業課の金城辰三課長は「海外はメードインジャパンの物産を欲しがっている。地方の自治体や企業もアジア展開に意欲はあるが、輸出のノウハウがないのが現状。物産公社の商社機能、販売ネットワークを他の地方にも波及させていきたい」と話す。
11月に開催される国際商談会「沖縄大交易会」で、オフィシャル商社として全国から参加する出展企業に活用を呼び掛けていく。
小嶺社長は「本土―沖縄―アジアの物流のパイプを太くしていきたい。物産を送るだけでなく、沖縄と全国の素材をコラボした商品開発など新たな展開も進めたい。物量が増えれば、輸送コスト低減にもつながり、県産品の競争力拡大も図れる」と意欲を示した。
【桑原晶子】
琉球新報より
2014年08月27日
未来技術遺産に登録
国立科学博物館は8月26日、2014年度の「重要科学技術史資料」(未来技術遺産)に登録する49件を発表した。
このうちスチルカメラでは、「マビカ試作機」(ソニー)と「フジカラー 写ルンです」(富士フイルム)の登録が決まった。
選定理由は以下の通り(引用)。
世界初の電子スチルカメラ「マビカ試作機」(ソニー、1981年製作)
世界初の電子スチルカメラである。
銀塩カメラにおけるフィルムの替わりにCCDと呼ばれる半導体撮像素子を用いた初めてのカメラで、ビデオカメラ技術を用いて1フレームをアナログ信号として2インチの専用フロッピーディスクに磁気記録した。
新聞社と契約し、ロサンゼルスオリンピックの取材に用いられ、後に市販された。
画像の即時再生、記録媒体の再利用、通信機器を介した画像伝送に道を開き、「化学」機器であったカメラを「電子」機器として位置付けた革命的な機器である。
後のデジタルカメラ技術の創造に寄与したものとして貴重である。
世界初のレンズ付きフィルム「フジカラー写ルンです」(富士フイルム、1986年製作)
1986年7月に発売された世界初のレンズ付きフィルムである。
簡単カメラではなく、写真の撮れるフィルムという発想から開発された。
それまで写真撮影には高価なカメラが必要で、手軽に万人が写真撮影を楽しめるものではなかった。
この製品の登場により、大人は勿論、子どもでも手軽に写真を撮ることが一般になり、写真文化の裾野を一気に広げた。
本製品の開発には、既に市場導入されていた110フィルムカートリッジを用い、徹底的にシンプル化したシャッター、レンズ、巻き上げ機構、安価かつ高性能プラスチックレンズの導入、カメラボディーへの軟質プラスチックの採用など、当時の革新技術が数多く詰め込まれている。
レンズ付きフィルムは、135フィルムへの変更、簡易ストロボ機構や簡易AE機構の導入などの数多くの進化を経て、これまでに世界累計で17億本以上を出荷するという大ヒットを飛ばした日本発の商品となった。
リサイクル、リユースも実施し、環境保全にも配慮した製品設計であった。
デジカメに置き換わった現代においても、安価で、軽くて、操作が簡単というメリットから、修学旅行用途や海水浴用途など、依然として根強い需要が存在している。
未来技術遺産は、科学技術史資料のうち「科学技術の発達上重要な成果を示し、次世代に継承していく上で重要な意義を持つもの」や「国民生活、経済、社会、文化の在り方に顕著な影響を与えたもの」に該当するものを登録している制度。
【デジカメ Watch,武石修】
Impress Watchより
2014年08月25日
大企業の休眠特許
大企業が開発した技術を中小企業が活用して、新製品を生み出している。
中小企業には技術開発の手間を省き、短期間で製品化できるメリットがあり、特許技術を提供する企業はライセンス収入が期待できる。
経済産業省によると、企業が保有する国内特許の約66%が未利用のままだ。
課題は、必要な技術に出合えるように、中小企業と大企業をどうやって結びつけるかだ。
福井県小浜市の伝統工芸「若狭塗ばし」を製造する株式会社、若狭塗センターは昨年12月、神戸製鋼所と抗菌技術の利用で合意した。
同社がメッキ技術を研究する中で生まれた特許で、若狭塗センターは病院や介護施設などで「抗菌はし」の需要があるとみて、来年の市販を目指し、開発を進めている。
近畿経済産業局が行った、企業間の必要な技術を結びつける「マッチング事業」の成果だ。
川崎市の自動化機器製造、マイスは4月、製造ラインで働く作業員がボタンを押せば、ネジやボルトが必要な数だけ自動で出てくる装置を発売した。
基本技術は日産自動車が作業員のミス防止や効率化のため開発し、自社工場で使っている技術。
2011年に特許を出願済みで、他産業でも応用可能だと判断し、有償で特許の使用契約を結ぶことにした。
従業員3人のマイスにとって「自社商品の開発は夢」(酒井高雄社長)だった。
装置の部品点数を減らすなど改良を施し、1台28万円で販売。
年間200台の販売目標を掲げ、建設機械、農業機械メーカーなどに営業している。
技術の紹介は、川崎市が行った。
川崎市は2007年から中小企業、大企業が参加する交流会を開いて、大企業が保有している使えそうな特許を紹介するなどの橋渡し役を担ってきた。
同市のマッチング事業は「川崎モデル」とも呼ばれ、札幌市など他の自治体も同様の事業に乗り出している。
経産省によると、2012年度の企業保有の国内特許150万件のうち、66.2%は未利用。
特許庁は他社でも利用できる特許3万5,000件をインターネットで公開しているものの、人員が少ない中小企業が、利用したい特許を見つけるのは難しい。
川崎市が強化しているマッチング事業でも、契約に至ったのは過去7年で20件にとどまる。
大企業では、事業再編によって従来分野の技術開発が必要なくなったり、次々と新しい製品を出すために、少し前の技術は使われなくなったりするなど、活用の場を失った「休眠特許」も多い。
眠らせておくのはもったいないと、社外での活用を模索している。
川崎市のプラスチック加工業、松本製作所は昨年11月、名刺サイズの芳香カードを発売。
香水などをカードに埋め込んだセラミックにたらし、名刺入れやポーチに入れると、香りが長持ちする。
富士通が、かつて女性向け携帯電話に搭載していた技術で、「休眠特許」だった。
政府は成長戦略で「世界最高の知財立国」を掲げ、7月に公表した知的財産推進計画でも、自治体などの取り組みを支援する方針を打ち出している。
特許活用に詳しい土生(はぶ)哲也弁理士は「中小企業の立場に立ったマッチングを地道に続けていけば、産業育成の有効な手段になる」と意義を語る。
【高橋直純】
【特許】
個人や企業が発明した技術や考えを、一定期間、独占的に使用できる制度。
特許庁の審査を通過する必要がある。
審査通過後、特許料を納付すれば、出願から最長20年間は権利が保護され、他者が勝手に使うことはできない。
他者に譲渡することや、利用を許可して使用料を得ることはできる。
毎日新聞より
2014年08月22日
時計台をLED化
札幌市の観光名所である時計台の照明が発光ダイオード(LED)に変更された。
11日に開かれた点灯式で、市観光文化局の川上佳津仁部長は「観光だけでなく、省エネのシンボルとして親しんでもらいたい」とあいさつ。
午後7時になると、LED照明が点灯され、周囲の人たちから拍手が湧き起こった。
LED化は、今年度から時計台を管理するエムエムエスマンションマネジメントサービスが提案。
道内外の5社からLEDの寄贈を受け実現した。
同社の堂守貴志社長は「環境負荷低減のメッセージを発信できると考えた」と説明する。
時計台のLED化はこれまで2度話があったが、色味が合わないため、断っていた。
今回同社が提案したLEDは白熱灯の色に近く、自然に見えたため受け入れたという。
時事通信より
2014年08月21日
ドラえもんの「ひみつ道具」を製作
福井市にある三和メッキ工業が8月19日、ドラえもんの「ひみつ道具」を作ったと発表した。
単4電池18本でおよそ2時間使える設計の「望遠メガフォン」
富士ゼロックス(東京都)のサポートの下、全国の中小企業が連携し道具を作る「四次元ポケットPROJECT」の一環。
同作品に登場する「望遠メガフォン」を、3Dプリンターやレーザー計測、アルミ加工などの技術活用で現実のものとした。
望遠メガフォンは、「スコープで照準を合わせてしゃべると、離れた相手の耳元にささやくように声が届く」という設定の道具。
製作において同社は、道具の耐摩耗性を向上するためのめっき処理を担当した。
ウェブを活用した集客や情報セキュリティー向上への取り組みがきっかけとなり同プロジェクトに参加した。
同社社長の清水栄次さんは、「ドラえもんの四次元ポケットを実現するという発想が面白いと感じた。アイテムの製作にどうしても協力したかった」と参加の決め手を話す。
参加企業6社は全国に点在。
4月からの製作作業では全てのやり取りをインターネットで行った。
「全社同じシステムを使っていたこともあり、ネットだけでスムーズに作業が進んだ」と清水さん。
全社が初顔合わせしたのはプロモーション用動画の撮影現場だったという。
完成品は高さ41.4センチ、幅17.9センチ、奥行き33.1センチ。
重さ1.8キロ。
撮影現場で清水さんも完成品を手にした。
「『すごい、こんなことができるんだ!』と率直に驚いた。
日本のものづくりはまだまだ底力がある。
今回一緒に製作した他の企業に負けないよう努力を続けなければ」と話す。
現在、製作過程や使用例を同プロジェクトホームページで公開している。
福井経済新聞より
2014年08月15日
飛灰セシウム大幅減
廃棄物を焼却する際に発生する飛灰から、福島第1原発事故の影響により高濃度で含まれている放射性セシウムを効率よく分離回収する技術を、福島高専(いわき市)と長岡技術科学大(新潟県長岡市)、配管設備製造のカサイ(新潟市)が共同開発した。
実用化されれば、福島県内の自治体などで行き詰まっている飛灰処分の促進が期待できるという。
飛灰を高圧の水蒸気で処理してセシウムを水に溶出させる。
その水を、研究グループが開発した繊維状の吸着材に通すことで、セシウムを安定した状態で回収する。
グループによると、研究室での実験では飛灰のセシウム濃度が約70%低減した。
7月に、1日最大100キロの飛灰を処理できる装置を造り、福島県広野町の企業敷地で実証実験を続けている。
いわき市の飛灰を処理した結果、セシウム濃度が最大で約90%下がり、飛灰の容積も20~40%減っているという。
放射性セシウム濃度が1キログラム当たり8,000ベクレル以下の焼却灰は、自治体などが処分すると定められているが、放射線への懸念から行く先が見つからず、焼却施設などにたまり続けている。
技術の実用化には、大量の飛灰に対応するため、連続的に自動処理できる装置の開発などが課題になる。
福島高専の内田修司教授(物質化学)は「セシウムの濃度が一定レベルより下がれば、飛灰を原発事故前のように、コンクリート原料にリサイクルしたり、埋め立てたりすることも可能になる。実用化されれば、保管が必要な飛灰の量を大幅に減らすことが期待できる」と説明している。
【飛灰】
廃棄物を焼却した際に発生、浮遊し、集じん装置などに付着したばいじん。
飛灰にはダイオキシンなどが多く含まれ、埋め立てには固形化などの処理が必要。
放射性セシウムは飛灰に濃縮され、水に溶け出しやすいとされる。
廃棄物の燃え殻は「主灰」と呼ばれる。
河北新報より
2014年08月14日
木津川の流れ橋
台風11号による木津川の増水で流された八幡市と久御山町を結ぶ木造橋「上津屋橋(こうづやばし)」(流れ橋)について、府は橋の構造の抜本的な見直しの検討を始めた。
府道路建設課によると、今回は、台風11号による木津川の増水に伴い、9日午後に橋板と橋脚の一部が流された。
山田啓二知事が12日に現場を視察し、「今の方式には限界がある」とゼロベースでの見直しを指示。
これを受け、早期に専門家らでつくる検討委員会を立ち上げ見直し方法を検討する方針だ。
流れ橋は、全長356.5メートル、幅3.3メートルの日本最長級の木造橋。
昭和28年に設置されて以来、木津川のゆったりとした流れと、木造の長い橋が醸し出す風情ある景観は時代劇にぴったりで、1960年代から頻繁にロケ地として使われ、観光スポットとしても親しまれてきた。
一方、増水で流されるのは4年連続で、21回目。
特に平成に入ってからは、11回も流され、そのたびに数千万円の費用をかけて修復してきた。
昨年9月の台風18号でも流され、今年4月に復旧したばかりだった。
橋板は、ワイヤで橋脚と結んでおり、回収して再利用できるが、前回の復旧でも約3,600万円の費用がかかっていた。
産経新聞より
2014年08月13日
「スマート農業」導入促進
東日本大震災と東京電力福島第一原発事故からの農業再生に向け、県は情報通信技術(ICT)や再生可能エネルギー、ロボット技術を活用し農作物を効率的に生産する「スマート農業」の導入を促進する。
省力化と収益性の高い農業を確立し、原発事故の影響で土地が使えず、働き手の少ない避難区域や津波被災地などでの農業再開を支援する。住民帰還も促す。
平成27年度からモデル事業を始め、将来は全県への普及を目指す。
情報通信技術で植物工場などの施設内の温度や湿度などの生育条件を管理する。
導入により、生育条件の異なる複数の農作物・花卉(かき)の同時栽培が同一施設内で技術的に可能になる。
市場の需要に応じた作物を生産し、収益性を高める。
運用には太陽光発電やバイオマス発電などの再生可能エネルギーを取り入れ、環境に負荷を与えない農業を目指す。
バイオマス発電で出た熱を再利用した栽培方法も研究する。
ロボット技術を活用した農業機械の開発は、27年度に県が南相馬市に開所予定の「浜地域農業再生研究センター(仮称)」を拠点に民間企業と進める。
わずかな力で足や腕を動かせる医療用ロボットスーツの農業への応用や、遠隔操作する耕作機などの農業機械開発による省力化を想定している。
高齢者や女性による 営農、少ない人手での大規模農業化も支援する。
県は関連産業の集積で、雇用の創出や住民の帰還につなげる方針。
また、少子高齢化が進む会津地方の中山間地域などでも普及を進め、県内農業の振興に結び付ける考えだ。
モデル事業では、耕作放棄地を買収して植物工場や農業施設を整備する。
大熊町が復興拠点とする大川原地区で整備を検討している植物工場などでの実施を想定する。
同地区で東京電力が26年度末の完成を目標に建設している福島第一原発の作業員向け給食センターで、収穫した作物を消費するなど地産地消も視野に入れる。
福島民報より
2014年08月12日
土壌改良で松枯れ防止
石川県立大の長谷川和久客員名誉教授はこのほど、土壌改良が松枯れ予防に有効かどうかを確かめる実験を、小松市日末町で開始した。
土壌の酸性化は松枯れの一因と考えられており、2年間の実験では、5種類の土壌改良材の効果を見極める。
小松市では来年5月に全国植樹祭が開催されることが決まっており、市は実験に協力することで機運の盛り上げにつなげる。
市は実験用地として、クロマツが群生する日末町の保安林約1万平方メートルを提供。
7月下旬には、小松精練(能美市)が染色排水の浄化過程で生じる汚泥を再利用して開発した緑化素材「グリーンビズ」と、天然貝の化石、ペレット状の堆肥、炭、消石灰の計5種類を保安林に散布した。
長谷川客員名誉教授は、マツの葉の伸びや色合い、根の伸び、土の中の微生物の数などについて、改良材ごとに違いや変化を調べる。
これまでの実験で、グリーンビズを混ぜた土壌でマツの苗を育てたところ、普通の土で栽培した場合と比べて枯死が半分以下に抑えられる効果を確認した。
グリーンビズによって土壌の通気性、透水性が高まり、土壌中の微生物が活性化し、苗の生育に必要な養分が豊富になったとみられる。
松枯れは、マツノザイセンチュウや酸性雨による樹勢の衰えなど、複合的な要因で発生するとされる。
県森林管理課によると、被害は県内全域で確認されており、昨年度は7,293立方メートルに上った。
長谷川客員名誉教授によると、松枯れ対策として、これまでは枯れた部分を伐採したり、薬剤を注入したりしてきたが、経費や手間が掛かっていた。
土壌改良による予防対策が確立されれば、低コストで松枯れを防ぐことができる。
小松市は、土壌改良による効果が認められれば全国植樹祭で紹介することも検討しており、農林水産課の担当者は「松枯れ対策の小松モデルとしてアピールしたい」と話した。
北國新聞社より
2014年08月08日
養殖用の新技術
養殖用のカキの卵が従来の方法に比べて2倍付着する新型の「着卵材」の技術を活用した取り組みが浜名湖で広がってきた。
浜松市北区三ケ日町の猪鼻湖の実 験で実証された技術で、浜名湖のカキ漁師が開発者の小島昭群馬高専特命教授(70)と連携し、実用化に向け調査。
地元の子どもたちも手作りした着卵材で実験を始めた。
浜名湖かき養殖連合会の若手メンバーでつくる「かき研究会」(夏目喜好会長)は7月下旬、浜名湖の漁場2カ所に形状などが異なる5種類の着卵材を設置した。
定期的に調査を続けながら1、2年間かけて効果を見極める。
夏目会長は「実用化できる面があれば取り入れたい」と話す。
ホタテ貝を使った従来の養殖法では着卵を妨げるフジツボの付着を防ぐことが課題だった。
開発された着卵材はカキとフジツボの付着場所を分けることができるとされ、「ホタテの変わりになるか試してみたい」(夏目会長)との期待もある。
町の未来を考える総合学習に取り組む地元の三ケ日中2年生の21人は、素材の材質や形状を変えた着卵材を手作りし、県立三ケ日青年の家(同町)のマリーナに設置した。
着卵や成長の様子を調べ、材質や形状による効果の違いを分析して改良型の製作を目指す。
平沢亜祐奈さんは「カキが三ケ日の特産物になり活性化すればいい」と思い描く。
取り組みは県外でも展開されている。
小島教授によると、昆布の養殖が盛んな北海道釧路町で技術を応用した装置を海岸線の砂の中に埋めたところ、昆布の収穫量が増え品質も向上した。
東日本大震災で被災した岩手県山田町など各地のカキ業への活用に向けた研究も続けているという。
小島教授は「海のない(群馬)県の人間が研究できたのは三ケ日の方々の応援と協力のおかげ。三ケ日生まれの技術を日本中に発信したい」と意欲を見せる。
◇新型の着卵材◇
鉄や炭、腐葉土を入れた麻袋の上に縦45センチ、横35センチのポリエチレン製の網をかぶせた構造。
鉄分や腐葉土が餌になる植物プランクトンを増殖してカキを呼び込み、表面に付着させる。
小島教授と環境リサイクル会社の石井商事(群馬県高崎市)が共同開発した。
浜松市北区三ケ日町の有志グループ「わらの会」(前原基二会長)が協力して昨年11月に猪鼻湖で行った調査で、9月に水中に設置した一つに約4,500個のカキの付着を確認した。
静岡新聞より
2014年08月07日
里山保全を気軽に体験
里山の再生などを目指し、日立製作所が秦野市千村に開いた「日立ITエコ実験村」が地元住民らにフィールドワークの場を提供している。
毎月のように小・中・高校などが訪れるほか、住民による団体も組織され、さまざまな体験活動を展開している。
実験村は同社の社会貢献活動の一環。里山再生の実践や環境保全に同社の技術を生かす実験の場として、3年前に“開村”した。
約7千平方メートルほどの土地を借り受け、休耕田・広葉樹林再生エリア、植物・動物観察エリアに分け、地元ボランティアとともにさまざまな取り組みを続けている。
5日は県の環境教育の一環として県立海老名高校(海老名市)の生徒会の環境委員4人が竹林の保全活動を体験。
生えすぎて他の植生を妨げている竹林の間伐を行った。
専用ののこぎりで竹を切った後には、それを材料に竹細工にも挑戦した。
副委員長を務める2年の女生徒(16)は、「こうして人の手を加えることで、多様な自然が守られるということが分かった」と汗を拭っていた。
実験村では、同社のITシステムを用いて畑などの地温や温湿度のデータを収集したり、獣道には温感センサーで作動する赤外線カメラを設置するなど、技術を環境保全や分析に役立てる実践も行われている。
地元を中心に県内の幼稚園児から高校生までを対象に、田植えやサツマイモ掘りなど体験活動も定期的に開催。
東海大学の学生が幼稚園児らを相手に、里山保 全など環境学習の指導者体験を行うこともあるという。
また、地元住民らにより「ネイチャークラブ」が組織され、定期的に活動を行っている。
同社環境推進本部長で実験村の村長を務める谷光清さん(62)は、「里地里山の荒廃、そして自然資源の素晴らしさを感じるきっかけの場にしてほしい。これからはぜひ都市部の大人にも知ってもらえるような形に持っていきたい」と話していた。
神奈川新聞より
2014年08月04日
温暖化防止を祭りでアピール
今年の青森ねぶた祭で、主に青森市内の家庭や事業所から出た使用済み食用油で作ったバイオディーゼル燃料(BDF)を活用する取り組みが本格的に始まった。
地球温暖化防止活動を支援する「市ストップ温暖化センター」と油川幼稚園が協力し、子供ねぶたの発電用燃料として利用。
関係者は「ねぶた運行でPRし、再生燃料を普及させるきっかけになれば」と期待している。
同センターは、廃食用油を資源として再利用するため、市内各地の市民センターに設置した回収ボックスのほか飲食店、病院などの協力で集め、市内の企業と連携してBDFに精製した。
青森ねぶた祭では、過去に試験的にBDFを使ったことがある油川幼稚園に協力を求め、軽油の代わりにBDFを発電機の燃料として使用している。
2日夜は、同幼稚園のねぶたの前に同センター関係者が並び、BDFの活用をPRするのぼりを持って運行に参加した。
市内では市営バスやごみ収集車にBDFが活用されており、同センターを運営するNPO法人の高橋和徳さん(29)は「BDFは地域の皆さんの理解や協力がないと広がらない。まず関心を持ってもらい、現在、市内でも進められている廃油回収にも協力してもらえれば」と話していた。
Web東奥より
2014年08月01日
再生可能エネ展示会
東京・有明の東京ビッグサイトで開かれている「再生可能エネルギー世界展示会」で、太陽光や風力以外の再生可能エネルギー源が関心を集めている。
日立造船は茨城県常陸太田市で来年の完成に向けて建設中の出力5メガワット級木質バイオマス発電所事業を紹介。
地元の林業組合や材木業者からの未利用材の提供を受け、細かく裁断した後、ボイラーで燃やす。
太陽光や風力などと違い、天候に左右されずに、安定して電気を供給できる。
担当者は「この事業を通じて、日本の林業の活性化につなげたい」と話している。
一方、水力発電関連装置開発製造のイームル工業(広島県東広島市)は水中タービン発電機を展示。
水力発電は水車と発電機を別々の場所に置くのが一般的。
同社の水中タービン発電機は水車と発電機を一体化させたことで、発電機の建屋が不要になった。
一番小さなもので高さ1.6メートル、重さ100キロと、農業用水や工業用水での小出力発電に適している。
東日本大震災後、同社に問い合わせが殺到しており、担当者は「今年度は30件程度の受注が見込める」と話す。
SankeiBizより