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2014年06月03日
チョウザメ養殖と野菜水耕栽培を一体化
茨城県つくば市の特定非営利活動法人(NPO法人)「アクアポニクスを広める研究会」の理事長を務める農家の飯島朗さん(54)は、チョウザメ養殖と野菜の水耕栽培を一体化した「アクアポニクス」に取り組んでいる。
高齢者にも作業がしやすい循環型農法で、全国に広げる考えだ。
「アクアポニクス」は、魚の養殖「アクアカルチャー」と水耕栽培「ハイドロポニクス」を融合させた生産のこと。
欧米ではナマズなどの養殖と香辛野菜の栽培を一体化したシステムの開発が進んでいるが、日本では珍しいという。
飯島さんは2010年、チョウザメを養殖する有志でつくる「つくばチョウザメ産業創出プロジェクト」に参画、畑を養魚場として提供してきた。
約200平方メートルのハウス内には、幅2.5メートル、長さ17メートルの水槽を二つ設けてチョウザメの養殖を始めた。
しかし、2011年3月の東日本大震災で水源の深井戸が枯渇。
「養殖を断念しよう」と思った時に知ったのが、魚の養殖と水耕栽培が一体化した米国の事例だった。
早速2012年、「飯島アクアポニクス」を立ち上げて挑戦を始めた。
下層でチョウザメを養殖し、上層で野菜を育てる“二層構造”が特徴。
新たに確保した地下 水を下層に流し、魚の排せつ物などで汚れた水をいったん外の浄化槽である程度きれいにし、塩ビ管を通して上層のクレソンやセリなどの栽培に使う養液として再利用する。
作物に硝酸性窒素などを吸収させ、水を完全に浄化してから再び水槽に戻す仕組みだ。
飯島さんは「養殖だけをしていた時は水を月に4、5回交換していたが、システム導入後は3カ月に1回、しかも半分換えるだけで済む」と利点を強調する。
昨年末からは、プロジェクトで導入したチョウザメ700匹と稚魚300匹の計1,000匹を養殖。
雄は3年で食用として出荷し、雌は早ければ7年後から卵(キャビア)がとれる見通しだ。
今年4月にはNPO法人を設立。
江戸野菜「内藤とうがらし」や花の栽培にも着手し、「内藤とうがらし」はチョウザメと共に、つくば市の特産品として育てる考えだ。
飯島さんは「チョウザメが育つのを待ちながら、野菜や花作りが楽しめるのが魅力。かがまないで作業するので高齢者にも向き、ナマズやウナギなど淡水魚の養殖も可能。当地をモデルに全国に普及させたい」と意気込む。
日本農業新聞より
投稿者 trim : 2014年06月03日 13:04