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2014年06月04日
安倍政権の女性登用推進
6月2日、安倍政権が今月中に策定する成長戦略に盛り込まれる女性登用促進策の内容が明らかとなった。
国や地方自治体、企業に対し、女性登用の目標や行動計画の策定、公表を義務化することなどが盛り込まれ、政府は来年の通常国会に関連法案を提出することを目指す。
4月26日、連合が開催した第85回メーデー中央集会に来賓として出席した安倍晋三首相は、「2020年に約3割の指導的な立場に立つ女性を育てたい」と女性登用を推進していく意向をあらためて明らかにしたが、実は一部の中小企業で、女性登用推進策が早くも利権化の動きをみせているという。
その舞台は、「中小企業新戦力発掘プロジェクト」という、育児などで一度退職した女性の再就職を支援する事業。
この事業は、主婦をインターンとして受け入れた中小企業に対し、国が5,000~7,000円の技能修得支援助成金を払うというものだ。
プロジェクトの実務は民間に委託されている。
2014年度はキャリアバンク、マイナビ、ヒューマンタッチ、パソナ(パソナ・グループ)、アソウ・ヒューマニーセンター、りゅうせきビジネスサービス、ビー・スタイルの7社が受託しており、受託額は非公開である。
パソナ・グループ(以下、パソナ)の会長は現在、政府の国家戦略特区諮問会議の民間議員を務める竹中平蔵氏、アソウ・ヒューマニーセンターは麻生太郎副総理兼財務相の弟・麻生泰氏が代表を務める麻生グループの人材派遣会社である。
竹中氏が小泉純一郎内閣の経済財政担当相だった2003年、製造業にまで派遣対象業種を拡大した改正派遣法が成立した。
これにより、2000年に約33万人だった派遣社員は2008年には約140万人にまで増え、非正規労働者が労働者全体の3分の1を占めるまでになった。
パソナの売上高は2003年5月期の1,356億円から2008年5月期には2,369億円と1.75倍に伸び、パソナは竹中氏が推進した規制緩和の恩恵を受けた会社といわれている。
ちなみに安倍首相は小泉政権では官房長官として当時、竹中氏と小泉首相を支えた間柄である。
この規制緩和が非正規派遣労働者を増大させ、格差増大をもたらしたとの批判も多く、2009年秋の衆議院議員選挙で自民党が歴史的大敗する一因になったともいわれている。
2007年2月、そのパソナの特別顧問に竹中氏が就任し、アドバイザリーボードの一員となった。
そしてその翌月の3月、パソナは総務省の「試行人材バンクに おける民間業者による求人開拓等に係る共同検証」の実施企業に選定された。
省庁による官僚の天下り斡旋を全廃する代わりに、総務省の人材バンクから人材情報の提供を受けたパソナが、求人開拓など国家公務員の転職を支援するというものだ。第一次安倍政権下でパソナが受注できたのは“竹中効果”だともいわれた。
そしてその2年後の2009年8月26日、株主総会の取締役会で竹中はパソナの取締役会長に就任。
パソナは「南部(靖之・会長)と竹中は20年来の友人であり、(今回は)南部が竹中に声をかけた」と、竹中の会長就任の経緯を説明した。
また、アソウ・ヒューマニーセンターは福岡市中央区に本社がある総合人材サービス会社であり、九州で業界トップクラスのシェアを誇る。
麻生グループは現在57社あり、会長の麻生泰氏が経営の舵取りを担っている。
以上みてきたように、安倍政権が推進する女性登用策をめぐっては、政府と関係の深い企業がさまざまなかたちで関与しており、新たな利権が生まれているとの批判が広がりつつある。
Business Journalより
投稿者 trim : 2014年06月04日 10:46