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2014年03月22日
校舎屋上が学びの場に
兵庫県尼崎市内の小中学校で、校舎屋上の活用が進んでいる。
太陽光発電や環境学習だけでなく、展望台や“天空のプール”など目新しい施設も登場。
「危ない」と立ち入り禁止が原則だった空間が、安全面も考慮した改築工事で「学びの場」に生まれ変わり、子どもたちの歓声が空に響いている。
大阪・梅田のビル群や工場の煙突、六甲の山並み…。
遠くまで見渡せる杭瀬小の「展望台」は、校舎より頭一つ高い地上約17メートル。
同小の宮内淳子教諭は「見たこともない高さから自分たちの町を見られて、子どもたちは大喜びです」と話す。
こうした展望スペースは、2007年度に完成した同小に続き、2013年度の武庫東小、2015年度完成予定の成文小と尼崎市内で増えている。
同市教育委員会によると「屋上は危険なので上がらせない―というのが近年まで一般的だった」という。
認識が変わり始めたのは2006年度。
中学校統合のための改築工事の際、環境学習に活用できる太陽光発電パネルや屋上緑化を取り入れた。
環境意識の高まりを受けて同様の動きは徐々に広がり、太陽光発電設備と屋上緑化は2015年度までに全体の約4割にあたる計24小中学校で整う。
さらに、屋上プールも2015年度までに4小中学校で整備される。
本年度完成した武庫東小では、ホテルのような明るい雰囲気が子どもたちに大人気。
大楠正治校長は「児童の声が空に抜けて近所迷惑にもならない」と話す。
災害時にはプールの水を下に流してトイレの水などに転用できる利点も注目されている。
屋上活用の背中を押しているのが、耐震補強工事に対する国の補助制度だ。
改修と改築で割合は異なるが、交付税還付も含め、費用の8割程度が補助される。
同市は小中学校の耐震化率が59・9%(2012年度末=県内41市町中40位)と低く、2015年度末の100%を目指し急ピッチで進める耐震化工事に、屋上活用も組み込んでいる。
同市教委学校耐震化担当は「これまで活用されなかったのが不思議に思えるぐらい」と児童や生徒の好評に手応えを示し、「しっかり安全を確保し、屋上をもっと開放していきたい」としている。
【霍見真一郎】
神戸新聞より
投稿者 trim : 2014年03月22日 17:00