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2014年01月13日
「パンクしないタイヤ」
ブリヂストンが開発している非空気入りタイヤ「エアフリーコンセプト」の実用化がいよいよ現実味を帯びてきた。
空気が入ったゴムチューブを用いる従来のタイヤと異なり、特殊形状の樹脂で荷重を支える新発想の製品で、パンクの心配や空気圧の調整が必要ない上、100%リサイクルできる優れものだ。
このほど発表した「第2世代」の新型は、耐えられる車両の重量や最高速度を大幅に向上させており、今後は耐久性の向上などに努め2020年の本格実用化を目指す。
「パンクしないタイヤなら自分の車にもぜひ着けたい」「はやく実用化してほしい」。
昨年11、12月に開かれた東京モーターショーの会場で、新型エアフリーを装着した超小型車が来場者の関心を集めていた。
エアフリーは、タイヤ表面のゴムとアルミホイールとの間に板状の波打った樹脂(スポーク)を張り巡らせ、その反発力で車の重みを支える構造だ。
スポークはタイヤの外側と内側に60本ずつ計120本付いている。
新型では樹脂の材質を「強度と柔軟性を併せ持つ新素材」(広報)に切り替えたほか、スポークの形状を見直し、圧力のかかるポイントを分散させた。
この結果、耐えられる車両重量は、2011年に発表した第1世代に比べ4倍増の410キロ、最高速度は10倍増の時速60キロまで向上した。
また転がる際のタイヤの変形が抑制され、エネルギーロスが少なくなった結果、同社の空気入り低燃費タイヤとほぼ同レベルの燃費性能を実現することができたという。
第1世代は、高齢者向けに作られた速度の遅い「シニアカー」などで用いるのが精いっぱいだったが、第2世代なら軽自動車よりコンパクトな1、2人乗りの超小型車などに装着し、地域の足としても利用可能な状態だ。
タイヤは走行時の安全を文字通り支えてくれる存在。
それだけにパンクや空気抜けは極力避けなければならない。
「ならばいっそ、空気を使わないタイヤを作ってみたら?」。
そんな発想から同社がエアフリーの開発に着手したのは2008年のことだ。
コンピューターによるシミュレーションを繰り返し、走行時の衝撃 を吸収できるスポークの形状や材質を研究してきた。
次世代のタイヤに求められるのは走行性能だけではない。
開発チームは環境性能にもこだわった。
従来のタイヤは9割程度を燃料に再利用できるが、タイヤとして再生はできない。
それに対しエアフリーは、樹脂や表面のゴムなど素材すべてをタイヤとしてリサイクルできるのが特徴だ。
ブリヂストンは、二酸化炭素(CO2)の排出量を2020年までに2005年比で35%削減する目標を掲げており、エアフリーの実用化は大きな鍵を握る。
東京モーターショーでの期待通り、乗用車に装着するのなら、耐えられる車両重量をさらに大幅に引き上げる必要がある。
耐久性についても、街乗り用に作られた超小型車や原動機付きバイクなどの場合は数千キロレベルで済むが、乗用車なら数万キロレベルが要求される。
今後は走行試験を積み重ね、耐久性を実証する。
製品を回収、リサイクルするシステムの確立も課題だ。
同社幹部は「どんな車種に搭載できるかも含め、2015年ごろには開発の方向性を明確に打ち出したい」としている。
【田辺裕晶】
SankeiBizより
投稿者 trim : 2014年01月13日 14:18