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2013年12月16日

「ECOサイトハウス」

ゼネコン大手の大林組が、東京大学生産技術研究所と組んで、環境配慮型の仮設工事事務所「ECOサイトハウス」の建設や運用の実証実験に取り組んでいる。

過密になった木々の一部を計画的に伐採したときに生じる間伐材を活用するとともに、太陽光発電の導入や消費電力の「見える化」などを組み合わせて、徹底的に環境対応を図ったのが特徴だ。

両者は実証実験を通じて工法の改善を進めることで、間伐材の活用を促し、森林保全への貢献を目指す。


また大林組は、自社が応札する公共工事や民間工事で、ECOサイトハウスの利用を環境技術として提案している。

ECOサイトハウスは、工事現場などで作業員が詰める仮設事務所として使うことを想定。
部材を繰り返し使える「システム工法」を採用しており、建物の柱と梁(はり)を接合する部分に特殊な金物を使うことで、木材を傷つけずに組み立てや解体が可能だ。

主な特徴の一つが、間伐材の中でも樹齢が20年程度と若かったり、直径があまり太くない「小径木」と呼ばれる木材を仮設事務所の構造材として積極利用していることだ。

間伐材では、こうした小径木が大量に発生する。
しかし小径木は材料強度にばらつきがあったり、直径が細く角形や丸形に加工しにくいなどの難点があり、活用できる用途が木質バイオマス発電や、木杭など土木の仮設用材に限られていた。
このため大林組と東大生産技術研は、小径木の利用や用途を広げていくためにシステム工法を活用すれば、これまで難しいとされていた仮設事務所の構造材として利用できることを考えついた。

間伐材の活用により森林活性化などが進めば、二酸化炭素(CO2 両者の試算によると、広さ100平方メートルのECOサイトハウスを100棟建てると、4万8,500平方メートルの森林と同程度のCO2

同時に太陽光発電、消費電力の見える化、断熱性能の強化、全面的な発光ダイオード(LED)照明の採用、昼間の光の利用など、さまざまな環境配慮技術を導入。
これらの省エネ手法の組み合わせにより、プレハブタイプの従来型の仮設事務所と比べ、年間の電力購入量を最大約63%削減できるという。

加えて、仮設事務所内の書棚やテーブル、イスといった家具類も、同じ小径木を使って作り付けにすることで、デザイン性が高く快適な空間を生み出すことにもつながる。

実証実験の第1号として昨年12月に、神奈川県内のマルチテナント型物流施設の工事現場で、大林組が1階建て・広さ10坪(33平方メートル)程度のECOサイトハウスを建設し、自社の工事事務所として利用した。
このときはシステム工法による施工性の評価に加え、環境効果の測定、解体後に再利用が可能な部材の割合などを調査。
現在は千葉県内の教育施設の工事現場で、2件目の実証実験を始めようとしているところだ。

大林組は、東大生産技術研との実証実験を通じ、システム工法の改善を進める。
将来的には仮設事務所に加え、展示会ブースなどの形で製品化し、外販も実現したい考えだ。

また、最近は環境意識の高まりを受け、公共工事や民間発注の工事で、入札時に環境技術の提案を求められるケースも増えている。
このため大林組では、自社が応札する工事案件で、仮設事務所としてECOサイトハウスを活用する提案を強化していく方針。
今後の普及に期待がかかる。
【森田晶宏】

SankeiBizより

投稿者 trim : 2013年12月16日 10:36