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2013年11月18日

牛乳瓶の容器軽量化

飲料・食品業界で容器軽量化競争が激化している。

なかでも乳業大手の森永乳業はこの10年間で、チルド(冷蔵)飲料やヨーグルトなど主力商品の容器軽量化に相次いで成功した。

遡(さかのぼ)ると、軽量化に5年以上かかった牛乳瓶の存在が見えてきた。
試行錯誤の結果、牛乳瓶の軽量化を果たしたことが社内に軽量化の波を広げたという。


スーパーなどで販売される商品では紙パックが大半を占めるが、乳業各社が主力事業の一つに据える宅配事業では牛乳瓶が主流だ。
決まった家庭に定期的に配達するため回収が容易でリユース(再利用)率が高く、環境配慮の観点からも注目度は高い。
一方で「瓶底めがね」という言葉が生まれるほど厚く、その重さや割れやすさを克服することが課題だった。

森永乳業で牛乳瓶の軽量化が議論され始めたのは1990年代後半。
従来のガラス瓶を薄くすることからチャレンジが始まったが、ガラスを薄くすれば同時に強度も低下。
輸送時に割れやすくなるほか、瓶の重心が高くなり牛乳を充填(じゅうてん)する際に倒れやすくなるなどの課題が浮かび上がった。

だが、牛乳瓶の軽量化が遅れると「確実に他社との競争に負けて取り残される」(容器包装開発部の森哲志部長)との危機感が社員の背中を押した。
試行錯誤の結果、たどり着いたのが、薄くした瓶の外側に樹脂を張る方法だった。

樹脂が輸送時の衝撃から瓶を保護するためガラスを薄くしても割れにくくなり、軽量化と同時にリユース回数が倍増すると試算された。
しかし、森部長は「牛乳瓶に利用して効果があるのか、本当に再利用回数が倍増するのか半信半疑だった」と振り返る。

実際の容器改良では、充填機の構造を大きく変えないために瓶の太さを変えず、高さを低くして対応。持ちやすいよう瓶にくびれをつけた。
さらに、樹脂が輸送時や太陽の熱ではがれないことなどを確認するため、14項目に及ぶ検査を実施した。

一方、樹脂の強度を重視した結果、瓶が割れても牛乳が漏れず、破損がわかりにくいという問題が浮上した。
消費者が割れた瓶のかけらを飲む危険性がある。
瓶が割れると樹脂も一緒に破れるように工夫することで乗り切ったという。

2004年に導入された軽量瓶は平均の厚さが従来の5.7ミリから3.4ミリに40%縮まり、重さは244グラムから130グラムに46%以上軽量化した。
この結果、一度に運搬できる量が増加、仮に13トントラックに瓶商品だけを満載した場合、従来は2万7,000本だったが、軽量化により3万5,720本積むことができ、積載効率が約30%改善。
輸送時のエネルギーコスト削減にもつながった。
リユース回数は33回から66回に倍増。
軽量化とリユース回数の増加で、2004年以前は366トンだった原材料が130トンに減り、65%の削減に成功した。

同社の容器軽量化への挑戦は続いた。
コンビニエンスストアなどでの取り扱いが増加しているチルド(冷蔵)飲料に利用するプラスチック容器は、軽量化への取り組みを繰り返し、2010年7月までに約20%軽量化。
2012年9月にはプレーンヨーグルトのプラスチックカップを約7%軽量化し、今年7月には同じプレーンヨーグルトのキャップ部分も約4%の軽量化に成功した。
「皮切りは牛乳瓶の成功だった」。
一連の取り組みを見続けた森部長はこう強調する。
同社では現在も容器の軽量化に挑み続けている。
【松岡朋枝】

SankeiBizより

投稿者 trim : 2013年11月18日 15:46