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2013年06月10日

地中熱利用の可能性探る

再生可能エネルギーとして注目を集め始めた地中熱について、横浜市泉区が普及の可能性を探る調査をNPO法人に委託し、報告書にまとめた。

市内の中でも 地下水が豊かな地域特性に同区は着目。

地質構造や地中での熱の伝わりやすさとともに、冷暖房や給湯などに必要な設備の規模なども試算した。

同区庁舎では本年度、空調に利用できるか実証試験にも乗り出す。

区が調査を委託したNPO法人「地中熱利用促進協会」がまとめた報告書は、地中熱の説明から始まり、地中熱ヒートポンプシステムなど、その利用方法を紹介している。

地中熱利用ヒートポンプシステムは、地中約100メートルほどまで掘って熱交換器を設けるため、地下の地質を知る必要がある。
重要なのは熱伝導率で、地層ごとに概数値が示されている。
砂礫(されき)層は熱伝導率が高く、地下水があればさらにその値が高くなるという。

地下の状況は、地質調査や鑿井(さくせい)工事で地質柱状図が作成されるが、横浜市はホームページ「地盤View」で市内の柱状図を公開している。

報告書は、この柱状図を参考に地質の特徴から泉区内を4地域に分け、地中に入れる熱交換器の本数をシミュレーション。
一般家庭や病院、店舗などで導入した場合に、通常のエアコン設備を使った場合とのコスト比較も行っている。

報告書によると、一般住宅用の小型地中熱ヒートポンプは発売されたばかりで、エアコンに比べ約2~3倍と高額。
地中熱交換器の設置と合わせると約220万円が必要という。

地中熱利用はヒートアイランド現象の緩和や二酸化炭素の排出削減などのメリットがあり、環境省が普及状況を調査。
2010年の設置件数は145件、2011年は207件と近年急速に増えてきているが、まだまだ少ない。

報告書は「普及すればコストが抑えられ、補助金制度が整うことで、トータルでコストメリットの出る可能性がある」としている。

泉区総合庁舎では昨年、1本の熱交換器を設け、熱伝導率のテストを行っている。
市建築局は本年度中に同区庁舎で空調システムの実証試験を予定している。
同局は「エアコンと比べたエネルギー効率を調べ、今後の参考にしたい」としている。

カナロコより

投稿者 trim : 2013年06月10日 15:56