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2013年05月06日
別府の売電が熱い!
再生可能エネルギーの普及に向けた固定価格買い取り制度によって、大分県別府市で既存の温泉を使う小規模な発電施設が次々と生まれている。
温泉発電による電気は比較的高価で売却でき、風力や太陽光に比べ安定して発電できるのが強み。
1925年に国内で初めて地熱発電に成功した別府は、温泉発電でも全国的に先行しており、脱原発につながる温泉地での新たなビジネスモデルとして注目される。
温泉熱を利用した従来型の地熱発電は、新たに井戸を掘る必要があり、費用や時間がかかる。
また「周辺の温泉を枯渇させる」との不安から普及が進んでいなかった。
状況を変えたのが、比較的低い温度の湯でも発電できる「バイナリー発電」の普及だ。
これを使った温泉発電は地熱発電の一種で、既存の泉源を使うた め温泉枯渇の懸念はなく、発電後も温泉として再利用できる。
別府の街並みを見下ろす高台。
「瀬戸内自然エナジー」の発電施設から湯煙が上がる。
経済産業省から昨年10月、買い取り対象第1号に認定された。
温泉発電の実用化への取り組みは長崎県や北海道でもあるが、認定施設は1月31日現在、全国で3カ所(大分県2、鹿児島県1)だけ。
電気を作るのはバイナリー発電機1台(60キロワット)。
約100度の温泉の熱を沸点が低い代替フロンに伝え、その蒸気でタービンを回す。
施設維持に必要な分を除く約50キロワットを売電する。
投資額は約9,000万円だが、発電が順調に続けば5年ほどで回収できる計算。
森川勇社長は「発電機をもう1台発注した」と事業拡大に意欲満々で、「原発事故もあり、自分ができるのは発電だと思った」と語る。
別府には未利用の泉源も多い。
温泉工事に長年携わる小俣勝広さんは「もったいない」と着目。
未利用泉源の土地を借りて発電し、売電利益を得るビジネスモデルを考え出した。
4月に「西日本地熱発電」を設立。
2カ所で計画が決まり、60キロワットのバイナリー発電機を2台ずつ導入する。
今秋にも売電を始める予定だ。
一方、大分市のタービン設計業「ターボブレード」は、バイナリーと異なる独自の技術を別府市で実験している。
既存の泉源から湧き出す熱水と蒸気で二つのタービンを回し、エネルギーを効率良く生み出すもので、「湯けむり発電」と名付けた。
林正基社長は「7月ごろにも20キロワットの実用機で発電を始めたい」と話す。
資金面で支える動きもある。
県などは4月に10億円の基金を設け、温泉発電の事業化に向けた調査や設備投資への融資に乗り出した。
運営会社は「既に調査段階が5件。
相談を受けているのは30件ほどあり、熱気を感じる」と期待を高める。
阿部博光・別府大教授(環境エネルギー政策)は「買い取り制度はビジネス上、魅力的に作られている。
ここ1、2年で実績を積むことができれば、自然のエネルギーで地域を活性化する温泉発電が一気に広がるのでは」と期待を込める。
【池内敬芳】
毎日新聞より
投稿者 trim : 2013年05月06日 13:14