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2013年04月30日

端切れを再生利用


全国最大規模のタオル生産量を誇る愛媛県今治市の「今治タオル」。

その生産過程で廃棄されるタオルの端切(はぎ)れに福岡市の主婦が着目し、バスマットや座布団などを作る材料として紹介している。

メーカーも「目からウロコ」の再利用法で、現在は端切れの発送に2カ月かかる人気という。
産業廃棄物が人気の手芸材料に生まれ変わった。



今治タオルは厚手で吸水性に優れるなど品質の良さでも知られる。
機械で製品サイズに裁断する際、両端から幅1.5センチほどの「捨てみみ」という端切れが生まれ、大量に廃棄されてきた。

これに目を付けたのが「布編み作家」としても活動する福岡市中央区の主婦、奥村律子さん(57)だ。
20年ほど前、夫の仕事で滞在した米国で、古布を細く裂いてひも状にし、毛糸のかぎ針編みと同じ要領でマットや雑貨を作る「布編み」を知り、手芸を楽しむようになった。

帰国後、国内で布編みを紹介するようになった。
4年ほど前、今治を悩ませる産業廃棄物として端切れを取り上げたテレビの情報番組をたまたま見た。
「これは使える」と感じた。
細長い端切れが布編みの材料として、ぴったりだったからだ。

早速、今治のメーカーから端切れを取り寄せ、マットを作ったところ、思い通りの仕上がりになった。
「今治タオルは端切れでも吸水性が良く、お風呂やキッチンなど水回りのマットに合う」。
夫や息子たちも「気持ち良い」と気に入ってくれた。

奥村さんが端切れを取り寄せたメーカー「七福タオル」(今治市)では、1日に重さ10キロほどの端切れが出て、廃棄コストは年間15万~20万円になるという。
今年初め、奥村さんが端切れを使ったマットを手芸雑誌で紹介すると、同社に「譲ってほしい」という問い合わせが相次ぐようになった。

奥村さんは「産廃の布も実は宝の山だった。エコに役立つと思うと、手作りするのもますます楽しくなる」。
七福タオルの橋田雄二さん(42)も「廃棄のコストがなくなり、逆にエコに貢献できる『利益』をいただいている」と喜んでいる。

今治タオルのメーカーは200近くあるが、端切れを提供しているのは今のところ七福タオルのみで、一度に10キロずつ。
端切れは無料だが、送料や段ボール代などとして3,500円が必要。
【青木絵美】

毎日新聞より

投稿者 trim : 2013年04月30日 16:36