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2012年10月08日

東京メトロ自慢の「1000系」

今年4月、黄色い塗装が印象的な新型車両がデビューした。

東京メトロ(東京都台東区)の銀座線(浅草-渋谷駅間)を走る「1000系」だ。
今走る車両は1編成のみのプロトタイプ(試作車)。

来年度以降、量産化が進むことで順次、新型車両が投入される計画で「今はまだ乗車する機会が少ない車両だが、乗り心地は全く違う」と同社幹部は説明する。


車両の外観は、日本で地下鉄が初めて営業運転を開始した1927年当時のデザインをレトロ調に再現したものだが、中身は「最新鋭の技術が搭載された」という自慢の車両だ。

今回の1000系で、電気消費量を削減する省エネ技術として初めて採用されたものが「操舵(そうだ)台車」。
自動車で言えば、足元のタイヤ部分だ。
電車の車輪が固定された従来型の通常台車に比べ、1000系の台車には操舵装置が付いたことで、カーブを曲がる際にスムーズに走行できる仕組みとなった。
車輪に伝わる抵抗力が少なくなるため、エネルギー消費の低減にもつながる。
カーブ通過時の「キーン」といった騒音や振動も低減されるため、従来の車両に比べ「乗り心地が格段に向上した」(同社)という。

さらに、鉄道として日本初の技術採用となったのが、先頭車両の前頭部分にある「前照灯」。
電車の主灯としてLED(発光ダイオード)を使う。客室にも本格的にLED照明を採用し、車両内は従来以上の明るさを保ちつつ、消費電力を約4割削減できる。
「浅草」「渋谷」という行き先の表示器にも、従来の幕式で はなく、LEDによる表示方式で標準化。
同社は「蛍光灯に比べ長寿命。
維持やメンテナンスも楽になる」とLEDを採用した理由を付け加える。

このほか、2010年に登場した千代田線の「16000系」以降、同社の新型車両に採用されている省エネ技術が、車両を動かすための動力となる主電動機の永久磁石同期モーター(PMSM)だ。
永久磁石を部品として使うことで、電気を流す必要がなく、エネルギーを伝えられることから、省エネにつながる。
実際、2007年以降にメーカーと共同実験を重ねた結果、「従来比で消費電力量が2割削減できる効果を確認できた」(同社車両部設計課)として本格導入を決めたという。
もちろん、この技術も銀座線「1000系」にも搭載されている。

地下鉄は線路の構造上、地下のトンネルを走る区間が多いことから、地上を走る電車に比べ、車両が走行した際に生じた熱が線路などにたまりやすい。
東京メトロは、電気消費量の削減といった「省エネ」を意識した車両の開発の歴史を積み重ねてきたという。
例えば、車両の材質の歴史だ。
1927年の営業開始時点での車両は「トンネル内を走る車両のため、当時主流の木製とは違い、防火対策の意味合い」(同社)から鉄(スチール)製が採用された。

ただ、鉄は重たい。
車両は軽ければ軽いほど、消費電力量の削減などの省エネにつながるため、1971年に千代田線に導入した「6000系」からはアルミニウム製車両を採用。
その後は、さらに一歩進んだ形で車体全てがリサイクル可能なアルミ製車両の導入も進めており、今や同社が運行する全2707両(2011年3月現在)のうち、「省エネ」車両は2698両と全体の99.7%にのぼる。
同社は今後もさらに環境に配慮した車両づくりを追求していく構えだ。
【西川博明】

産経新聞より

投稿者 trim : 2012年10月08日 11:15