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2012年09月11日

種子油燃料実用化へ

再生可能エネルギーを創出するバイオマス燃料の実用化に取り組む沖縄バイオディーゼルは、種子油が軽油に代替できる多年生植物「ヤトロファ」の事業化を進めている。

沖縄県が今年3月、事業者が採算性を確保できるように作成した事業モデル「ヤトロファ循環シナリオ」を参考に実用化を図る。

2015年に植物油燃料の年間生産量3万トン、20年に15万トンを目標に、県内軽油相場と同程度の販売価格を目指す。

沖縄バイオディーゼルは「ヤトロファ循環シナリオ」の作成に携わった企業、個人の投資により、実用化に向けて今年2月に設立、5月に本格稼働した。
現在、ミャンマーから月に約20トンの種子油を輸入し、精製してディーゼルエンジンを搭載する重機用などとして販売している。

ヤトロファは毒性があり、非食用の熱帯植物。
そのため、穀物の価格高騰に直接影響されにくいという。
アジアではカンボジアやフィリピンなどで生産が盛んで、沖縄が栽培可能地域の北限となっている。

県は2010~2011年度、総事業費5億5315万円の「島しょ型ゼロエミッション・エネルギーシステム構築事業」を実施。
ヤトロファを利用するための「栽培技術」「燃料利用技術」「事業化の検討」の三つの課題を柱に、総合的な実用性について調査研究した。
それらの結果を基に、事業モデルとして同シナリオをまとめた。

優良種の選抜や品種改良による増産技術のほか、これまで廃棄していた実の半分を占める皮と、4分の1を占める胚珠(はいしゅ)の有効活用により、採算性を確保する。
皮はチップ状にして火力発電などの燃料に加工。
毒を持つ胚珠は、無毒化して飼料に再利用する。

同社は現在、カンボジア、インドネシアの農家と契約栽培に向けて調整を進めている。
皮や胚珠の再利用も1、2年以内の開始を見込む。
今後は県内での栽培も視野に入れ、エネルギー安定供給につなげる。

宮城社長は「再生可能エネルギーは地球に優しいが、大量生産するのが難しい。まずは安定供給体制をつくり、コストを低く抑えたい」と意気込みを語った。
【長嶺真輝】

琉球新報より

投稿者 trim : 2012年09月11日 13:55