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2012年08月15日

ユニクロがリサイクル講義

難民問題を学校で学ぶ活動が広がっている。

カジュアル衣料品店「ユニクロ」は、難民支援教育や環境教育に取り組む学校に社員を派遣し、衣服のリサイクル活動と連動した活動を拡大中。

また、大学入試センター試験で難民関連の問題が出題されたことなどから、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日事務所(東京都港区)には、教育系出版社や学習塾からの問い合わせが殺到している。

東京都立国際高校(目黒区)で7月半ばに開かれた1年生の「奉仕」の授業に、ユニクロとUNHCRの職員が招かれた。
難民の実態と衣服のリサイクル活動のノウハウを学ぶためだ。
ユニクロを展開するファーストリテイリングCSR部の鈴木翔子さん(26)は、服が健康だけでなく人の尊厳も守ると紹介し、着なくなった服を回収して難民キャンプに送る活動の仕組みを説明した。
UNHCR駐日事務所の守屋由紀広報官(50)は世界の難民について解説し、支援の必要性を訴えた。

2人の講義を聴いた後、生徒は同校や地元小学校に掲示するポスターや衣服の回収箱を製作。
湯浅啓正さん(16)は「服がないと学校に行きづらいとか、難民と衣服の関係は深いと知った」。
徳永朱音さん(15)は「国連職員は将来の夢の一つなので、とても参考になった」と話した。

ユニクロでは2006年から顧客が買った商品のリサイクル活動を始め、アジア、アフリカの難民キャンプなどに衣服を送っている。
2009年度からは東京都内の3高校に社員を派遣し、リサイクル活動と教育を関連づけた。
今年度は東京、神奈川、兵庫、大分の4都県計約30の小中学校に展開し、今後も拡大させるという。
新田幸弘執行役員(CSR担当)は「国際問題を学ぶ学校のニーズは高い。
将来的には国内のすべてのユニクロ支店長(約850人)が学校に行けるよう、活動を広げたい」と意気込む。

難民問題への関心の高まりは、入試の影響もある。
大学入試センター試験(現代社会)で、難民関連の問題が2010年から3年連続で出題され、難民の定義や元国連難民高等弁務官の緒方貞子さんの活動などが問われた。
UNHCR駐日事務所には昨秋以降、教育系出版社や学習塾から、模擬試験の問題や参考書作成などのため、約100件も問い合わせがあった。
人道支援職員を「夢の職業」として紹介する雑誌の取材依頼も多いという。
守屋広報官は「これまで遠い話だった難民問題を身近に感じてもらえるようになった。
東日本大震災で『人を助けたい』機運が高まったことも影響しているのではないか」と話している。
【福田隆】

毎日新聞より

投稿者 trim : 2012年08月15日 13:49