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2012年08月29日

「廃棄物アート」


リサイクル(再資源化)やリユース(再使用)など限られた資源の有効活用が社会の関心事になって久しい。

芸術も、そんな時代の潮流に無関心ではいられない。

近年は廃棄物を素材にした芸術表現も注目を浴びている。
展覧会やワークショップ(体験型講座)なども盛んだ。
その第一人者たちの展覧会が東京で開かれている。


まるでおもちゃの山だ。
東京都千代田区外神田のアーツ千代田3331で開催中の美術家、藤浩志(ひろし)さん(52)の展覧会場に足を踏み入れると、そんな感想を持つはずだ。
床に並べられていたり、あるいは天井から吊るされていたり。
ほとんどはプラスチック製。
乱雑に置かれていたら単なるごみの山にも見えるだろう。
本展では同じ種類と色のものを集めて、整然と配列している。

藤さんは廃棄物アートの先駆者だ。
きっかけは、南太平洋のパプアニューギニアでの生活。
昭和61年から2年間、美術講師として暮らした。
同国には貨幣もあるが、地方では物々交換が主流だったという。
日本ではプラスチック廃棄物は単なるごみだが、この国では、それが宝のように大事にされていたという。
自然の中で暮らしている人たちにとって、「プラスチックは想像もできないくらいすごく価値のあるものだった」という。
現地の人たちは、容器に用いたり、室内の置物にしたり。
さまざまな用途に使われていた。

帰国後、藤さんはビニールやプラスチックの食品容器なども貴重に思えて捨てられなくなってしまった。
以来、家にそれらをため込み、ワークショップなどでアートの素材として廃棄物を利用し始めた。
最近ではプラスチックのおもちゃを寄せ集めて恐竜を作った「トイ・ザウルス」(平成22年)や、昨年は青森ねぶた祭で使用された廃材の針金と木材を使った龍のオブジェ「飛龍(ひりゅう)」(平成23年)など発表作品はいずれも大きな話題となった。
廃品が、藤さんの手にかかると、アートとなって蘇(よみがえ)り、廃棄物とは思えない作品の数々が来場者を楽しませる。

今月11~15日まで、ハラミュージアムアーク(群馬県渋川市)では、ワークショップが開かれ、親子らが廃棄物アートの制作を楽しむ光景が見られた。
廃棄物は銅線、シャンデリアの部品、試験管など約60種類。
参加者の親子ら約150人が工作に取り組んだ。
銅線は指輪に、シャンデリアのガラスの部品はネックレスへと姿を変えた。

廃棄物は、産業廃棄物中間処理業者のナカダイ(本社・東京)が提供した。
倒産などで工場から出た廃棄物の一部。
ほとんどが未使用という。

同社の前橋支店長、中台澄之(すみゆき)さん(39)は、廃棄物を使った工作の指導で忙しい。
平成11年、父親が営む同社に入社した中台さんは日々仕事をこなすうちに、「廃棄物を美しいと思うようになった」という。
「産廃業者として何かできるのではないか」と考え、2年前から工場を一般に開放。
工場見学会のほか電気製品の解体、廃棄物でのものづくりなどを行ってきた。
ユニークな取り組みが評判を呼び、美術館などでワークショップを開くようになった。

今年3月には「モノ:ファクトリー」を立ち上げ、ネットを通じて市民と廃棄物を結び付ける活動に取り組む。
中台さんは「熱心なファンに人気がある」と廃棄部品を写真に撮り、ポストカード(1枚150円)としてネットなどで販売している。

漂流物を使った作品で人気の2人組アーティストの「淀川テクニック」は12月、大阪府内で音楽とアートを融合させたイベント「SNIFF OUT2012」に出品する。
魚がモチーフの過去の作品に手を加えた“リニューアルアート”になるという。
「もったいない」精神が浸透してきた時代の空気を追い風に、“廃棄物アート”がますます勢いづいている。

藤さんの展覧会は9月9日まで(火休)。一般700円。
【渋沢和彦】

産経新聞より

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2012年08月27日

農・漁業体験でファン作り


農畜産業や漁業の生産者が消費者向けに体験型イベントを開き、商品の知名度向上や需要開拓を図る取り組みが広がっている。

観光的な要素と組み合わせて都会の消費者に現場を体験してもらい、都会の消費者に現場を体験してもらい、中長期的な視点でファンをつくるのが狙いだ。

農産物や水産物の直販店や通信販売の売り上げ向上につながる効果もあり、固定客として取り込む。


手農業生産法人の伊賀の里モクモク手づくりファーム(三重県伊賀市)は今夏、自社の牧場で羊や牛、馬とのふれあい、食への理解を深めてもらうプログラムを始めた。
施設への入場料500円で体験できる。
これまでも乳搾りを実施していたが、動物に牧草や乳を与えたり、馬の毛の手入れをしたりと牧場の生活を1日かけて体験できるようにした。

ブルーベリーの収穫などができる農業体験施設との相乗効果でファミリー層を呼び込み、運営するレストランや通販の販売増につなげる。
これまでも体験型イベントに力を入れており、同社の現在の年商は約50億円で10年前から倍増した。

東日本大震災後、水産物の養殖者らを中心に設立した「OHガッツ」(宮城県石巻市)では1口1万円で「そだての住人」を募集している。
2,300人以上が参加し、3千万円を集めた。
ホタテやカキなどの収穫物を送るだけでなく、今年から希望者は現地に招いて養殖作業を体験してもらう。
遠方から来る人のために1泊2千円で宿泊施設も用意し、既に約500人が養殖体験に訪れている。

熊野漁業協同組合(三重県熊野市)では昨年、船を走らせながら疑似餌で佐波やカツオを釣る「ケンケン漁」の体験漁業を始めた。
実施機関は7~9月で参加費は4千円。
世界遺産の熊野古道を訪れる観光客に現地の漁業を知ってもらうのが狙いで、釣った魚は持ち帰ることができる。
同漁協は来年、近隣の景勝地に開業するみやげ店内に鮮魚店を出す計画で、相乗効果を見込む。

伊江漁業協同組合(沖縄県伊江村)は一昨年、大人数で海面をたたいて網に魚を追い込む伝統的な漁法などを体験できるプログラムを始めた。
修学旅行生を中心に年間5千人程度が参加する。
参加費は2,500円から。
特産品のソデイカのゲソでつくった加工品などを持ち帰ってもらい、通販でリピーター獲得につなげている。
八前隆一組合長は「魚の需要が減る夏の収入減を補える。地元では価値の低いゲソの有効活用にもつながっている」と話す。

日経流通新聞より

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2012年08月23日

国産材使えばポイント

政府は、国産木材を使って住宅を建てた人に、家具や家電製品、地域通貨などと交換できるポイントを付与する制度を創設する方向で検討に入った。

農林水産省が2013年度予算の概算要求に盛り込む。

国産木材の利用を促すことで地域経済の活性化を図る狙いがあるほか、不況で冷え込んでいる住宅市場を下支えする効果も期待される。


使用する国産木材の量に応じてポイントがもらえる仕組みとする。
木造住宅の場合、1戸あたりの付与ポイントは、20万~30万ポイント(1ポイント=1円)程度になるとみられる。

東日本大震災の被災地以外からの申請が7月で打ち切られた「住宅版エコポイント制度」と同様に、受け取ったポイントは様々な商品と交換できるようにする。
制度の詳細は今後詰めるが、予算要求額は100億円規模になる見通しだ。

政府が国産木材の利用を後押しするのは、スギやヒノキなど国産木材の価格が急落し、地域経済に深刻な影響が及んでいるとの危機感があるためだ。
急速に進んだ円高・ユーロ安を背景に、北欧などから安価な木材が流入。
高級木材として知られるヒノキの価格(1立方メートルあたり)は7月時点で1万6,800円と、ピークだった1980年ごろの約4分の1にまで値下がりしている。

読売新聞より

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2012年08月22日

水上緑化

種苗最大手のサカタのタネは、池や水辺の景観や水質を改善する「水上緑化」事業に参入する。

水質汚染の原因となる窒素などを取り除く能力がある独自品種の花を開発、水上の花壇に植える。

花壇は自動給水のため管理が容易で、廃材の再利用で設置費用を抑える。

節電で池の噴水を止めている事業者や、公園の集客力を高めたい自治体などの需要を見込む。

花壇に植えるのはサカタのタネが開発した「サンパチェンス」。
亜熱帯地方のアジアなどに生息する園芸植物のインパチェンスを改良した。
夏に日差しや暑さに強く、成長が早いのが特徴だ。

サンパチェンスは岡山大学との共同研究で、1日で1平方メートル当たり0.42~0.53グラムの窒素、同0.04~0.07グラムのリンを除去することを確かめた
水質改善効果が高いヨシとほぼ同じ値という。

花壇は1基の大きさが横60センチ縦40センチで、サンパチェンスの球根の輸送時に使うコンテナを再利用する。
このコンテナ1つを池などの底に置き、園芸用のテープを巻いて装飾したコンテナを重ねる。
例えば1基にサンパチェンスを2株植えると、設置費は1基当たり5,000~6,000円となる。

花壇の土中には給水マットを敷き、先端は水中に浸す。
通常の花壇なら月2回ほどのメンテナンスが必要だが、この方式は自動で水分補給するため、一度植えると原則1回で済むという。
花壇は日光を遮るため水中のアオコの発生を抑える効果もあるという。
サンパチェンスが咲く時期以外はチューリップへの植え替えを提案する。

サカタのタネでは全国の支店の営業担当者を中心に花壇を設置できる人材を育て、全国に事業展開する。
今年4~7月は自治体やテーマパークなどから約600基の注文があり、試験的な導入が広がっている。
「コスト削減や節電を理由に人工池の噴水を止める自治体や企業は増えている」(造園緑化部)ことから、来年は2倍以上の売上を見込んでいる。

日経産業新聞より

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2012年08月21日

酒田市が風力発電6基建設

山形県と酒田市は20日、同市沿岸部の十里塚地区に、出力計1万3,800キロワットの風力発電施設を建設すると発表した。

2015年度にも自治体直営の発電事業を始め、7月に始まった固定価格買い取り制度に基づき東北電力に売電する考え。

蓄電池を併設する出力変動緩和型の発電用風車(出力2,300キロワット)を、県と酒田市が3基ずつ計6基建設する。


環境影響評価(アセスメント)などを経て、2014年度にも着工の予定。
総事業費は約54億円で、県と酒田市が約27億円ずつを支出する。
県は事業開始から13年で採算が取れると見込んでいる。

東北電は6月、自治体が関わる風力発電を優先して電力を買い取る自治体風力制度を撤回し、買い取りを申請順に改めた。
東北電の買い取り枠は残り15万7,400キロワット(6月29日現在)で、県は「今週中に申し込めば間に合う」としている。

同地区は風力発電の適地だが、大部分が県立自然公園に指定されている。
2000年と2010年の2回、民間による風力発電の計画が持ち上がった際には、クロマツ林などの景観を損なうとして県が認可しなかった経緯がある。

福島第1原発事故を受け、県は3月に県エネルギー戦略を策定。
6月には自然公園でも風力発電の建設計画に柔軟に対応できるよう、認可に関する指針を改正した。
吉村美栄子知事と阿部寿一酒田市長は20日、県庁で記者会見した。
吉村知事は「県内における大規模事業の展開の第一歩」と意気込みを語った。
阿部市長は、景観への影響に関して「原発事故が価値観の大きな転換をもたらした」と説明した。

県内にある出力100キロワット以上の風車は現在、13カ所計33基。
自治体直営の発電事業はすでに庄内町でも行われている。
遊佐町では民間による出力計6,900キロワットの風力発電の計画が進められている。

河北新報より

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2012年08月20日

鉄鋼スラグで海の「藻場」再生

沿岸部で海藻が繁茂する「藻場」の再生で新日本製鉄の技術が威力を発揮している。

製鉄の副産物として生じるスラグをベースに添加物を工夫した製品を、袋や箱に詰めて海中に投入するだけで、海草類の生育に欠かせない腐植酸鉄を供給する仕組みだ。

安全な漁場造成用資器材として認証を受けており、今後は各地で利用が進みそうだ。

海中を覆っていたワカメやコンブなどが突然姿を消し、荒野のような海底が広がる「磯焼け」という現象が全国各地の海で確認されている。
海藻だけでなく、サザエやアワビ、魚の漁獲にも響き、藻場の再生は急務となっている。

磯焼けのメカニズムを理論づけたのが、北海道大学の松永勝彦元名誉教授ら。
周辺の山で大量の落ち葉によって作られる腐葉土が鍵を握る。
腐葉土中で作られるフルボ酸と呼ばれる物質が山中の鉄と結合し、海藻が利用しやすい2価鉄を作り、海に流れ込む。
広葉樹が茂る深い山々が豊かな海を作り出すわけだが、この仕組みが山林の伐採などで断たれたことが磯焼けの原因と結論づけた。

この理論に基づき、新日鉄の技術開発企画部温暖化対策研究企画グループの堤直人氏らは製鋼過程で生じるスラグを活用し、海水中に2価鉄を供給する技術開発に乗り出した。
同社が使用する鉄鉱石の鉄純度は約60%で、高炉での銑鉄、転炉を用いた製鋼工程を通じ大量のスラグが産出される。

スラグも鉄分を十数%含み、高強度の路盤材やセメント材料として利用されてきた。
磯焼け防止効果が得られれば、スラグの新たな用途が開拓できる。
また「藻場は二酸化炭素(CO2)の吸収能力の観点から、地球温暖化対策上も重要で、社会的貢献度も高い」(同社)。
しかし、スラグをそのまま海水中に入れても鉄分の溶出効果は限定的だ。

そこで、木材チップなどから人工的に作った腐葉土を粒子状のスラグと混ぜ、“豊かな山の土”を再現した。
2004年10月に、この素材をヤシがらでできた袋に詰め、磯焼けが深刻だった北海道増毛町の海岸に設置する実証実験が新日鉄と東京大学などで行われた。
半年後、設置場所周辺には見事なコンブが繁茂した。

この素材の効果をさらに確かめるため、2006年10月から増毛町のアワビ中間育成センターの水槽で、スラグや腐葉土との対照実験が行われた。
この施設自体は諸事情で翌年3月に閉鎖されたが、最終日に見てみると、同素材を投入した水槽にだけ立派なコンブが大量に生えていたという。

この成果をもとに、新日鉄は同素材を「ビバリー」という名称で製品化した。
商品名は自然環境を再現した動植物園などを指す「ヴィヴァリウム」に由来する。
その後、同社は千葉県富津市の研究所内に、専用の研究施設「シーラボ」を開設。
堤氏をグループリーダーとし、さらに検証を進めている。

ビバリーの効果は口コミでも各地の漁業者に広がり、新日鉄では今夏までに、全国28カ所で、袋に詰めた「ビバリーバッグ」を合計30トン、箱状の「ビバ リーボックス」を約70期納入した。
ただ、海中の鉄分が豊富な海域でも磯焼けが発生しているところもあり、導入前に水質調査も必要だという。
2010年2月には全国漁業協同組合連合会から、安全な漁場造成用資器材として認証を受けており、さらなる利用拡大が期待されている。
【高山豊司】

SankeiBizより

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2012年08月18日

環境創造センター

福島県環境創造戦略拠点基本構想検討委員会は17日、東京電力福島第1原発事故による放射能汚染からの回復技術の開発拠点「県環境創造センター」(仮称)の基本構想の検討結果報告書を取りまとめ、平成27年度の開所を目指すと定めた。

今後、具体的な設置場所を含めた基本構想を策定する。

環境創造センターは7月に閣議決定された福島復興再生基本方針で設置が明記された、放射能汚染からの回復技術開発拠点。

報告書では100億円の整備費と年10億円の運営費10年分とで計200億円が必要と概算、国による十分な財政措置を求めた。

報告書はセンターの基本的役割を、モニタリング、調査・研究、情報収集・発信、教育・研修・交流の4機能に定め、機能ごとに必要な取り組みをまとめた。

必要な連携先として国際原子力機関(IAEA)や独立行政法人日本原子力研究開発機構(JAEA)、独立行政法人国立環境研究所の招致を明記。
センター整備前の準備として、モニタリング態勢の強化や除染技術の検証を、県でも継続することを求めた。

センターが調査・研究すべき課題としては、除染効果の評価や廃棄物管理、人体・生物・生態系への放射能の長期的な影響などを挙げた。
教育・研修分野では子供たちに環境放射能に関する学習活動を行わせることや、地元企業、研究機関との研修・交流を実施していく必要性も訴えた。

産経新聞より

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2012年08月17日

「もりおか起業ファンド」

盛岡信用金庫は盛岡市などと共同で20日、起業支援を目的とした「もりおか起業ファンド」を設立する。

資金供給や経営指導などの支援を通じて、意欲ある起業家や沿岸から移転して再起を図る被災事業者の成長を後押しする。

盛岡近郊で起業する事業者や設立から原則5年以内の中小企業などが対象で、事業計画の提出や面談などにより投資先を選定。


盛岡信金、盛岡市、滝沢村、フューチャーベンチャーキャピタル(京都市)が出資。
出資総額は当面5,000万円で最終的に1億円まで増やす予定だ。

1社あたり500万円を限度に投資するほか、盛岡市や滝沢村の起業支援施設などのあっせん、専門家による経営指導などハードとソフトの両面で支援を展開。
また、投資後も資金需要に応じ、盛岡信金からの融資が受けやすくなるという。

盛岡信金の浅沼晃常務理事は「手厚い支援で起業化を促し、地域経済の活性化や雇用創出につなげたい」と話している。
【金寿英】

毎日新聞より

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2012年08月16日

植物工場に進出する鉄道・バス会社


関西の鉄道・バス会社が植物工場ビジネスに相次ぎ参入している。

運輸収入が落ち込む中、グループ内のスーパーなどに出荷する野菜を植物工場で育て、新たな収益源に育成するのが狙い。

ただ、植物工場は運営などに多額のコストがかかるため、どこまでビジネスを拡大できるかは未知数だ。鉄道・バス会社の本気度を探った。



近畿日本鉄道は、奈良県大淀町の遊休地に完全人工光型の野菜工場(約210平方メートル)を建設、8月からレタスの栽培を始めた。
植物工場のシステムは丸紅の技術を利用し、野菜などの新種開発や技術指導は近大が担当する。

今秋からグループのスーパー、近商ストアなどに出荷する予定で、外販も検討しており、平成26年度に年商1億円を目指す。
植物工場ビジネスについては「沿線の未利用地を有効活用できることに加え、グループで事業展開できる」(担当者)と期待を寄せる。

関西の私鉄の中で、いち早く植物工場事業に参入したのは阪神電鉄。
兵庫県尼崎市内にある鉄道の高架下に、約4千万円を投じて野菜工場(約95平方メートル)を1月に設け、レタス栽培を始めた。

蛍光灯の人工光を活用し、1日約300株を生産しており、グループのコンビニ「アズナス」を中心に出荷。
5月からはアズナスでこのレタスを使ったサラダを販売し、好評を得ているという。
今後も新商品を投入する予定で、阪神電鉄は「うまく出荷できており、滑り出しは好調」としている。

鉄道会社だけでなく、バス会社も乗り気だ。
奈良交通(奈良市)は、JR奈良駅前の自社ビルの空きスペースを活用し、約3千億円を投じて人工光による工場(約130平方メートル)を10月に設置する。
両備ホールディングスの子会社と提携しレタスやサラダ菜などを生産、来年1月に出荷を始める予定だ。
グループの飲食店などで提供する。

植物工場は、栽培環境をコンピューター管理するため、日照時間や降水量などに左右されず、品質、価格ともに安定供給できることが最大のメリットだ。
また短期間での生育が可能になるほか、苗の配置を工夫して土地の利用効率を高めることもできる。

しかし、一方で初期投資や工場の運営コストが高額という課題もある。
LED(発光ダイオード)照明を手がけるシーシーエス(京都市)は3月、子会社が展開していた野菜工場での生産から撤退。
「初期投資が大きかったことに加え、価格競争に苦戦した」という。
紙卸業の小津産業(東京都中央区)も今年までに採算が合わないとして府中市内の倉庫に設置した植物工場を閉鎖している。

植物工場を有力な新規事業と位置付ける鉄道会社やバス会社は、遊休資産に加え、グループにスーパーなどの小売業、レストランなどの外食産業を持っているとして、農業との親和性を強調。
一方、「素人が始めたもので、ノウハウなどを一から構築しないといけない」(関係者)と、農業経営の不慣れを懸念する声もある。

少子高齢化や長引く景気低迷を背景に、関西の私鉄各社は輸送人員が減少傾向にある。
バス事業者も同様に利用者減に悩んでおり、新規事業の創出は急務となっている。
植物工場は「まだ実験的」(鉄道会社担当者)とはいうものの、「見切り発車」で終わらないよう、慎重な経営が求められている。
【中村智隆】

産経新聞より

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2012年08月15日

ユニクロがリサイクル講義

難民問題を学校で学ぶ活動が広がっている。

カジュアル衣料品店「ユニクロ」は、難民支援教育や環境教育に取り組む学校に社員を派遣し、衣服のリサイクル活動と連動した活動を拡大中。

また、大学入試センター試験で難民関連の問題が出題されたことなどから、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日事務所(東京都港区)には、教育系出版社や学習塾からの問い合わせが殺到している。

東京都立国際高校(目黒区)で7月半ばに開かれた1年生の「奉仕」の授業に、ユニクロとUNHCRの職員が招かれた。
難民の実態と衣服のリサイクル活動のノウハウを学ぶためだ。
ユニクロを展開するファーストリテイリングCSR部の鈴木翔子さん(26)は、服が健康だけでなく人の尊厳も守ると紹介し、着なくなった服を回収して難民キャンプに送る活動の仕組みを説明した。
UNHCR駐日事務所の守屋由紀広報官(50)は世界の難民について解説し、支援の必要性を訴えた。

2人の講義を聴いた後、生徒は同校や地元小学校に掲示するポスターや衣服の回収箱を製作。
湯浅啓正さん(16)は「服がないと学校に行きづらいとか、難民と衣服の関係は深いと知った」。
徳永朱音さん(15)は「国連職員は将来の夢の一つなので、とても参考になった」と話した。

ユニクロでは2006年から顧客が買った商品のリサイクル活動を始め、アジア、アフリカの難民キャンプなどに衣服を送っている。
2009年度からは東京都内の3高校に社員を派遣し、リサイクル活動と教育を関連づけた。
今年度は東京、神奈川、兵庫、大分の4都県計約30の小中学校に展開し、今後も拡大させるという。
新田幸弘執行役員(CSR担当)は「国際問題を学ぶ学校のニーズは高い。
将来的には国内のすべてのユニクロ支店長(約850人)が学校に行けるよう、活動を広げたい」と意気込む。

難民問題への関心の高まりは、入試の影響もある。
大学入試センター試験(現代社会)で、難民関連の問題が2010年から3年連続で出題され、難民の定義や元国連難民高等弁務官の緒方貞子さんの活動などが問われた。
UNHCR駐日事務所には昨秋以降、教育系出版社や学習塾から、模擬試験の問題や参考書作成などのため、約100件も問い合わせがあった。
人道支援職員を「夢の職業」として紹介する雑誌の取材依頼も多いという。
守屋広報官は「これまで遠い話だった難民問題を身近に感じてもらえるようになった。
東日本大震災で『人を助けたい』機運が高まったことも影響しているのではないか」と話している。
【福田隆】

毎日新聞より

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2012年08月14日

「コンピューター室」で飼育

クワガタやカブトムシの“すみか”は駐車場のコンピューター室―。

小田原駅前の立体駐車場管制室で、数百匹の幼虫や成虫が飼育されている。

管理する小田原市事業協会が小田原城で夏に催す展示のため、一定の温度に保たれた室内の環境に着目し、取り組んでいる。

発案した職員の加藤仁宏さん(37)が業務の傍ら、世話にいそしんでいる。

同市栄町の栄町駐車場。
クワガタやカブトムシのシルエットがあしらわれた「管制室」の扉を開けると、モニターや電子機器の周りのあちこちに、ふ化を待つ幼虫の入った容器が置かれている。
機器があるため、室温は常に23度前後に保たれている。

コンピューターと幼虫たちの“同居”が始まったのは2004年。
昆虫ブームにもあやかり、小田原への誘客と学習の機会を提供しようと、小田原城でクワガタやカブトムシの展示を始めることになったのがきっかけだった。

大型の「ヘラクレスオオカブト」などの人気種、季節が逆で夏に手に入らない南半球の種類などの繁殖を試みることになったが、「温度が一定でないとうまく育たない」(加藤さん)。

そこで白羽の矢が立ったのが、温度管理が徹底された管制室。
冬も23度前後に保たれているため、虫たちにとっても快適な環境だ。
今では幼虫を中心に数百匹を飼育しており、展示されるクワガタやカブトムシの3分の1ほどが「管制室育ち」という。

幼少のころから昆虫好きの加藤さんは、300種類以上の標本を所有。
「飼育で手抜きできないクワガタは育てがいがある」と少年のように笑う。
「市民の生涯学習などにも還元していきたい」との思いも胸に、管制室育ちの虫たちを送り出している。

小田原城常盤木門の「世界のクワガタ カブトムシ展」は19日まで。
入場料などの問い合わせは、小田原城ミューゼ。

カナロコより

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2012年08月13日

「次世代グリーン基地局」

NTTドコモは、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを駆使し、携帯電話に電波を送る基地局に必要な電力を賄う「次世代グリーン基地局」の開発に乗り出した。

2013年春までに全国10カ所に同基地局を設置し、各地で実証試験を行う予定だ。

停電や災害で電力供給が途絶えた場合でも運転して通信回線を維持するほか、電力消費量や二酸化炭素(CO2)排出量の削減にもつながる環境にやさしい技術だ。

ドコモが今年3月、神奈川県横須賀市にある研究所内で実証試験を開始したグリーン基地局の試作機は、太陽光パネルとリチウムイオン蓄電池、制御装置、アンテナなどで構成される。
基地局を稼働させるのに必要な電力は約300ワット。
これに対し、基地局の屋根の上には1枚当たり200ワットの太陽光パネルが計4枚設置されており、最大800ワットの発電が可能だ。

太陽光パネルで生み出された余剰電力はリチウムイオン電池に蓄えられ、夜間の電力として利用する。
悪天候が続いたりして電力が確保できない場合は、商用電源から電力を確保する。
天候によってバラツキがあるが、基地局に必要な電力は太陽光だけで1日当たり平均50%賄えるという。

太陽光パネルで発電した電力は直流のため、交流で稼働する機器を使用すれば電流を変換しなければならない。
しかし、直流と交流を変換する際、一般的に5~10%のエネルギーロスが発生する。
こうした無駄をなくそうと、グリーン基地局では設置した全ての機器は直流で使えるものをそろえた。
試作機は太陽光 を使用しているが、発電源としては風力発電や燃料電池なども検討している。

ただ、開発の陣頭指揮をとるドコモ先進技術研究所環境技術研究グループの竹野和彦主幹研究員は、「本格的な普及に向けては高いハードルが存在する」と話す。

最大の課題がコスト。
なかでも、設備を高価にしているのがリチウムイオン電池だ。
モーターとガソリンエンジンを組み合わせたハイブリット車(HV)や電気自動車(EV)などエコカーの普及によってリチウム電池の価格は下落傾向にあるが、それでもまだまだ高価という。

ドコモの基地局は日本国内に約10万カ所あり、「現在のコストでは、全国に導入していくことは難しい」(竹野主幹研究員)。
基地局の装置類は通常、10~15年間使用するが、グリーン基地局化による消費電力の削減によって浮いたコストが、基地局の投資コストを上回らなければ実用化はおぼつかない。

それでも研究に力を注ぐのは、「不安定な商用電力や電力料金の値上げが予想されるなど電力問題が懸念されている」(竹野氏)ためだ。
原発稼働停止に伴う電力不足により、今後も不測の停電が起きれば、通信途絶という事態も想定される。

実際、同社は東日本大震災時、長時間の停電により、東北地区の基地局は完全復旧までに1カ月以上もの時間を要したという苦い経験を持つ。
それに対応するためにも、災害に強く、環境にやさしいグリーン基地局の実用化が急がれているわけだ。

ドコモは将来、基地局同士で電力を融通しあう「ドコモ版スマートグリッド」構想の研究も進めている。
将来的には、「基地局で使用する全ての電力は基地局で生み出す」(同)計画だ。
【松元洋平】

SankeiBizより

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2012年08月10日

屋上野菜「収穫祭」

松屋銀座(中央区銀座3)は8月9日、屋上で育てた野菜の収穫祭を行い、来年5月に営業終了を迎えるホテル西洋銀座(銀座1)の総料理長・広田昭二さんが最後の「夏野菜カレー」を仕上げた。

松屋銀座では2007年から施設屋上の一角で緑化活動「銀座グリーンプロジェクト」を展開。

銀座でミツバチを育てるNPO法人「銀座ミツバチプロジェクト」の活動に賛同してミツバチの蜜源を提供する狙いでプロジェクトを始め、年々活動を本格化。

今年は社員や松屋銀座で働く有志20人程度が中心となって5月にキュウリ、ピーマン、トマト、ナス、ゴーヤ、カボチャの苗を植えた。

野菜は「連作障害対策に」と土を入れ替えたことから「昨年に比べて調子がいい」と、銀座グリーンプロジェクトの河野新平さん。
朝夕の水やり、草取り、収 穫などを交代で行い、作業中に屋上利用客から声を掛けられることもあったという。
「タイミングが合えば採れたての作物を差し上げたり育て方を伝えたり、交流の拠点にもなっている」と河野さん。
屋上では今年6月からウェブラジオ局「ソラトニワ」の番組放送もスタートし、「メンバーもいつも以上に気合を入れて頑張ってきた」と振り返る。

実った野菜をルーやトッピングに盛り込んだ夏野菜カレーを振る舞う収穫祭。
ホテル西洋銀座(銀座1)の広田総料理長が手掛ける同カレーを楽しみに、会場には松屋銀座、銀座ミツバチプロジェクト(銀座3)、同様に屋上緑化に取り組むマロニエゲート(銀座2)、白鶴酒造東京支社(銀座5)などの有志70人以上が一堂に顔をそろえた。

ルーはハウス食品が提供するカレー粉に「銀座産蜂蜜で甘みを、松屋銀座産トマトとビネガーで酸味を、ニンニク、ショウガ、ガラムマサラなどで香りを加えている」と、広田総料理長。
これに松屋銀座屋上と白鶴酒造東京支社屋上で収穫したピーマンやナスをトッピングして提供。
テーブルにカレーが並べられると、メンバーは次々と皿を手に取ってその味わいに舌鼓を打っていた。

ホテル西洋銀座は松屋銀座のメンバーから紹介を受け、2009年ごろから活動に参加。
銀座ミツバチプロジェクトで採蜜された蜂蜜を使ったスイーツの開発・販売なども手掛けるようになった。
活動は今年で4年目を迎えたが、来年5月に営業終了を予定することから「収穫祭には最後の参加」。
マーケティングマネジャーの田渕美千枝さんは「もともと西洋銀座には銀座とのつながりがあまりなかった」と振り返り、カレーの提供を始めたことで「どんどん関係が生まれていき、やっと街の仲間に入れてもらったように感じていた。楽しい時間を過ごさせてもらった。さみしい」と話していた。

銀座経済新聞より

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2012年08月06日

「もしゆれ」

防災科学技術研究所が、iPhoneアプリ「もしゆれ」(もしもいまここで大地震の揺れに見舞われたらワタシはどうなる?)を公開した。

App Storeから無料でダウンロードできる。

今いる場所で地震が起きた場合に、その場所で起こりうる災害の種類を利用者の顔写真と合成された形で表示するアプリ。

GPSで取得した位置情報を、地震ハザードステーションが提供する「確率論的地震動予測地図」「表層地盤情報」などと照らし合わせ、建物倒壊や家具倒壊、津波、液状化など17種の中から起こりうる被害を結果として表示する。

結果画面には、今いる場所が30年以内に深度6以上の揺れに見舞われる確率や、「建物倒壊」「液状化」「土砂災害」の3項目を5段階で判定した結果も表示される。

アプリを開発した防災科学技術研究所は、このアプリを提供することで、利用者が地震を直近の自分のこととして捉え行動できるようになることを期待するとしている。

+D Mobileより

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2012年08月04日

「生物多様性」に貢献

キリンビール横浜工場(横浜市鶴見区)に、生物生息空間「ビオトープ」が完成し3日、関係者による記念式典が行われた。

「生物多様性の維持」をテーマに、横浜市や地元のNPO法人などの協力を得て整備した。

同工場は、緑化推進や農地保全などを柱とする横浜市の「横浜みどりアップ計画」に賛同。
「地域緑のまちづくり事業」に取り組んでいる。

今回の総工費は1,885万円だが、このうち1,450万円は「横浜みどり税」を充当。
整備にあたってはNPO法人鶴見川流域ネットワーキングも協力したという。

同工場の敷地面積は横浜スタジアムの約7.2倍に相当する約19万平方メートル。
このうち池も備えた1万8,300平方メートルを公開緑地として一般に開 放している。
ビオトープは緑地の一部を活用して整備され、池の部分には、絶滅危惧生物とされるホトケドジョウやヨコハマメダカのほか、チョウやトンボ、カ ワセミなど多数の生物が生息。
散策路などは四季折々の植物で彩られるという。

記念式典には、横浜市や地元町内会の関係者らも出席。
清水岳・副工場長は「多くの方々の協力により整備できてうれしい。
今後、このビオトープを守り、活用していく。
多くの子どもたちに見てもらいたい」と話していた。

同工場は5日から毎週の日曜日にガイド付きのツアー(工場・庭園見学と試飲、定員20人)を開催する。

カナロコより

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2012年08月03日

エコドライブの大ワザ小ワザ

これからの季節、行楽に帰省にと長距離ドライブの機会が増えます。
そこで気になるのは車の燃費。

エコカーへの買い替えを考えている人もいるかもしれませんが、新車購入となると諸経費含め100万円以上の出費になります。
ぽーんと買えちゃう人はいいですが、そうでない人は今乗っている車で燃料費節約のためにできることを実践しましょう!

車の燃費は運転の仕方によって差が出ます。
マイカーの専門月刊誌『オートメカニック』のライター・高山則政さんに、大ワザ小ワザで最大2割の燃料費節約を目指すエコドライブの方法について、アドバイスしていただきました。

● 車のエアコンは温度よりも風量を絞ろう! 

この季節、特に注意すべきはエアコンです。
節電意識の高まりから家庭やオフィスの設定温度には気をつけてる人が多いのに、車のエアコンは豪快に利かせている人が少なくありません。

家庭やオフィスのエアコンは「設定温度は28度を目安にしましょう」「設定温度を1度上げると消費電力を約13%削減できます」(政府広報オンラインより)などと言われますが、車の場合は省エネの仕方が少し異なります。

車のエアコンは構造上、冷やす能力はいつも一定で、冷やした空気を暖かい空気と混ぜて温度調整しています。
ですから、設定温度(ダイヤルの青→赤のほう)を高めにしても、あまり省エネにはなりません。

そのかわり、冷えた空気を早く大量に循環させようすると送風機をぶんぶん回すことになり、エネルギーを大量に使います。
したがって、設定温度は最低でも風量(数字のダイヤルのほう)を絞る、あるいは小まめに調整することが省エネにつながるのです。

エアコンの「AUTO(オート)」設定はOFFにしておきましょう。
ONになっていると指定された温度に早く近づけようと、送風機が頑張るからです。

送風機のパワーを抑えつつ少しでも早く温度を下げるなら、駐車は直射日光が当たる場所を避け、日陰に停めること。
あるいは車に乗り込んでいきなりエアコンをかけるのではなく、しばらくドアやウインドウを全開にして溜まった熱気を逃がしてやるなどのひと工夫が必要です。

また、快適な温度になるまでは外気を入れずに車内の空気を循環させる「内気循環」にするのも効果的です。

エアコンを使用せず窓を適度に開けて走るのは、時速60キロくらいまでなら経済的な効果があり、それほど不快でもないでしょうが、それ以上に速度が上がると風を巻き込んで空気抵抗が高くなるうえ、騒音も増えるので車内の快適性もかなり低下してしまいます。

省エネだけを考えるならエアコンは使わず窓も閉め切ることですが、炎天下の車内温度は60度近くにもなるため、本当にそんなことをしたら乗っている人の健康と安全に関わります。

また、暑さのために集中力を欠いたりイライラして運転が荒くなるほうが、燃費には悪影響を及ぼします。
省エネと快適さのバランスを考えて、ほどほどのポイントを見つけてください。


それから、1年半に1回程度はエアコンフィルターの交換をしてください。
ホコリやゴミが詰まっていると、当然エアコンの効きは悪くなります。

「車のエアコンフィルターなんて買ってから見たこともないよ」という人は、おそらくショックを受けるくらいホコリが溜まっています。取り外すときは覚悟してください。


● 30秒以上停止するならエンジンを切る! 

 車がガソリンを使うのは、エンジンを回すためです。つまり、エンジンの無駄な回転・無理な回転を抑えることで、ガソリンの無駄遣いを減らすことができます。

 例えば、走りもしないのにエンジンが回っているアイドリングは無駄の最たるところ。今どきのエコカーには車が停止すると自動的にエンジンを止める「アイドリング・ストップ機構」を備えたものがありますが、これは手動でやっても効果があります。

 よく「エンジンを点火する瞬間に“ブルルン”と多めにガソリンを燃やすから、頻繁に止めたり動かしたりするのは却って燃費に悪いのでは? 」と言う意見を聞きます。
しかし、実験したところ10秒以上停止する場合にはエンジンを切るほうが経済的なことがわかりました。
面倒臭さやスムーズな再始動も考慮して、30秒以上停止する場合にはエンジンを切りましょう。


ただし、あまり乗っていない車の場合は注意が必要です。
エンジンを始動する際にはバッテリーでセルモーターを回します。
バッテリーはエンジン回転中に充電される仕組みですが、あまり乗っていないとこの充電が不十分で、停止→再始動を繰り返すうちに残量を使い切り、ついには始動できなくなってしまう可能性があるからです(これがいわゆる「バッテリー上がり」です)。

信号待ちなどでのアイドリングストップに不安があるなら、せめてギアを「N(ニュートラル)」に入れて、青信号になるのを待ちましょう。
停止中はサイド ブレーキを引いて、フットブレーキからは足を離しておきます。
「D(ドライブ)」ではエンジンが車を動かすだけのパワーを作りながら、それをブレーキで押し止めているという無駄を生じさせています。

サイドブレーキを使うのは、ブレーキランプの節電のためです。
自動車の電気はエンジンを回して発電しているので、余分な電気を使わないことはエンジンの負荷を減らし、ひいてはガソリン代の節約につながります。
ただし、安全上、渋滞末尾にいる場合はブレーキを踏んでおきましょう。

● 始動・加速・登坂に気を遣おう! 

アクセルの踏み方に気をつけることで、無駄にガソリンを使わないような走り方ができます。
エンジンの回転数を示す「タコメーター」が付いている場合は、なるべく数値が上がらないように、針の動きが一定になるように工夫しましょう。

例えば、止まった状態から動き始めるとき。
アクセルを勢いよく踏んでグンと加速するとエンジンの回転数が上がり、瞬間燃費はガクーンと落ちます。

そろりそろりと走り出し、適度なスピード(40~80km/h)になったら、その状態をキープ。
ときどきアクセルから足を離して、速度を維持できる最小の「踏み量」に調整しながら走るのがベストです。

ただ、いくら加速を緩めにといっても、ノロノロだらだらとアクセルを踏み続けるのは良くありません。
走り出しはエンジンの回転数を2,000回転(軽&小型車は3,000回転)以下に押さえながら、スムーズに巡航速度にもっていったほうが効率的です。
ちなみに最新のCVT車であれば、1,500回転程度でもジワジワと加速でき、このあたりで走ると省燃費効果が高いです。

アクセルから足を離している間は、エンジンが回っていたとしても燃料は噴射されません。
「このまま走ればあそこの信号が赤になるから、止まることになるな」という時には、早めにアクセルから足を離し、自然に減速するよう予測/調整しながら走るのもテクニックです。

エンジンの回転数がぐんと上がるのは坂道を登るときです。
前もって少しずつ加速して、ある程度の勢いをつけて坂道に入れば、途中でアクセルを強く踏み込まなくても済みます。

逆に下り坂でアクセルを踏むのは無駄です。
重力を利用すれば燃料を使わなくても坂を下ることができるからです。

エンジンブレーキを使うと速度が落ちすぎて、かつブレーキを多用しなくても済むような長い下り坂ではいっそギアを「N」に入れてもいいと思います。
効果の有無は、瞬間燃費計があると良く分かります。

● 「燃費の見える化」でエコドライブが上達する 

燃費の良い走り方をしている間はグリーンの表示が点る「エコランプ」のある車が増えています。
車種ごとの特性も踏まえてあるので、この機能が付いている場合には、点灯を目安にしてアクセルの踏み方を工夫するといいでしょう。


カー用品店などでは、後付けの「燃費計」が売られています。
エンジンの燃料噴射装置と連動して、運転中の瞬間燃費をリアルタイムに表示してくれるスグレモノです。これを見ながら走ると「何をやるとどのくらい燃費が落ちるか」がたちどころにわかるので、エコドライブの腕が上達します。

ダイエットでも家計管理でもそうですが、実態を「見える化」すると着実に効果が上がります。

私の場合、日頃から燃費には気をつけて走っていましたが、燃費計をつけたことでさらに12~13%のエコドライブができるようになりました。

燃費計は比較的簡単に取り付けられるのですが、価格が1万~2万円以上します。
使用期間や使用頻度にもよりますが、休日しか運転しないようなドライバーが節約できるガソリン代でモトを取れるかといえば、正直難しいでしょう。

しかし、エコドライブは、単に単にお金を浮かせるだけではなく、運転技術の向上や地球環境のためにもなります。
そうした面にも価値を見出せれば、導入するメリットはあると思います。

● ほかにもいろいろ 燃費節約のテクニック

ほかにも燃費を節約するためにできる小ワザがいろいろあります。
例えば、タイヤの空気圧を高めに設定すること。タイヤ内の空気が減っていると道路との接地面積や変形が必要以上に増えるため、転がり抵抗が大きくなって燃費が落ちるばかりか、タイヤの消耗も早くなります。
空気を入れるエアゲージ付きの充填機はガソリンスタンドにあって「空気圧のチェックお願いします! 」と言えば、無料でやってもらえます。
セルフ式のスタンドでは自分で入れますが、機械は無料で使わせてくれます。
適正な空気圧は車も若干高めがいいでしょう。
通常、推奨値より10~15%高めにすると燃費低減効果が出てくるといわれています。

余計な荷物を積みっぱなしにしないのも、すぐに実行できる節約ワザです。
自動車メーカーは少しでも燃費を良くするために、部品をグラム単位で軽量化するなど、血の滲むような努力をしています。
が、利用する我々が使いもしない荷物を積みっぱなしにしていては、せっかくの性能が台無しです。

ガソリンも荷物のうちです。
ガソリンの重さは1リットル当たりレギュラーで0.75キログラム、ハイオクで0.78キログラムです。
50リットルで“満タン”になる車の場合、給油量を半分の25リットルに抑えれば18.75キログラム(5歳の女の子1人ぶんの体重に匹敵)の重量軽減になります。

ある程度のスピードを出して走るときは、大型のトラックやバスの後ろに付くと、空気抵抗が減らせるので燃費が向上します。
特に向かい風のときには効果テキメンなのですが、車間距離を詰め過ぎると安全上の問題が生じます。
砂利や礫を積んだダンプの後ろを走ると、小石が飛んでくる危険もあり、落下物、前方の状況確認も遅れる可能性もあります。

車間距離を空けると風除けの効果は減るのですが、それでも大型トラックの後ろを走るメリットはあります。
現在、5トン車以上の大型トラックにはリミッターの装着が義務付けられていて時速90km以上は出せないようになっています。

また不景気の折、多くのドライバーが燃費を無駄に食わないような走行を心がけているので“ペースメーカー”になってもらうにはちょうどいい存在なのです。

● エコドライブの最大の敵は、渋滞! 

燃費がいちばん良くないのは渋滞です。
せっかく上手なアクセルワークを身に付けても、渋滞にはまっては実力を発揮できません。
発進と加速を繰り返す上に、エアコンを使わないわけにはいかないでしょうから、ますます不経済になります。

実は、行楽や帰省シーズンのいちばんの燃費節約は「渋滞を避ける」ことだったりします。
時間を選べるなら1時間でも早くスタートし、あるいは渋滞するルートを避ける計画を立てましょう。

日本道路交通情報センターのホームページには、日付別/ルート別に詳細な渋滞予測が発表されていて参考になります。

今回紹介したテクニックはどれも燃料費のカットには有効ですが、それよりも優先されるべきは安全運転です。
周囲に迷惑を掛けたり、自分や同乗者の健康や 気分を害してはモトも子もありません。
気持ちよく運転して楽しく節約できる、自分に合ったエコドライブを心掛けましょう。
【取材協力/高山則政、小久保陽一、取材・文/渡辺一朗】

ダイヤモンド・ザイより

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2012年08月02日

EVシェア“発進”

横浜市中区の元町商店街で、約10店の会員が電気自動車(EV)1台を共有するカーシェアリング事業が1日、始まった。

環境にやさしいEVを日常のちょっとした仕入れに使ったり、災害時の非常用電源として利用したりするなど役立てていく。

同事業は協同組合元町SS会(北村宏理事長)と、三菱自動車(益子修社長)、オアシスソリューション(関谷有三社長)が協力。
充電器の設置やEVのリース代などは企業側が負担し、商店街が駐車場を用意する。

まず、SS会の会員240店のうち約10店が参加し、15分300円の料金で運用する。
三菱自とオアシスが昨年開発したEV用のカーシェアリングシステムを全国で初めて導入
会員はパソコンや携帯電話などの端末からリアルタイムで予約できる。
モデル事業と位置付け、当面30店参加を目標として利用混雑時 の対応や採算性などを検証するという。

1日には、同商店街でオープニングセレモニーが開かれ、北村理事長は「商店街として初の試みを成功させたい」と話した。
オアシスの関谷社長も「単に実証実験に終わらせず、収益性と社会貢献を両立させたい。流行の発信地である元町から横浜全域、全国に広げていきたい」と意気込んだ。

市内では金沢産業団地で2011年2月から同様のシェア事業を始めており、ガソリン車1台のリース契約を解除するなど効果が出ているという。
市も「他の商店街などへ波及する成功事例になってほしい」と期待している。

カナロコより

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2012年08月01日

コンクリートがら再利用

災害廃棄物のコンクリートがらを骨材に使った再生コンクリートの試験製造が31日、岩手県山田町船越の災害廃棄物(がれき)仮置き場で公開された。

プラントを開発した総合建設業の奥村組(大阪市)は「コンクリートがらを再利用することで災害廃棄物の処理を促進できる」と国や県などに復旧工事への導入を提案する。

国土交通省や県、山田町、港湾土木業者ら約40人が参加した。

公開されたのは移動式の小型プラント(幅8.5メートル、奥行き3.5メートル、高さ4メートル)。コンクリートがらを上から投入して破砕機にかけて細かく砕き、自動計量の後、セメントや水と一緒に練り混ぜる。再生コンクリートを消波ブロックなどの型枠に入れて製造する作業が公開された。

同社によると、再生コンクリートは一定の強度があるほか、耐久性に問題はない。
プラントは、がらを骨材にすべてリサイクルでき、トラック1台で現場まで運べる利点がある。
がらに鉄筋が混じっていても磁選機で除去する。
製造能力は1時間4立方メートル。
コストは製造量にもよるが、1立方メートル1万5,000円程度としている。
がらは海水をかぶって塩分を含んでいるので鉄筋の入る構造物にはむかないが、鉄筋のない消波ブロックなどには適しているとい う。

見学会に立ち会った港湾土木会社の関係者は「狙いはいいが、製造能力が低いのが気になる。普及するかは国の考え方次第ではないか」と話した。
【鬼山親芳】

毎日新聞より

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