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2012年06月29日
秦野の地下水活用へ
「全国名水百選」の一つに選ばれている秦野の地下水を有効活用する取り組みに神奈川県秦野市が乗り出す。
一時は水量、水質の両面に課題があったが、克服。
今月発表した市地下水総合保全管理計画の改訂版に名水の「持続的な利活用」の方針を盛り込んだ。
市環境保全課によると、丹沢山地と大磯丘陵に囲まれた秦野盆地は、地下構造が“天然の水がめ”になっている。
地下水量は芦ノ湖の約1.5倍に相当する約2億8千万トンという。
1960年代の高度成長期に宅地化に伴う人口増加や工場進出が進み、湧き水が枯渇し始めた。
このため1970年代以降、井戸の掘削を抑制したり、水を地下に戻す注入井戸を整備したり、水量の保全に向けた取り組みが進められている。
現在では、地下水の収支バランスで収入(かん養量)が支出(揚水・湧出量)を上回る“黒字”が続いている。
水質面では、1985年に名水百選に選ばれたものの、1989年に地下水から化学物質が検出され、汚染が問題化。
市は1993年に全国に先駆けて地下水汚染防止条例を制定するなど、浄化対策に努めた。
2004年には化学物質の濃度が継続的に基準値を下回ったことから「名水復活宣言」を出した。
今回まとめた保全管理計画の改訂版では、市の水道水源の約75%を賄う地下水を「市民共有の貴重な財産」と位置付け、持続的な利活用を図ることを盛り込んだ。
具体的には、庁内に設ける「秦野名水利活用推進会議」で今後約2年間かけて協議するが、エネルギーや防災への活用、水のブランド化などを検討するという。
同課の担当者は「秦野の水は『量の危機』と『質の危機』を乗り越えた。これまでは守りの施策だったが、市民や市に利益をもたらすような施策を考えていきたい」と話している。
カナロコより
投稿者 trim : 2012年06月29日 16:46