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2012年05月31日

ミスの「見える化」

ファクスの送り先を間違える、書類に誤った数字を記入してしまう、連絡ミスで顧客からクレームを受ける―。

新年度が始まって2カ月。
業務にもイージーミスが出やすくなる時期だ。
極力減らして業務をスムーズに進めるにはどうしたらいいか、専門家に聞いた。

『事務の仕事がムリなくミスなくはかどる本』(日本能率協会マネジメントセンター、1,575円)などの著書がある人材育成プロデューサー、藤井美保代さんは「企業を取り巻く環境が厳しくなり、業務は増えているのに人が減り、残業も減っている。従来と同じ仕事の仕方では対応できず、ミスも重なるケースが増えている」と指摘する。

効率的にミスなく仕事を進めるため、藤井さんが勧めるのはまず机周りの整理。
事務職なら特に重要だ。
散らかっているために大切な伝言メモが埋もれてしまったり、顧客からの問い合わせに必要な書類が見つからず、返答が遅れたりするミスを防げる。

「右利きの人なら右側に筆記用具を置き、左側に電話を置く。また、よく使うものは手前に置くなど仕事の導線に沿ったレイアウトにすることが大切」と藤井さん。
つい増えてしまう書類も「まずは捨てる」という意識で選別。
迷うものは「迷い箱」を作り、保管する。3カ月たっても一度も開くことがなかったら思い切って捨て、すっきりしたレイアウトを保つよう心掛ける。

効率的に仕事を進めるための「基地」を作ったうえで、取り組みたいのがミスや業務の「見える化」。
藤井さんは、ミスの(1)事実(2)原因(3)再発防止策―を書き出したミス日記を勧める。
ミスをしてしまった直後は感情的に落ち着かないが、文字にしてみることで冷静に分析できる。
「気分的に楽しい作業ではないが、自分のミスの傾向をつかむことができる」という。

「見える化」は、仕事の効率アップにも有効だ。
例えば、電話のやり取りが多い顧客の名前や所属、自社の担当者を五十音順に表にして常備しておくと、たとえ名前が一度で聞き取れなくても相手が誰であるか見当はつく。
聞き返して相手の気分を害することはない。
また、仕事の進捗(しんちょく)状況も、(1)未処理の書類(2)返事や決裁待ちなどで保留中の書類(3)処理済みの書類―と分けて整理すると、自分の仕事がどこまでできているのかが目で確認でき、納期を意識するのに役立つ。
表などを作るための手間はかかるが、将来の時間を節約するための投資と考え、負担にならないように1枚の紙におさめるように作るのがポイントだ。

藤井さんは「できることから個人で取り組めば、誰でもミスを減らすことができる。人は責めず、どうやったら防げるかという仕組みを職場全体で考える仕組み、工夫が大切です」とアドバイスしている。

ミスを減らすためには仕事のスケジューリングも大切だ。
昼食を食べた直後の午後一番は、集中力が落ちてしまいがち。
1週間のサイクルでみると、週末休みの場合、最も集中力が落ちやすいのは木曜日の午後早く。
逆に効率が上がるのは火曜日の午前中という。
こうしたサイクルを頭に入れて仕事の段取りをつけるのも手だ。

また、朝食の欠食率は20、30代の男性の約3割、女性の約2割に上る。
文部科学省の全国学力・学習状況調査では、毎日朝食を食べる子供ほど学力テストの正答率が高いという傾向が出ており、エネルギー補給の意味でも朝食をきちんと食べることも大切といえそうだ。
【戸谷真美】

産経新聞より

投稿者 trim : 2012年05月31日 17:56