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2012年04月06日

地熱発電、国立公園で本格始動

国立・国定公園内での地熱発電所設備建設を条件付きで認める政府の規制緩和を受け、東北や北海道で相次ぎ5つの地熱プロジェクトが本格始動する。

出光興産や三菱マテリアル、三菱商事など9社が来週にも福島県で地元自治体と開発調査の意見交換を開始し、北海道では石油資源開発や丸紅がそれぞれ地元合意を前提に、調査に乗り出すことが明らかになった。

天候に左右される太陽光や風力に比べ、地熱は稼働率が7割と高い。
安定電源に期待される中でどう採算を確保するかがカギになる。

福島県での調査には、石油資源開発や三井石油開発、住友商事も参加する。
磐梯朝日国立公園の一切経山(いっさいきょうざん)や東吾妻(ひがしあがつま)、安達太良(あだたら)北など6カ所で調査を行う。
地熱では国内最大となる最大出力27万キロワットの発電所を計画しており、資源量が確定した段階で事業化に向けた会社を設立する。
実現すれば、原子力発電所約4分の1基相当の発電設備になる。

このほか、秋田県湯沢市では出光や国際石油開発帝石が年度内に掘削調査に着手するほか、北海道上川町では丸紅が開発に名乗りをあげている。

火山国の日本は米国、インドネシアに次ぐ熱水資源を持つが、この約8割が規制が厳しい国立・国定公園内にある。

このため環境省は、地熱利用の促進に向け2月に、原則として公園の外などから斜めに井戸を掘ることで、公園内の熱水の利用を認める方針を打ち出していたが、「斜め掘り」では井戸が長くなって採算が取れないとの指摘に配慮。
3月末に条件付きで公園内から蒸気を掘るための垂直掘りを認めたことで、事業環境が大きく前進した。

ただ、それでも各社の開発負担は大きく、地熱発電が拡大するかは予断を許さない。
地熱利用に詳しい弘前大の村岡洋文教授は「初期投資をカバーし採算性を確保できるか、(7月に制度が導入される)再生可能エネルギーの買い取り価格に大きく左右される」と、指摘している。
【上原すみ子】

フジサンケイ ビジネスアイより

投稿者 trim : 2012年04月06日 11:42